症例は16歳の男性で,スポーツ後より左膝関節痛を認めたが,受傷機転は明らかでなかった。近医で治療したが,疼痛が軽快せず,2ヵ月後,当科を受診した。初診時,左膝蓋骨を中心に腫脹と圧痛,可動域制限,apprehension sign,関節血腫などを認め,X線像は膝蓋骨の外側上極に骨透亮像を示した。良性腫瘍や骨膿瘍を疑い,生検を兼ねて病巣掻爬・骨軟骨移植術を施行した。現病歴,手術所見,病理所見,前医のX線像より膝蓋骨骨軟骨骨折と診断した,術後17ヵ月の現在,骨癒合は良好で,疼痛もなく,正座も可能である。膝蓋骨骨軟骨骨折で骨透亮像を示した例は極めて稀であるが,自験例は陳旧例で,嚢腫様陰影を呈したため,診断が困難であった。膝蓋骨に骨透亮像を示す場合には,陳旧性の本症を念頭におく必要がある。
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