杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
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ISSN-L : 0368-5829
34 巻, 3 号
September
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原著
  • 石田 良一
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 34 巻 3 号 p. 129-138
    発行日: 2003年
    公開日: 2005/03/10
    ジャーナル フリー
    体外循環ではサイトカインの分泌, 補体活性化などのchemical mediatorsの放出が臓器障害を惹起する。本研究は小児開心術において完全体外循環から置換液を加えた長時間のDilutional Ultrafiltration (DUF : D群) を施行し, chemical mediatorsの除去の有効性についてExtracorporeal Ultrafiltration Methodのみ施行したControl (C群) と比較検討した。対象は小児開心術16例をC群8例, D群8例に分け, 体外循環前, 開始30分, 終了時, 1, 12, 24時間後のサイトカイン, 補体, 血管内皮因子活性のchemical mediators及び心臓ホルモンをそれぞれ測定した。D群でinterleukin-6 (IL-6) が体外循環終了時, granulocyte elastase (GEL) が12時間後に有意に低値であった (p<0.05)。しかし, endothelin-1は1, 12時間後に有意に高値であった (p<0.05)。DUFを施行してもC群に比べ多くのchemical mediatorは除去できなかったが, IL-6, GELは除去されることが認められた。
  • 山口 真哉
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 34 巻 3 号 p. 139-152
    発行日: 2003年
    公開日: 2005/03/10
    ジャーナル フリー
    3T3L1脂肪細胞におけるインスリン反応性糖輸送担体 (GLUT4) の移送を可視化するために, そのN端にenhancement green fluorescent protein (eGFP) を融合させ, GLUT4-eGFP融合体 (GLUT4-eGFP) を作製した。そして, 種々の刺激下で, GLUT4-eGFP移送の経時的変化を共焦点レーザー顕微鏡下でリアルタイムに観察した。AMP活性化プロテインキナーゼ (AMPK) の活性化は4分以内に形質膜への移送を促進し, この時間経過はインスリン刺激の場合とほぼ同様であった。インスリン刺激によるGLUT4移送ならびに糖輸送活性の促進に対して, PI3-キナーゼの特異的阻害剤であるwortmanninは明らかな抑制効果を示したが, AMPKを介した移送には有意な影響を及ぼさなかった。一方, AMPK活性化後の糖輸送活性の促進については, wortmanninあるいはp38MAPキナーゼ (p38MAPK) の特異的な阻害剤であるSB203580により明らかな抑制が認められた。以上の結果より, 脂肪細胞においてAMPKの活性化は, GLUT4の形質膜への移送を促進するが, その細胞内機構にはインスリンによる細胞内情報伝達機構のなかのPI3-キナーゼ活性化の下流にも影響する系が存在するか, あるいはインスリンによる機構ではない別の細胞内情報伝達系の関与があると考えられた。さらにAMPK活性化による糖輸送活性の増加には, GLUT4移送の促進に加えて, p38MAPKの活性化を介してGLUT4の内因性活性を変化させる調節機構も関与している可能性があると考えられた。
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