杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
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42 巻, 1 号
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原著
  • 福長 一義, 大貫 雅也, 福井 裕輝, 舟久保 昭夫, 福井 康裕, 中島 章夫, 嶋津 秀昭, 石山 陽事, 大瀧 純一
    2011 年 42 巻 1 号 p. 2-11
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/31
    ジャーナル フリー
    特定の状況・課題において脳血流が変化する部位を特定(ローカライゼイション)し,その部位の血流情報をフィードバックしながら脳の活動を制御できるようになれば,精神疾患患者の治療やトレーニングに応用可能であると考えられる。本研究では,国際感情画像システムの中から否定的画像を用い,情動刺激を行った際の賦活部位のローカライゼイションを試みた。次に,NIRS本体とパーソナルコンピュータをネットワークで接続し,リアルタイムに関心領域のデータを受信して,oxy-Hb濃度変化をアナログメータ表示するフィードバックシステムを開発した。被験者6名において,背外側前頭前皮質(3例),上側頭溝(6例),腹外側前頭前皮質(2名)の領域がローカライゼイションされた。開発したシステムを被験者に試用したところ,トラブル等は発生せずフィードバックが可能であった。
  • 浅沼 奈美
    2011 年 42 巻 1 号 p. 12-27
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/31
    ジャーナル フリー
    神経症性障害の当事者活動である森田療法理論を基盤とする生活の発見会の初心者向けの学習会で日記指導を受けた12名と,日記指導を行った8名にインタヴュー調査を実施した。日記の書き手は,深く人間関係を築き,同じ仲間の共感を得て,あるがままの自分を受け入れ,自己肯定感の獲得をしていた。また日記指導者は,日記指導自体が自己治癒の過程となっていた。次に,日記指導の実際の内容を3事例で分析した結果,3事例とも「共感期」から「能動的あるがまま期」に到達していた。日記指導のコメントは,「支持」「肯定的評価」「共感」「明確化」「認知の切り替え」「森田理論」「経験からのアドバイス」「自己開示」「仲間意識」の9機能であった。日記指導のコメントの特徴は,「肯定的評価」が,3事例とも同じ割合で,自己フォーカスのプロセスを促進し,森田理論を生活の中に浸透させていく過程で偏った認知を修正し具体的な生活方法を,当事者の立場から示し,初心者向けの学習会の期間を支援する伴走者の役割が存在した。
  • 丸野 秀人
    2011 年 42 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/31
    ジャーナル フリー
    家兎仮骨延長モデルにおける副甲状腺ホルモン(PTH)間歇投与の仮骨への影響を検討した。日本白色家兎(2.2~2.6kg)の仮骨延長モデルを作成し,仮骨延長(総延長距離10.5mm)を2週間行った。延長開始と同時にPTHを10μg/kg(P10群),30μg/kg(P30群)を各5羽に4週間隔日皮下注投与した。なお生食の5羽を対照(N群)とした。術後8週で下腿骨を採取し単純X線像,骨密度,pQCT,micro CT測定と力学的試験を行った。単純X線像でP30群は他の2群に比しリモデリングが促進し,pQCTでは仮骨部全骨断面積が有意に増大していた。またmicro CTの骨微細構造では,骨梁数はP30群が最大で,力学試験ではP30群の吸収エネルギーが他の2群よりも有意に大きかった。以上よりPTHの間歇投与は家兎の仮骨延長モデルにおいて仮骨形成を促進することが明らかになった。
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