杏林医学会雑誌
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43 巻, 3 号
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総説
  • 平岡 厚
    原稿種別: 総説
    2012 年 43 巻 3 号 p. 17-26
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/30
    ジャーナル フリー
     今日,特定健康保健食品ではない種々の水製品が,含有成分の作用あるいは水分子の物性の変化を根拠に,「飲むと健康に良い」という種類の宣伝を伴って販売されている。筆者らのグループは,それらのうち,「有害な活性酸素を消去する成分が含まれており,体内で抗酸化作用を示す」とされているもの及び「水分子のクラスター・サイズが普通の水よりも小さく,水のbioavailabilityが大きいので,生体組織への吸収率が高い」とされているものを各々数点選び,試験管内の諸物理化学的性質および健常者における飲用効果を検討した。当該研究において検討した諸検水は,前者については,いずれも試験管内では一定の抗酸化作用を示したが,飲用による健常者の酸化ストレスの有意な低減は検出されず,また,後者についても,水分子のクラスター・サイズを規定する水素結合における普通の水との差異は観察されなかった。これらの水製品は,製造・販売に当り,宣伝内容と実態が乖離していると考えられた。
  • 松井 健, 岡野 栄之
    原稿種別: 総説
    2012 年 43 巻 3 号 p. 29-34
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/30
    ジャーナル フリー
     ヒトをはじめとする多くの生物の体組織は,損傷からの回復能力(再生能力)を有している。損傷により細胞が失われた組織においては,それぞれの組織に存在する幹細胞が分裂し,失われた細胞を補充する。細胞外マトリックスの欠失や損傷も,組織を構成する細胞の働きによって再構築される。皮膚に生じた切り傷や,事故による骨折が元通りに治癒するのは,この能力によるものである。しかし,すべての組織が同等の再生能力を有しているわけではなく,生体内には再生能力の極めて低い組織も存在する。
     脳や脊髄など中枢神経系の再生能力が非常に低いことは古くから知られており,現代の臨床現場においても神経損傷の根治治療法はいまだ実用化されていない。そのため,脳卒中や脊髄損傷による後遺症を残したまま生活している患者は多数存在する。このような患者の数は,高齢化社会の進展と相まって,今後もさらに増えていくものと考えられる。この現状に対し,再生医療による様々なアプローチが行われている。我々の研究室では神経幹細胞移植が脊髄損傷の治療に有効であることを示し,現在はより移植治療に適した細胞の作製に取り組んでいる。初期の移植実験は複雑なプロセスを経て生体から採取した神経幹細胞で行われていたが,現在は体細胞から生体内のほぼ全ての細胞に分化可能であるiPS細胞を樹立し,そのiPS細胞から作成した神経幹細胞を用いて移植実験を行っている。また,体細胞をiPS細胞の状態を経ずに直接神経幹細胞に変化させることで,より早期に神経幹細胞を得られる方法も開発した。本稿では,そのような取り組みの現状,今後の展望と課題について概説した。
  • 福田 恵一
    原稿種別: 総説
    2012 年 43 巻 3 号 p. 35-41
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/30
    ジャーナル フリー
  • 岩畔 英樹
    原稿種別: 総説
    2012 年 43 巻 3 号 p. 43-48
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/30
    ジャーナル フリー
     近年の幹細胞研究の進歩はめざましく,胚性幹細胞,組織幹細胞,造血幹細胞などをはじめとし,最近では京都大学のグループによって線維芽細胞に数種類の遺伝子を導入し,胚性幹細胞に類似した万能性を有する人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells; iPS) が世界で初めて創出された1)。しかし,胚性幹細胞やiPS細胞のような万能細胞の臨床応用には倫理性,安全性など検証しなければならない点が多数存在する。
     一方,比較的に倫理的問題の少ない体性幹細胞移植はすでに色々な疾患に対して臨床研究が開始され,一定の成果を出しつつある。
     そこで今回,骨髄由来・末梢血由来・皮膚由来など体性幹細胞源(ソース)として用いられている中でも皮下脂肪組織由来の細胞群(Adipose-derived Regenerative Cells: ADRCs)に注目し,この細胞を用いた基礎から臨床研究の現状を報告する。
  • ―高年齢,難治性腹圧性尿失禁症例への応用―
    山本 徳則, 後藤 百万
    原稿種別: 総説
    2012 年 43 巻 3 号 p. 49-54
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/30
    ジャーナル フリー
特集
杏林大学学位論文要旨および審査要旨
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