本邦での脳梗塞患者数は年々増加傾向にあり,それに伴う介護・医療費の増大は大きな問題となっている。超急性期におけるrt-PA静注療法や血管内治療といった治療の進歩は著しいが,脳梗塞の発症や再発をいかに抑えるかはより重要な課題である。脳梗塞は再発率が高い疾患であり,脳梗塞の予防には危険因子の管理と抗血栓療法が2本柱であり,本稿では後者について概説する。
脳梗塞は病因によって心原性脳塞栓(心原性),アテローム血栓性脳梗塞(アテローム血栓性),ラクナ梗塞(ラクナ)の3つに大きく分類されるが,心原性に対しては抗凝固療法が選択され,非心原性として括られるアテローム血栓性およびラクナに対しては抗血小板療法が有効と考えられる。
特に抗凝固療法では近年,新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulant: NOAC)の出現にともない治療の選択肢の幅が広がっており,本項では抗凝固療法・抗血小板療法で使用される薬剤についてエビデンスに基づいて解説する。
抄録全体を表示