杏林医学会雑誌
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46 巻 , 4 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
原著
  • 小林 由佳, 高松 由佳, 仲座 春菜, 島田 正亮, 岡田 洋二, 大瀧 純一
    2015 年 46 巻 4 号 p. 255-261
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル フリー
     唐辛子の辛味成分であるカプサイシン(capsaicin,CAP)の一重項酸素(1O2)に対する消去活性を,ナノ秒時間分解レーザーフラッシュフォトリシス装置を使用して定量的に検討した。その結果,1O2に対するCAPの二次反応速度定数(kQ)は7.7×105 M-1sec-1で,既知の抗酸化物質であるα- トコフェロール(kQ:1.9×108 M-1sec-1)や1O2消去剤である2, 5-diphenyl-3, 4-benzofuran(kQ:2.8×109 M-1sec-1)と比較して非常に低い消去活性だったが,1O2の自発的消去速度定数(8.3×104 sec-1)よりは速い消去活性を示した。そこで,CAPの1O2消去活性部位を特定するために,CAPの主要骨格であるグアヤコール構造を有する各種誘導体の1O2消去活性を測定し,比較検討した。その結果,グアヤコール骨格を持たずCAPのacetamide部位を有するN-benzylacetamideには1O2消去活性が全く認められなかったことから,CAPの1O2消去活性部位はグアヤコール骨格部分のフェノール性水酸基であることが推測された。また,グアヤコール骨格のフェノール性水酸基に対してパラ位に置換されている側鎖の種類によっても1O2消去活性が影響されることが明らかになった。
  • 柴﨑 美紀
    2015 年 46 巻 4 号 p. 263-271
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル フリー
    目的:地域で栄養サポートチームの介入が必要な療養者・家族のニーズと,そのニーズに対応する医療専門職を明らかにすることを目的とした。
    方法:療養者・家族に栄養に関するニーズを調査し,内容分析を行った。次いで医療専門職へ栄養支援について調査し,テキストマイニングによる特徴分析でニーズに対応する職種を明らかにした。
    結果:ニーズとそれぞれに関連の強い職種が明らかになった。対応させて階層化した結果,「家にいられる体力を付ける」と医師を中心とした「治療」チーム,「経口摂取で栄養を摂る」と歯科専門職とリハビリテーション専門職による「摂食・嚥下支援」チーム,「美味しさと栄養の両方を満たす」と管理栄養士を中心とした「栄養支援」チームに分類できた。
    結論:限られた専門職で栄養支援活動が行われている在宅医療の現場において,本研究で示されたニーズの階層と職種の配置を考慮したチーム形成を行うことで,より効果的な支援が行えると考える。
特集『災害医療』
  • 山口 芳裕
    2015 年 46 巻 4 号 p. 273
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル フリー
  • 永田 高志, 王子野 麻代, 寺谷 俊康, 長谷川 学, 石井 正三
    2015 年 46 巻 4 号 p. 275-279
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル フリー
     インシデントコマンドシステム(ICS)は,米国で開発されたあらゆる災害対応において,組織の運用を標準化したマネジメント体型であり,本邦では緊急時総合調整システムと紹介されている。指揮統制や調整,組織運用などが標準化されていることが特徴であり,米国では災害対応のみならずマラソンやスポーツイベントなど,あらゆる危機管理事案がこのインシデントコマンドシステムに基づいて実施される。インシデントコマンドシステムは次の6つの要点でまとめられる。
  • 鈴木 孝昭
    2015 年 46 巻 4 号 p. 281-284
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル フリー
     東日本大震災をきっかけに,様々な分野の企業がBusiness Continuity Plan(事業継続計画;以下,BCP)の策定を進めている。病院においても例外ではなく,一般企業のBCPと比較しても対応力や復旧までの速度,求められる業務量が格段に多い。BCP策定では,事業継続のために必要な建物,物,人等の資源の把握を行うこととなるが,人的資源の確保は最重要課題となる。また,災害発生直後の初動対応を円滑に行うためには情報統制が重要となる。情報の管理方法やインフラ整備の検討が必要だが,情報統制確立は発災直後の混乱を抑制し,円滑な初動対応に結び付くこととなる。
  • 若林 進
    2015 年 46 巻 4 号 p. 285-289
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル フリー
     東日本大震災以降,災害医療における薬剤師の活躍の場が広がったとされている。処方薬の提案や,薬剤の鑑別,支援物資の仕分け,保管・管理など様々な場面で,薬剤師が活動していた。そしてその医薬品を鑑別する際や,供給する際に,お薬手帳が活用されていたのも事実である。医薬品の備蓄・供給について,災害発生直後~3日目くらいまで,それ以降や,さらに避難所生活が長期化する場合では需要が異なってくる。厚生労働省大規模災害時の医薬品等供給システム検討会がまとめた医薬品リストと,2015年9月に発生した関東・東北豪雨災害でJMAT茨城が携行した医薬品を紹介する。また,災害時における後発医薬品に関する一考察を紹介する。
  • 塚田 芳枝
    2015 年 46 巻 4 号 p. 291-294
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル フリー
     いかなる状況にあろうとも,人は食事すなわち栄養や水を補給し続けなければ,生きていくことはできない。災害医療の場面においてもそれは不動の理である。
     平時においては,食事提供は治療の一環と考えられており,『疾病の治癒・改善』を目的として行われる。しかし,災害時,その目的は一変する可能性を否定できない。『生命の維持・活動量の維持』に目的を置きかえ,食事提供を行う状況を平時より想定しておく必要がある。
     阪神淡路大震災や東日本大震災など災害の経験を通し,昨今では,備蓄食糧に対する考え方も現実味ある切迫した課題ととらえられるようになってきた。ここでは,食糧備蓄に対する基本的な考え方を整理したい。
  • 横田 由佳
    2015 年 46 巻 4 号 p. 295-299
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/26
    ジャーナル フリー
     災害看護は,災害の種類,被害状況,フェーズによって変化する医療ニーズに応じて,切れ目なく提供される。本稿では,災害拠点病院という組織の中で,看護が果たすべき役割について考えてみたい。阪神淡路大震災のデーターによると,発災から72時間を超えると救出者の生存率が激減する。そのため,72時間以内の救出と救急医療は,多くの命を救うために非常に重要である。しかし,この72時間は,病院は外部からの供給が途絶え,医療資源が圧倒的に不足する時期でもある。災害拠点病院は,危機的な状況の中,医療資源を上回る傷病者が訪れても,最善の災害医療を提供することが必要である。看護の果たすべき役割は,院内の日頃の備えに参画し,災害時に医療提供機能を維持し,多数の傷病者に対して適切な災害看護を,切れ目なく実践することである。これまので災害の教訓から,看護部門のあるべき姿を考え,適切な災害看護が実践できる看護組織を構築することが必要である。
第2回市民公開フォーラム「脳卒中治療・予防・そしてリハビリテーション」
杏林大学学位論文要旨および審査要旨
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