杏林医学会雑誌
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47 巻, 1 号
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原著
  • 山田 千歩
    2016 年 47 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     精神・神経作用薬の使用に起因する悪性症候群(Neuroleptic Malignant Syndrome: NMS)による急死事例では,法医実務上,死因究明のための一般的な解剖検査のみでは診断が困難とされている。 NMSの症状に高体温と筋強剛があることから,本研究では,熱ショック蛋白質の一つユビキチン(Ubiquitin: Ub)とCa2+放出チャネル蛋白質であるリアノジン受容体(Ryanodine Receptor: RyR)に着目し,診断に応用することで,NMSの法医診断に有用な指標となるか検討した。方法として,NMS12例,非NMS15例の各臓器を抗Ub抗体と抗RyR抗体を用いて,それぞれ免疫組織化学的に解析した。その結果,UbはNMS例の骨格筋で陽性細胞核数の割合が高く認められた。しかし,非NMS例のうち精神・神経作用薬を服用している事例の骨格筋においても,同様の結果となったため,診断指標として有用ではない。一方,大腰筋と視床下部でRyR陽性細胞が観察視野の1/3以上観察された場合,NMSと診断できる可能性があり,法医診断に有用な指標の一つとなると考えられた。
  • 職場関連性に焦点をあてた介入方法の検討
    山下 真理子, 田中 伸一郎, 大瀧 純一, 古賀 良彦
    2016 年 47 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,外来受診中のうつ病患者を「職場関連群」と「非職場関連群」に分類し,精神状態と性格要因・環境要因との関連を検討することを目的とした。A大学病院精神科外来を受診したうつ病患者にHAM-D評価面接とY-G性格検査,診療録より背景調査を実施した。結果,HAM-D得点は,「職場関連群」1点から28点(mean±SD 13.5±6.6点),「非職場関連群」3点から29点(mean±SD 15.4±9.8点)。Y-G性格検査は,「職場関連群」でA型5名(38.5%),E型4名(30.8%),D型2名(15.4%),B型1名(7.7%),C型1名(7.7%)。またHAM-D得点とD抑うつ性,I劣等感に正の相関が見られた。 「職場関連性」のうつ病ではA型とE型が多く見られ,それぞれの環境への適応性を考慮すると,A 型は従来の休息と薬物療法を主とした介入で改善することが見込まれるが,元々不適応を起こしやすいE型は,劣等感を和らげるようなアプローチを含む認知行動療法等を積極的に行う必要性が高いと考えられた。
特集「クリティカルケア領域における早期リハビリテーションの実際」
特集「災害医療」Part2
  • 新井 隆男
    2016 年 47 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     平成23年3月に発生した東日本大震災での教訓を踏まえ,東京都は災害医療体制を見直し,一層の充実を図っている。新しい災害医療体制において東京都は,(1)フェーズ区分の細分化,(2)地域の実情に応じた災害医療体制の整備,(3)すべての医療機関の役割分担の明確化,(4)情報連絡体制の構築, (5)医療支援・受援体制の構築などを柱として掲げた。
     東京都は人口が多く,また人口密度も高いため,災害時には医療資源や搬送手段が著しく不足することが予測される。そのため,“平時”からの備えと“地域力”の向上が不可欠である。これについて,各二次保健医療圏に設置された東京都地域災害医療コーディネーターが“平時”から災害医療体制づくりをリードし,地域の連携強化に努めている。また,区市町村に設置される緊急医療救護所では,医師会や行政だけでなく,歯科医師会,薬剤師会,柔道整復師会,消防団,自治会,ボランティアなど地域全体の協力が必要とされる。このような体制が都民に根付き機能するよう,幅広い活動が行われている。
  • 加藤 聡一郎
    2016 年 47 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    災害によるインフラストラクチャーの崩壊は,被災傷病者への適切な医療提供に大きな障壁となる。 そのため災害医療における搬送には,的確なニーズの抽出と資源投入のための事前計画が肝要である。 医療機関も,Business Continuity Planや地域防災計画を基にした,日常診療体制の見直しと災害対応戦略の構築が欠かせない。大規模災害を想定すると,個人や組織を問わず誰もが,それぞれ自力で移動・搬送するための準備が求められる。公的機関や行政組織では,それに続く共助・公助のための搬送計画が重要になる。ここでは,傷病者搬送のあり方について理解を深めるため,災害対応の実経験に加えて,自治体・政府レベルで行われた訓練や今後の課題について紹介する。
  • 伊東 杏里
    2016 年 47 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder:PTSD)は,極度の外傷的出来事により引き起こされる反応性の精神症状であり,フラッシュバックを代表とする侵入症状,外傷的出来事への回避努力や,感情のネガティブな変化などが一ケ月以上みられたときに診断される。災害時には身体疾患のみならず精神疾患への早期介入・早期治療が重要であるが,専門スタッフの支援が被災者へ十分に行き渡らない事が問題である。簡便なスクリーニングを用いれば,専門知識がなくても早期から支持的に介入することが可能である。PTSDの診断基準および簡便なスクリーニング検査について述べ,早期介入の重要性について解説する。
市民公開講演会「女性の医学」
  • 古川 誠志
    2016 年 47 巻 1 号 p. 77-79
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     米国では40年前と比べて35歳以上の初産婦の数は9倍増加した。一方本邦では35―39歳階級の出生率増加が他の年齢階級と比べて著しい。このような高齢出産の増加は女性の高学歴化とそれに伴う社会進出に加え,近年の生殖補助医療の発達が高齢女性の妊娠率を上昇させたことも影響している。さて,高齢出産には種々の問題がつきまとう。 妊娠中に起こる産科合併症のほとんどが年齢依存性に上昇する。高齢妊娠だと妊娠初期の流産率が上昇する。これには加齢による卵巣機能や子宮機能の低下とダウン症候群を始めとした染色体異常の頻度が増すことが関与する。実際,40歳で単胎妊娠の場合,児がダウン症候群となるリスクはおよそ1/100であり,これは20歳でのダウン症の発症リスク(1/1700)に比べて著しく高い。また妊娠糖尿病,妊娠高血圧症候群,前期破水,切迫早産,前置胎盤,常置胎盤早期剥離や胎内死亡といった産科合併症も年齢依存性に発症頻度が上昇する。更に高齢では慢性高血圧症や2型糖尿病,肥満などの内科合併症を持つ女性の頻度も増加し,妊娠中の内科合併症の悪化や妊娠高血圧症候群などの産科合併症が高率に出現する。これらは医原的な早産出生を余儀なくされる。このように高齢妊娠では母体の罹病率の上昇のみならず胎児の罹病率も上昇させ,双方の健康障害が危惧される。当面晩産化傾向は続くために,妊娠に伴う母児双方の諸問題を広く認知させ,個人レベルでも対策を講じる必要がある。
  • 小林 陽一
    2016 年 47 巻 1 号 p. 81-83
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
  • 齊藤 英和
    2016 年 47 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
杏林大学学位論文要旨および審査要旨
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