近年小児科診療の場において, 先天異常の診断および診療についての重要性が指摘されるようになった。小児科の診療体制にも専門(特殊)外来として遺伝・奇形・精神薄弱などを対象とする部分が小児神経科より独立して運営されるようになってきた。杏林大学小児科においても1971年8月より染色体外来を設け, 細胞遺伝学の手法を中心にして, 先天異常の診断および診療にあたってきた。この3年間で241件の染色体分析を行い, 44例に染色体異常を認めた。この44例のうち40例が常染色体の異常であり, 4例が性染色体の異常であった。4例の性染色体異常症のうち2例がTurner症候群(2例がmosaic)であった。さらに44例のうち35例, 79.5%が, Down症候群であったが, 18-trisomy症候群2例, D_1-trisomy症候群(mosaic) 1例と比較的稀な染色体異常症も認められた。本論ではさらに, 自験例の図示を中心に染色体異常症について概説した。
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