杏林医学会雑誌
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50 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
特集「ロボット手術は汎用技術となるか?」
  • 福原 浩, 桶川 隆嗣
    2019 年 50 巻 2 号 p. 65-69
    発行日: 2019/07/03
    公開日: 2019/07/03
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  • 福原 浩
    2019 年 50 巻 2 号 p. 71
    発行日: 2019/07/03
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー
  • 藤村 哲也
    2019 年 50 巻 2 号 p. 73-76
    発行日: 2019/07/03
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー

     新規手術を導入するためには,医療安全,病院経営,医療スタッフとの連携,後進の指導など多くの点に留意する必要がある。前立腺,腎臓,膀胱の3つのロボット支援手術を導入した経験から,これらの留意点について前立腺全摘除術を例に概説する。

  • 桶川 隆嗣, 福原 浩
    2019 年 50 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 2019/07/03
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー

     ロボット手術(de Vinc サージカルシステム®)(図1)は,10 倍の拡大視野や遠近感を有した3次元画像により,従来手術と比較して,微細な膜構造を観察できること,高い自由度を持つエンドリストを有する手振れのない鉗子で,正確にかつ微細な手術操作を行うことができる。前立腺全摘術では剥離操作や吻合操作を人の手で行うより格段に正確に行えるし,今までの腹腔鏡手術での鉗子操作と比較にならないほど巧みに操作できることを考えれば,今後,ロボット手術は外科領域で汎用技術となり得ると考えられる。ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術(robot associated laparoscopic radicalprostatectomy : RARP)では,尖部処理により断端陽性率の低下にて腫瘍制御においては有利となる。さらに,出血量,輸血率において有意に少なく,入院期間も有意に短期間となる利点がある。RARPのlearning curve は他の術式より短縮が認められるため,合併症発生率が低下すると考えられる。正確にかつ微細な手術操作を行えるロボット手術は早期に尿禁制を獲得でき,勃起機能においても良好な成績であるとの多くの報告がある。しかし,手術が簡単になったのではなく,さらなる術式の工夫が,治療成績の向上につながると期待している。

  • 佐藤 悠佑, 久米 春喜
    2019 年 50 巻 2 号 p. 85-88
    発行日: 2019/07/03
    公開日: 2019/07/03
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     ロボット支援腎部分切除術(RAPN)はT1の腎癌に対して適応とされ、2016年に保険収載されてから急速に普及するとともにhigh volume centerにおいては難易度の高い腫瘍にも対象が拡大されている。
     我々の施設では、腫瘍の位置によって経腹膜アプローチと後腹膜アプローチの2つの方法を使い分けており、いずれのアプローチにおいてもロボットアームは4本全て使用している。阻血は原則として腎動脈のみのクランプとし、3-5mmのマージンをつけて鋭的切開と鈍的剥離を併用した腫瘍の切除を行っている。切除面の止血縫合を行った後、early unclampingにより動脈性出血の確実な止血を図っている。腎実質縫合を行い、ドレーンは留置していない。
     RAPNは腹腔鏡下腎部分切除術と比較して様々な点で優れた術式であると考えられるが、鏡視下での腎門部の操作について十分に理解・習熟している必要があることは同様である。

  • 武藤 智
    2019 年 50 巻 2 号 p. 89-92
    発行日: 2019/07/03
    公開日: 2019/07/03
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     開放性膀胱全摘除術(ORC)は浸潤性膀胱癌に対する標準治療である。しかしその侵襲性は高く,周術期の有害事象は決して許容できるものではない。ロボット支援膀胱全摘除術(RARC)はORCに代わる低侵襲手術として2003年に登場した。本邦でも2018 年より保険収載され,既に多くの施設で浸潤性膀胱癌に対する根治治療として行われている。さらに尿路変更についても,以前は尿路変更術に関してintracorporeal かextracorporeal か意見が分かれていたが, 最近では尿路変更術もintracorporealで行うことを支持する報告が多い。しかし,確立された術式は未だ存在せず,RARCを経験した一部の施設で積極的にトライされている。われわれは2012年11月に1例目のRARCを行い2019 年3月までに42例行っている。ICUD 回腸導管造設術も既に現在の術式で10例以上経験し,膀胱摘出に2時間,尿路変更に2 時間で術後合併症なく行うことが可能になった。本稿ではわれわれのRARC の経験を中心に概説する。

  • 杉原 亨, 藤村 哲也
    2019 年 50 巻 2 号 p. 93-98
    発行日: 2019/07/03
    公開日: 2019/07/03
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     情報技術の発達により,大量のデータを一気に解析することが可能となりビッグデータを臨床疫学的に解析できるようになってきた。前立腺悪性腫瘍は2012年に我が国で初めてロボット支援手術の保険適応を受けたが,その臨床現場へのインパクトを大規模データベースで解析すると,保険収載2年で術式シェア一位となり4年後にはシェア50%超を占めるに至った。
     保険収載初年度において前立腺悪性腫瘍におけるロボット支援手術と開放性手術の周術期アウトカムを比較すると,自己血使用率が12.2%と82.6%,自己血以外の輸血率が0.7%と7.3%とロボット支援手術に有意に有意な結果であり,合併症率・在院日数等の指標ででも同様であった。
     手術支援ロボットの登場は患者の移動にも影響を与えた。その集患効果は30km圏に及び,導入病院における前立腺癌手術は導入6ヶ月後で101%増加した。
     我が国初の保険収載として前立腺癌治療に相当なインパクトを臨床現場に与えた手術支援ロボットであるが,今後,適応術式が増加し,より普遍的なツールの一つとなっていくことが期待される。

杏林大学学位論文要旨および審査要旨
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