杏林医学会雑誌
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最新号
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総説
  • 小原 映
    2021 年 52 巻 3 号 p. 115-120
    発行日: 2021/09/29
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル フリー

     Equolは,イソフラボンであるダイゼインより腸内細菌によって合成される化合物である。女性ホルモン様作用を有しており,その作用はイソフラボンより強い。従って,ホルモン依存性がんや更年期障害などの予防効果が期待されている。しかしEquolは,生体中において活性本体や体内動態など不明な点が多い。著者は,化学合成したEquolを含む抱合代謝物8種を用い,標準添加法による分析法にて,ヒト血漿中のEquol抱合代謝物の分析を行った。その結果,血漿中における主要な抱合代謝物は,Equol-7G-4’Sであることが明らかになった。本総説では,Equolの作用や著者が明らかとしたヒト血漿中の主要なEquol抱合代謝物を中心に,今後の課題や展望について述べる。

特集「画像診断・画像下治療の最前線」
  • 横山 健一
    2021 年 52 巻 3 号 p. 121
    発行日: 2021/09/29
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル フリー
  • 町田 治彦, 西川 真木子, 苅安 俊哉, 安達 卓哉, 清水 裕太, 新井 隆弘, 福島 啓太, 山村 亘, 小柳 正道, 志賀 久恵, ...
    2021 年 52 巻 3 号 p. 123-132
    発行日: 2021/09/29
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル フリー

     超高精細CTとスペクトラルCTは注目の最新CT技術である。超高精細CTは従来に比し空間分解能が大幅に向上し,微細な構造物の描出を改善できる。側頭骨CTでは中耳・内耳疾患の診断や治療法の選択,胸部CTではすりガラス濃度結節の評価,仮想気管支鏡検査などに有用である。逐次近似再構成を併用したCT angiographyでは脳動脈穿通枝などの描出能を向上できる。深層学習再構成を併用した腹部・骨盤CTでは低線量撮影でも微細病変を十分検出できる。スペクトラルCTは様々なエネルギーレベル(keV)の仮想単色X線画像,多様な物質弁別画像,実効原子番号画像などを取得でき,通常CTを超える多くの情報が得られる。低keVの仮想単色X線画像は造影効果の向上,造影剤量の合理的低減に有用である。また,スペクトラル曲線により通常CTを超える物質弁別が可能である。造影CTのヨード強調画像は組織灌流の評価,嚢胞と充実性腫瘍の鑑別などに有用である。心筋遅延造影CTでは心筋梗塞や線維化の検出能が改善し,不整脈起源の同定,心筋症の鑑別診断などに有用である。ヨード抑制画像は真の単純CTの代用となりうる。仮想カルシウム除去画像はMRIのように骨髄浮腫などを鋭敏に検出できる。実効原子番号画像は尿路結石の詳細な成分分析などに役立つ。杏林大学放射線科では,以上の臨床応用を積極的に行い,より良い医療の実践に努めている。

  • 福島 啓太, 町田 治彦, 苅安 俊哉, 渡邉 正中, 五明 美穂, 高橋 沙奈江, 齋藤 駿, 吉岡 達也, 中西 章仁, 横山 健一
    2021 年 52 巻 3 号 p. 133-140
    発行日: 2021/09/29
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル フリー

     当院に新たに導入された高性能3テスラMRI装置Vantage Centurianは非常に高い最大傾斜磁場強度(100 mT/m)を有している。特長の一つとして高分解能化が容易であるため,従来では成しえなかった微細構造の画像化を実現できる。脳神経領域では脳動脈穿通枝の描出能が改善し,頭蓋内血管壁イメージングによる詳細な病態の把握も可能となっている。撮像条件の自由度も向上するため,従来では高分解能化や画質維持が困難であった拡散強調画像の有用性も向上する。腹部領域ではエコー時間を短縮した超高b値(3000 s/mm2)の拡散強調画像を肝臓に応用し,微小肝転移の鋭敏な検出や肝腫瘍の良悪性の鑑別に役立てている。もう一つの特長として,人工知能(AI)の機械学習の一手法であるディープラーニングを用いた画像再構成技術(AiCE)も適用できる。AiCEは一般的なフィルタ処理と異なり画像ノイズのみを除去でき,信号ノイズ比が格段に向上する。さらに,高周波成分のノイズを分離して学習を行っているため,一般的なディープラーニングと異なり,MRIの多種多様なシーケンス,コントラスト,画質などに対応でき汎用性が高い。我々はこのAiCEを併用した高分解能T2強調画像を膀胱癌症例に応用し,正確な病期診断に貢献している。「細かくきれいに」といった従来の二律背反を破る,MRIにとってブレイクスルーとなるような技術が臨床応用可能な本装置は画像診断を新たなステージへと導く。

  • 須山 淳平
    2021 年 52 巻 3 号 p. 141-145
    発行日: 2021/09/29
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル フリー

     2020年11月より杏林大学医学部付属病院初のPET装置が導入されており,現在日々の診療に用いられている。当院に導入されたPET装置は,半導体素子を利用した高性能のデジタル PETであり,優れた分解能を有している。また,検査を有利に進めていくための様々な新しい機能を有しており,検査効率を高めている。本年7月には深層学習(Deep Learning)を利用した画像再構成法が導入された。CTやMRIではすでに臨床応用されているが,PET装置には初めて導入された技術であり,画質向上に寄与している。
     FDG製剤の悪性腫瘍診断についての有用性はすでに周知されている。現在では早期胃がんを除くすべての悪性腫瘍が保険適用となっており,臨床的な役割が確立してきた。その他のPET製剤の普及も望まれており,特にアルツハイマー病治療の進歩に相まってアミロイドPETの保険承認や,製造販売承認を受けたアミノ酸製剤の今後の臨床応用が待たれている状況である。

  • 橋本 直也, 山下 晃司, 首藤 淳, 中西 章仁
    2021 年 52 巻 3 号 p. 147-152
    発行日: 2021/09/29
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル フリー

     X線撮影は,胸腹部及び椎体部や四肢部などあらゆる部位に対して撮影を行うことが出来る。また,形態的な異常を発見し,初期診断や定期的な経過観察に用いられている。今回新しく開発されたデジタルX線動画撮影システム(動態撮影装置)は,連続するパルス状のX線をある一定時間(~20秒間)照射することにより連続したX線画像(X線動画像)を比較的低線量(約1.5mGy)で撮影ができる。従来のX線撮影同様に低侵襲・低被ばくで,簡便にX線動画像を撮影することが可能である。更に,X線動画像専用の動画解析ワークステーションに搭載された胸部動態解析アプリケーションを用いることで肺換気や肺血流を反映する画像を作成することが可能であり,形態情報のみだけではなく肺機能の可視化も可能となっている1)
     当院では,2020年5月に動態撮影装置が導入され主に胸部を対象として撮影を行っている。
     本稿では,動態撮影装置の機能を紹介し,専用ワークステーションの特徴や臨床の取り組みについて述べる。

  • 竹下 祐平, 片瀨 七朗
    2021 年 52 巻 3 号 p. 153-155
    発行日: 2021/09/29
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル フリー

     AI(Artificial Intelligence)とは,人間の知能のような振る舞いをするコンピューターやそれに関する研究分野を指す。現在,医療業界には第3次AIブームが到来している。画像診断支援だけでなく,画像のノイズ低減処理や多臓器の自動抽出,放射線治療のプランニングなど,研究分野は多岐にわたる。ディープラーニング(深層学習)を用いたコンピューター支援画像診断(CAD : Computer-Aided Detection/Diagnosis)の研究や商品化も多く見られており,当教室でも富士フィルムメディカル株式会社とディープラーニングを用いた共同研究を行っている。主な研究内容は,胸部CTにおける肺結節検出のコンピューター支援検出(CADe : Computer-Aided Detection)の開発,肺結節の経時比較に関するものである。日常診療における検査数や画像枚数は増加傾向にあり,画像診断医の日常業務の負担が増加している現状がある。CADを含めたAI技術の発展による読影業務の負担軽減や見落とし防止などに期待が高まっている。しかし,現状としてCADの臨床応用はあまり進んでおらず,今後どのように運用していくかを開発と並行して検討する必要がある。

  • 小野澤 志郎
    2021 年 52 巻 3 号 p. 157-161
    発行日: 2021/09/29
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル フリー

     IVRは近年「画像下治療」と呼ばれ,診断のみならず多くの治療を行っている。日本IVR学会ではIVRの認知を広めるために解説動画を作成し,広く公開している。画像下治療による非常に多くの治療が可能であるが,一方で専門性も高くなり,放射線科のみならず循環器内科や脳神経外科・神経内科,心臓血管外科領域でも非常に多くの医師が携わっている。そんな中で放射線科IVRにも比較的新しい手技が報告されている。その中の一つにリンパ管のIVRがある。現在,鼠径リンパ節穿刺から造影を行い,さらに乳び叢を穿刺することでカテーテル挿入を行い,胸管塞栓を行う。また骨転移による疼痛緩和目的のTAEや子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)なども比較的新しい治療といえる。さらに末梢血管のステントグラフトは日本でのみ血管損傷の適応を受けており,塞栓術に変わる新たな治療法となっている。また杏林大学形成外科は全国でも有数の血管奇形患者の治療機関であるが,動静脈奇形の一部は静脈を塞栓することでその根治が得られる可能性があることが近年分かってきた。加えて,より複雑なAVMの硬化療法に有用と考えられる4D-DSA装置のHybrid手術室への導入が決定しており,さらに最新の治療が可能となることが期待されている。また救命救急の2アーム血管造影装置の更新も間近に迫っており,最新機器の導入を含め,これからの杏林大学での画像下治療IVRには大きな期待がされている。

特集「不整脈診断・治療の進歩」Part2
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