杏林医学会雑誌
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最新号
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原著
  • 関 健介, 森 数美, 岡田 洋二
    2019 年 50 巻 3 号 p. 117-123
    発行日: 2019/10/02
    公開日: 2019/10/02
    ジャーナル フリー

     中国で民間の抗炎症薬や解熱剤として使用されているウリ科の多年草である羅漢果水抽出物 (Fructus Momordicae Extract, FME) の抗酸化活性について,安定なフリーラジカルであるガルビノキシルに対する反応性を定量的に測定することにより検討した。その結果,まずFME 1.0g中にはガルビノキシルと反応しうる水素供与物質が1.9×1019個存在していることが分かった。また,ガルビノキシルに対するFMEの二次反応速度定数 (k2)は3.0×10-2(g/l)-1sec-1だった。さらに,ガルビノキシルに対するFMEと既知の抗酸化物質に存在する水素供与物質に限った二次反応速度定数 (k2’) は,9.4×102(mol/l)-1sec-1(FME),9.8×102(mol/l)-1sec-1 (α-トコフェロール),2.7×103(mol/l)-1sec-1 (ケルセチン), 1.6×103(mol/l)-1sec-1 (ケンペロール),および1.8×103(mol/l)-1sec-1 (没食子酸プロピル) だった。k2’の数値からそれぞれの抗酸化物質の抗酸化活性を比較すると,フリーラジカルであるガルビノキシルに対する反応性に限っては,FMEの抗酸化活性はα-トコフェロールのそれとほぼ同様の活性を有していることが判明した。これらの結果から,羅漢果の抗炎症効果や解熱効果は,羅漢果に含有する抗酸化物質の抗酸化活性が関与していることが推測された。

  • 小原 映, 石井 和夫
    2019 年 50 巻 3 号 p. 125-130
    発行日: 2019/10/02
    公開日: 2019/10/02
    ジャーナル フリー

     大豆イソフラボンであるdaidzein(Dein),genistein(Gein)はエストロゲン様作用を持ち,過剰摂取によりエストラジオール濃度低下や月経周期延長の生体作用を示す。イソフラボン抱合代謝物自体もエストロゲン様作用を有するため,アグリコンのみならず抱合代謝物の質的・量的把握が重要な課題である。イソフラボンの過剰摂取による生体作用とイソフラボン抱合代謝物の関係を検討した報告はない。そこで我々は健康な成人女性4名に,1月経周期の間イソフラボン25mgを含むサプリメントを摂取させ,摂取中とその前後の変化を検討した。抱合代謝物の測定は当研究室にて開発したHPLC-UV法を用いた。月経周期は被験者4名共に摂取中から後にかけて延長し,同様に血漿中の Dein-4’-Gは増加傾向を示した。一方内因性エストラジオールは有意な傾向を示さなかった。よって月経周期の延長にはDein-4 ’-Gの関与が示唆された。しかしながらイソフラボン抱合代謝物は体内動態における個人差が大きいため,被験者を増やし更なる検討が必要である。

症例報告
  • 西條 智子, 木内 善太郎, 福原 大介, 上里 忠光, 上原 由紀, 楊 國昌
    2019 年 50 巻 3 号 p. 131-135
    発行日: 2019/10/02
    公開日: 2019/10/02
    ジャーナル フリー

     涙嚢炎は小児科医が日常診療の中でしばしば経験する疾患である。症例は日齢7の男児,涙嚢炎の診断で入院し,血液培養検査からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus : MRSA)が検出され,MRSA敗血症としてバンコマイシンによる治療を行った。後に,菌株解析を施行し,PVL(Panton-Valentine leukocidin)陽性の市中型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(community-associated Methicillin-resistant Staphylococcus aureus : CA-MRSA)(USA300)と同定された。今回,敗血症にまで至った最大の原因は起因菌がPVL陽性のCA-MRSAであったためと考えられ,近年その高病原性について注目されている。涙嚢炎からも起因菌の病原性によっては敗血症や髄膜炎などの重症感染症を引き起こし致死的になりうるため,注意が必要である。

特集「末梢動脈疾患(PAD)・胸骨骨髄炎・褥瘡」Part2
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