共生学研究
Online ISSN : 2759-2782
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選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 2025 年2 巻 p. 0-
    発行日: 2025/06/02
    公開日: 2025/06/02
    ジャーナル フリー
  • 檜垣 立哉, 大谷 悠, 宮前 良平
    2025 年2 巻 p. 1-20
    発行日: 2025/06/02
    公開日: 2025/06/02
    ジャーナル フリー
    共生学会第2回福山大会で行われたシンポジウム「哲学者とまちづくり活動家、共生学を挟み撃ちする」では、共生学をテーマに理論と実践の観点から議論が展開された。哲学者として檜垣立哉氏、まちづくり活動家として大谷悠氏に登壇いただいた。檜垣立哉は『食べることの哲学』をもとに、食べる行為を命の贈与と捉え、食べるという究極の共生関係について語った。大谷悠は『都市の<隙間>からまちをつくろう』をもとに、空き家を活用して多様な人々が交流する場を創出する、共生の実践を紹介した。ライプツィヒでの「日本の家」などの活動を通じて、料理を媒介に人々が繋がり、社会的な隔たりを乗り越えるプロセスを説明した。シンポジウム全体を通じて、グレーゾーン=隙間の価値や、無責任だからこそ生まれる共生について議論が進められた。共生の理論と実践が相互にどのように作用し合うかについて示唆が得られた。
  • ―「生産性」によらない就労継続支援B型事業所の価値―
    鈴木 ちひろ, 三枝(石田) まり
    2025 年2 巻 p. 21-41
    発行日: 2025/06/02
    公開日: 2025/06/02
    ジャーナル フリー
    本稿は、健常者の市場主義・能力主義的価値観を「共生社会実現のための障壁」として、それを変革するため、市場主義・能力主義的「生産性」によらない「新たな視点」から、障碍者の就労の場であるB型事業所の価値を明らかにすることを目的とする。方法としては、地域に開かれたB型事業所であるレストランの利用客を対象としたアンケート調査を実施し、量的分析と計量テキスト分析を行った。分析の結果、利用客の大部分は、「障碍者がレストランで働いていること」および「障碍者との共生」に対して肯定的であるが、その基盤にある価値観は様々であり、障碍者を応援しようという意図の記述の中にも、その意図に反して、能力主義的な価値観が入り込むことが明らかになった。また、共生についての記述を類型化した結果、マジョリティの特権性を省察し、自らの内部から変革するという認識による記述は、全体の一部だった。これらに対して、「リラックス感」との対応分析の結果から、共生社会実現におけるB型事業所の有する価値は、傷つきやすい生身の身体をもつ一人称主体として、同じく傷つきやすく制御不能な他者との出会いの場であることである、と結論した。
  • ―「エチカ福島」の対話実践からの考察―
    渡部 純
    2025 年2 巻 p. 42-60
    発行日: 2025/06/02
    公開日: 2025/06/02
    ジャーナル フリー
     本稿は、原発事故が抱える諸問題について市民が語り合う対話活動に取り組んできた「エチカ福島」の実践研究である。原発事故の被災者のあいだに分断や沈黙、集合的トラウマなどの〈傷〉が生じたことは様々な研究によって明らかにされてきたが、それらの多くは対話による修復的アプローチを志向するものであり、そこにおいて被災者の〈傷〉は回復や治癒の対象とされる。本稿は、エチカ福島の対話実践から〈傷〉を負った被災者の語りの諸相を検討するが、それは回復を志向するアプローチとは視点を異にする。本稿が注目するのは、他者の語りから自らが負った〈傷〉に気づかされ、自分の言葉に躓き、あるいは深い負い目の〈傷〉を残そうとする人々の語りが、むしろ他者との結びつきを生成したり、聴き手の自省を促す点にある。これらの〈傷〉は、他者との共生を可能にする公的空間や自己との調性という意味での倫理的な生を開く。本稿は、その意味についてハンナ・アーレントの思想を手がかりに解釈を与えるものである。
  • ―異文化理解と災害対応において―
    モインウッディン モハンマド, 小谷 仁務, 田村 まり
    2025 年2 巻 p. 65-80
    発行日: 2025/06/02
    公開日: 2025/06/02
    ジャーナル フリー
    本稿では、異文化理解と災害対応におけるモスクの役割について検討する。まず、日常におけるモスクの異文化理解の促進活動として、大阪茨木モスクの事例を取り上げ、ムスリムと非ムスリムの相互理解を深める取り組みを紹介する。次に、東日本大震災と熊本地震におけるモスクの支援活動を取り上げ、被災地での短期および長期の支援活動とその役割を示す。具体的には、仙台モスク、福島・いわきモスク、熊本モスクの3つのモスクを対象に既存文献とインタビュー調査を通じてその実態を明らかにする。最後に、新型コロナウイルス感染拡大時におけるモスクの役割として、大阪イスラミックセンターがワクチン接種会場として機能した事例を紹介する。この事例では、言語的・宗教的配慮が接種意思決定に与えた影響についても言及する。これらの発表を通じて、日常から災害時に至るまでのモスクの多様な役割を明らかにし、異文化理解やインクルーシブな災害対応の促進に寄与する知見を提供する。
  • ―オートエスノグラフィックな経験をめぐる対話―
    宮前 良平, 石原 真衣, 渡部 純, 熊本 博之, 小山 冴子
    2025 年2 巻 p. 81-99
    発行日: 2025/06/02
    公開日: 2025/06/02
    ジャーナル フリー
    本稿は、2022年6月26日に開催されたシンポジウム「沈黙を残す:オートエスノグラフィックな経験をめぐる対話」の記録である。本シンポジウムでは、「沈黙」というテーマのもと、自身の経 験を語り、語れないこと、語ることの意味と暴力性についての対話が行われた。オートエスノグラフィは、自分自身の経験を記述する手法であり、参加者は、自身のアイデンティティやコミュニティの中での位置づけについて語った。宮前は東日本大震災での被災地支援の経験から「非当事者としての視点」について考察し、石原はアイヌの出自を持つ自身の経験を通じて「沈黙」と向き合い、オートエスノグラフィの可能性を示唆した。渡部は福島の原発事故後の経験をもとに、「語られない声」の存在とその意味を深く掘り下げた。この対話は、個々の沈黙がもつ意味を再認識し、社会における声なき声をどのようにすくい上げるかを探る試みとして捉えられるだろう。
  • ―弱者の物語を消費する構造―
    中山 亜紀子, 中井 好男, 高 智子, 志水 宏吉, 眞浦 有希
    2025 年2 巻 p. 100-124
    発行日: 2025/06/02
    公開日: 2025/06/02
    ジャーナル フリー
     近年、当事者研究やオートエスノグラフィの形で、自らのマイノリティ体験が表現されたものを目にすることが増えてきた。筆者らが関わりを持つ日本語教育の中でも、日本語の母語話者規範や日本語の所有権を批判的に考えるために、非母語話者が書いた物語を読んだり、いわゆる「日本人」ではない人が書いた自伝的物語を読むことも増えてきた。しかしながら、そのような体験の書き手、語り手は、その語る/書くという行為をどのように感じているのか。また、それらを読むことは「共生」につながるのか。本フォーラムでは、日本語教育に従事する三人が、マイノリティ体験を読む、語ることについて話し合った。話し合いの中では、日本語教育の実践の中で、日本語、および日本文化の正統性をめぐる葛藤が生じていること、マイノリティ体験が消費されていると感じること、マイノリティ体験を語ることが語り手自身を疎外する体験となっていることが言語化された。これらの点は、論文にはなりにくいが、当事者研究、オートエスノグラフィに対する大きな問題提起となっており、オートエスノグラフィを読むマジョリティ側が問われている現状を浮き彫りにした。
  • 栗本 英世
    2025 年2 巻 p. 125-129
    発行日: 2025/06/02
    公開日: 2025/06/02
    ジャーナル フリー
  • 池上 宏之
    2025 年2 巻 p. 130-135
    発行日: 2025/06/02
    公開日: 2025/06/02
    ジャーナル フリー
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