東京医科歯科大学教養部研究紀要
Online ISSN : 2433-359X
Print ISSN : 0386-3492
47 巻
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 中島 ひかる
    2017 年 47 巻 p. 1-16
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/11/18
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    この論考においてはルソーの『孤独な散歩者の夢想』の第二および第五の散歩に見られる、時間が静止し、存在と外界の区別が曖昧になる至福の時を分析する。 充溢した幸福としての「絶対性」は、そこから身を引き離したときにふり返ってしか意識できないものであり、それゆえ、現実社会での至福の時は、「絶対性」から目覚める瞬間、あるいは「絶対性」に入ろうとする狭間の時間にしか存在しないの ではないか。存在が時間感覚を失い「死」に接近する絶対的な時と、そこからの「生」への覚醒を描く描写は西洋文学のなかでヴァレリーの「海辺の墓地」やカミュの『異邦人』にも見いだせるが、ここではルソーの絶対的時間と、覚醒時の幸福の描写を、それらの作品との比較で分析し、その特徴を探る。
  • 今村 圭介
    2017 年 47 巻 p. 17-31
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/11/18
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    This paper examines the generational change in the use of Japanese loanwords in Palauan. The Japanese occupation of Palau from 1914 to the end of World War II generated inevitable social change which impacted the Palauan people and their language. During this time over 850 Japanese loanwords were adopted into Palauan. Now, seventy years after the end of the Japanese rule,Japanese loanwords still constitute a considerable fraction of the Palauan language. However, the number of Japanese loanwords in use has been gradually decreasing and the meaning of some loanwords is changing. We conducted questionnaires and interviews surveying the use of the 850 plus Japanese loanwords with 6 Palauan natives of different generations. The results suggested that the use and comprehension of the Japanese loanwords vary among the speakers and decline generationally.
  • 田中 丹史
    2017 年 47 巻 p. 33-47
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/11/18
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    日本では脳死・臓器移植をめぐって激しい論争が起こったが、定義としての脳死に関しては生命倫理の中で議論がなされない状況が続いた。例えば日本医師会生命倫理懇談会は、「死の自己決定権」という概念を導入し、脳死が人の死であるかどうかを個人の判断の問題とした。また生命倫理研究会・脳死と臓器移植問題研究チームは脳死を人の死であるか否かという問いを回避しつつ、臓器移植法の試案を発表した。しかし臓器移植法の改正をめぐる論議において発足した生命倫理会議は、法の改正を批判したばかりではなく、まさに定義としての脳死そのものを問い返すことで従来の生命倫理の活動の在り方自体をも批判したと言える。国際的にも定義としての脳死を再考する動きがあり、こうした議論が日本の生命倫理の中でさらに展開されることが望まれる。
  • アクティブ・ラーニングの心理・社会的効果
    水野 哲也
    2017 年 47 巻 p. 49-55
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/11/18
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    今回、我々はフィットネスマネジメント授業におけるアクティブ・ラーニングの心理社会的効果について検討した。   方法:対象は2群に分かれた計29名の大学生である。一つの群はテニスを教材としたアクティブ・ラーニング(以下AL)群で14名の学生が参加し、11週間の授業であった。また、もう一つの群はLife Kinetik トレーングを教材としたパッシブ・ラーニング(以下PL)群で15名の学生が参加し、同じく11週間の授業であった。両群とも11週の授業開始前と終了後に心理社会的調査として、KiSS-18、POMS、STAI並びにSOC-13が実施された。なお、この期間の最終調査時期は、学生の期末試験時期であった。 結果:(1)社会的スキルを評価するKiSS-18の「初歩的なスキル」得点において、AL授業群の変化量の方が、PL授業群のそれより有意に大きかった(p =.036、向上)。また、「高度なスキル」得点においてPL授業群の受講後 が受講前より有意に低下した(p = .017)。    (2)気分・感情を評価するPOMSにおいて、全ての学生の受講後の疲労得点は、受講前より有意に高かった(p = .010)。また、PL授業群の受講後の総合気分障害得点は、受講前より有意に高かった(p = .039)。ま た抑うつ得点においても同様の傾向が認められた(p = .021)。また、活気得点において、AL授業群の変化量は、PL授業群のそれより有意に大きかった(p = .019、増加)    (3)首尾一貫感覚並びに不安を評価するSOC-13並びにSTAIの変化等には有意な差は認められなかった。  考察:POMSの疲労得点から、受講後の調査時期は試験期間中のため、全受講学生は疲労を主体としたストレス下にあったと考えられた。しかし、AL授業に参加した学生は11週の授業後のこうしたストレス下においても心理社会的状況を良好に維持していることが確認された。
  • シンチンガー エミ
    2017 年 47 巻 p. 57-69
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/11/18
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2014年にモンビジュー・シアターと改名したヘクセンケッセル・ホーフシアターでは、2015年夏に創立以来の多くのメンバーが脱退した。彼らはすでに脱退していた演出家のヤーン・ツィンマーマン、創立以来のメンバーのロジャー・ヤーンケらとともに新しい劇団を立ち上げた。プフェッファーベルク劇場という屋内の劇場で公演するようになったこの劇団は、メルヒェンベルクとヘクセンベルク・シアターという二つの名前で活動を始めた。ヘクセンベルク・シアターとモンビジュー・シアターの二つの劇団の活動について報告する。
  • 廖為民『我的党外青春』を読む
    家永 真幸
    2017 年 47 巻 p. 71-76
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/11/18
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
  • 稗史の想像力
    土佐 朋子
    2017 年 47 巻 p. 77-94
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/11/18
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    『懐風藻』所収の大津皇子臨終詩には、複数の類型詩が指摘されている。場面および詩句の構成と表現において、強い類型性が確認されるそれらの臨刑詩は、人々の想像力が生み出す稗史の中に発生し伝承されたと考えられる。個別具体的な生と死のありようが捨象されて用いられる汎用性の高さから、特定個人の臨刑詩の継承ではなく、臨刑詩すべてに先行して、刑死者の最期を飾る決まり文句が存在し、知識人の悲劇を語る口承文芸の中で繰り返し活用され、再生産されたものと推定される。
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