サトウキど黒穂病の標徴および胞子形成は,茎の先端から出る鞭状物に形成するのが普通であるが,それ以外に花序や葉においても厚膜胞子の形成が観察された。
1)サトウキビの花序においては,時期はずれの異常開花現象が起こり,第2図のDおよびE-1,2,3,6でみられるようにその花序の4ヵ所より厚膜胞子の形成がみられた。
2)黒穂病菌に侵されることによって花序が変化して,E-1,2,3,6のような変形した形態のものがみられ,特にE-1はF1~6でみられるように葉および茎様の部分を有し,1個の植物体としての形態的要素を備えている。
3)罹病葉に厚膜胞子の形成がみられた(第1図のA-a)。
4)花序に形成された厚膜胞子は,鞭状物のものと大きさ,形,色彩も殆んど類似しており,15ヵ月間冷蔵庫で保存しても病原性はあるが,鞭状物に形成された胞子の方が発芽率および侵入率は高い(第1表)。
5)罹病葉を横断してみると写真Bにみられるように,葉の表裏に胞子殻様を形成する。
6)殻は表皮細胞のすぐ内側にある維管束および柔組織の部分に形成され,その殻の内部に厚膜胞子が形成される(写真C)。
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