1) トマト・ナス青枯病に対する物理的(遮根シート),化学的(クロールピクリン),耕種的(抵抗性品種と抵抗性台木の利用),生物的(拮抗微生物資材)防除ならびに総合防除について検討した。
2) 本試験圃場の病原菌はヒラナス,トルバム・ビガーならびに台湾長を侵さないことから,ナス青枯病菌のII群菌に属することが明かとなった。
3) 物理的防除法である遮根シート処理は顕著な発病抑制効果を示したが,作物後期までの発病抑制効果の持続と肥料の吸収にやや難がみられた。
4) 化学的および生物的手段の単独処理はそれぞれ生育初期段階に発病抑制効果を認めるが,その効果が生育後期まで持続することが少なく,他の手段と併用した防除が必要であった。
5) 耕種的防除である抵抗性台木は,トマト・ナス青枯病ともに,自根栽培では発病が極めて少ないが,接木にすると発病が高くなる傾向にあり,今後,この機構については明らかにする必要がある。
6) 気温の高い春作は本病の発生が激しく,物理的,化学的,生物的防除に,さらに中抵抗性品種,瑞栄を組合わせた総合防除で顕著な防除効果が得られた。しかし,同様な条件で,感受性品種,東光Kを栽培しても全株枯死した。
7) 今後,農家圃場の菌密度に応じたきめの細かい防除対策の開発と感染機構の解明が必要と思われる。
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