九州病害虫研究会報
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63 巻
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原著論文
病害
  • 櫛間 義幸
    2017 年63 巻 p. 1-7
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    一次抗体と二次抗体を同時に混合処理する改良DIBA 法のキュウリ黄化えそウイルス(MYSV)の純化ウイルスの検出限界濃度は0.1μg/ml で,通常のDIBA 法の1/10であったが,検査時間が短縮され有効であった。植物体からの検出感度はDAS-ELISA 法と一致し実用上遜色ない結果であった。同手法はキュウリモザイクウイルス(CMV),キュウリ緑斑モザイクウイルス KGMMV)およびズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)にも適用可能であった。作成した混合抗体液は約1ヶ月間反復利用が可能で,陽性対照をスポットしたニトロセルロースメンブレン(NCM)も長期間反応性を有することが確認された。4種ウイルスの陽性対照と陰性対照をあらかじめスポットした検定用NCM を,それぞれの混合抗体液と組み合わせて使用することでウイルス種を的確に判定することができ,生産現場での迅速なウイルス病診断が可能である。

  • 寺本 健, 森 三紗
    2017 年63 巻 p. 8-13
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    長崎県においてエタノール噴霧法を用いたColletotrichum gloeosporioides によるイチゴ炭疽病の発生予察手法の有効性を検討した。その結果,7月上旬のエタノール噴霧法による潜在感染株率と9月上旬の発病株率には高い関連性が認められ,エタノール噴霧法を用いた発生予察手法がC. gloeosporioides によるイチゴ炭疽病の発生予察に活用できる可能性がある。

  • 井手 洋一, 納富 麻子, 衛藤 友紀, 口木 文孝, 野口 真弓, 田代 暢哉
    2017 年63 巻 p. 14-22
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    ウンシュウミカンにおいて,有機農産物の日本農林規格(以下,有機JAS 規格)に適合した病害虫防除技術を確立するために,無農薬での病害虫の発生状況を3年間調査した。その結果,そうか病とミカンサビダニが最も問題となることが明らかになった。そこで,有機JAS 規格において使用が可能なボルドー液を使用したところ,そうか病の発病は抑制され,さらに,水和硫黄剤を散布することで,ミカンサビダニの発生が著しく抑制された。また,化学的防除技術と耕種的対策との組み合わせにより,有機JAS 規格基準を満たす果実生産が可能な防除体系を実証した。さらに,物理的防除技術として中晩柑類の品質向上対策として利用されている開閉式雨よけ施設を導入することで,そうか病のみならず,黒点病および灰色かび病の発病についても著しく抑制され,有機栽培ながら慣行の化学防除剤を用いた露地栽培よりも外観が良く,高糖度の果実が生産できることが明らかになった。

  • 米田 恵美, 兒玉 泰, 石松 敏樹, 冨髙 保弘
    2017 年63 巻 p. 23-29
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    大分県のホオズキにおいて,モザイクやえそ斑点症状を呈するウイルス病が多発しているが,ウイルス種や発生実態が明らかではない。そこで本研究では,県内のホオズキにおけるウイルス病の発生状況を調査した。その結果,既報のタバコマイルドグリーンモザイクウイルス(Tobacco mild green mosaic virus, TMGMV)に加えて,トマトモザイクウイルス(Tomato mosaic virus, ToMV)が初めて検出された。TMGMV は県内の全域で認められた。一方,ToMV は一部の地域でのみ認められ,1株を除きTMGMV との重複感染であった。ホオズキの症状と検出されたウイルス種を比較したところ,えそ斑点症状株からTMGMV が高率に検出された。TMGMV およびToMV の外被タンパク質遺伝子の分子系統解析の結果,TMGMV およびToMV の各遺伝グループは,採取地と概ね一致することが明らかとなった。

  • 大貫 正俊
    2017 年63 巻 p. 30-36
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    ウイルス症状を示したツルマメを国内4地域(東北,関東,中四国,九州)から採集し,マメ科作物に感染するウイルスの属共通あるいは種特異的プライマーを用いたRT-PCR によりウイルスcDNA 断片の増幅を試みた。ククモウイルス属の外被タンパク質(CP)領域およびポティウイルス属の核内封入体b(NIb)タンパク質領域を増幅するためのプライマーにより,それぞれの特異的増幅産物が得られ,塩基配列のBLAST 検索によりククモウイルス属のキュウリモザイクウイルス(Cucumber mosaic virus: CMV),ポティウイルス属のインゲンマメモザイクウイルス(Bean common mosaic virus: BCMV)およびダイズモザイクウイルス(Soybean mosaic virus: SMV)の感染が推定された。2種ポティウイルスのCP 領域を増幅し,塩基配列およびアミノ酸配列のBLAST 検索を実施したところ,BCMV およびSMV であることが再確認された。 わが国の野外ツルマメにおけるCMV,BCMV およびSMV の自然感染を示唆する知見は本報告が初となる。

虫害
  • 柳田 裕紹, 嶽本 弘之 , 上野 高敏
    2017 年63 巻 p. 37-45
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    To evaluate conservation biological control utilizing indigenous natural enemies Scolothrips takahashii Priesner against Tetranychus urticae Koch on strawberry during the nursery period, we investigated the seasonal occurrence of the spider mite and their natural enemies on strawberry potted plants in agricultural fields to which selective insecticides had been sprayed during 2012-2014. Then we also examined the spider mite control effect of the conservation of S. takahashii by using selective pesticide (treatment) in comparison with the non-selective pesticide control method which excludes the predator (control) in an experimental field. In the agricultural field studies, S. takahashii was the only natural enemy observed on strawberry potted plants while the spider mite density was low in all fields in each year. Meanwhile in the experimental field, the number of spider mites in the S. takahashii conservation treatment was significantly lower than that in the control (repeated measures ANOVA, P<0.001) by the conservation of S. takahashii. These results suggest that S. takahashii was an effective control agent against the spider mite, and could contribute to the development of IPM for strawberry during the nursery period.

  • 柿元 一樹, 太田 泉
    2017 年63 巻 p. 46-54
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    Species composition and its seasonal changes of parasitoids against leafminer flies, Chromatomyia horticola and Liriomyza trifolii, were surveyed in fields where snap pea, Pisum sativum, and broad bean, Vicia faba, were cultivated in Ibusuki City, Kagoshima Prefecture from October 2015 to March 2016. Noted parasitoids were seven species against C. horticola and six species against Liriomyza trifolii, respectively. The dominant species were Diglyphus isaea, Hemiptarsenus varicornis and Opius spp. against C. horticola. Furthermore, Neochrysocharis formosa was added to aforementioned three parasitoids against Liriomyza trifolii. Parasitoids’ species composition changed with season, ratio of Diglyphus isaea and Opius spp. increased in the cold season( from December to February), suggesting that thermal suitability of the parasitoids may affect its occurrence.

  • 遠藤 信幸, 弘中 満太郎
    2017 年63 巻 p. 55-61
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    The attractiveness of incandescent lamp (54W) and mercury lamp (100W) light sources to stink bugs (Heteroptera: Pentatomidae) was compared under field conditions. Although the degree of the attractive effect differed among stink bug species, 5.6–304.6 times as many bugs were caught in the mercury lamp trap than in the incandescent lamp trap. The total photon numbers in the spectral sensitivity region for stink bugs (250–650nm) were almost the same between the two lamps; however, the mercury lamp emitted about 16 times more photons than the incandescent lamp in the ultraviolet region (250–400nm), which is highly attractive to stink bugs. When the mercury lamp was covered with a UV-absorbing filter, which blocked about 90% of the photons in the ultraviolet region, the numbers of trapped Glaucias subpunctatus (Walker), Plautia stali Scott, and Halyomorpha halys(Stål) decreased to less than 25% of those trapped using the non-filtered mercury lamp. These results indicate that the high attractiveness of the mercury lamp to some stink bug species is partly due to strong light intensity in the ultraviolet region.

  • 松浦 明, 𡈽田 聡, 日高 春美
    2017 年63 巻 p. 62-70
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    宮崎県内で採集したワタアブラムシ3クローンに対する41殺虫剤の殺虫効果を調査した。各クローンはネオニコチノイド剤,合成ピレスロイド剤および有機リン剤抵抗性遺伝子を単独または同時に保有していた。常用濃度では17剤(カーバメート3剤,有機リン9剤,合成ピレスロイド1剤,METI 2剤,その他2剤)が全てのクローンに対して補正死虫率95%以上の高い効果を示した。ネオニコチノイド剤および合成ピレスロイド剤は,両抵抗性遺伝子を保有するクローンに対して低い殺虫効果を示し,抵抗性遺伝子の有無と概ね相関を示した。しかし,ネオニコチノイド剤のアセタミプリドと合成ピレスロイド剤のビフェントリンは,抵抗性遺伝子保有クローンに対しても効果を示し,抵抗性遺伝子の有無と結果が一致しなかった。EPN,テブフェンピラド,エマメクチン安息香酸塩およびミルベメクチンは,クローン間で結果が異なり,新たな抵抗性機構の存在が示唆された。

  • 西 菜穂子, 宮路 克彦
    2017 年63 巻 p. 71-78
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    Scirtothrips dorsalis is known as a pest in mango. Strain C and YT of S. dorsalis coexisted on mango in Kagoshima Prefecture. We investigated the overwintering sites of S. dorsalis in mango under plastic house conditions. Strain YT caught by yellow sticky traps and ground traps were observed at a minimum level of activity for four months from November to late February, so they seemed to overwinter in mango. On the other hand, strain C was observed from a number of adults caught by the traps from October to November, after that they increased until spring. This result establishes strain C seemed to active in mango throughout autumn-winter. Strain C was also observed in flower buds of mango that were not caught by the yellow sticky traps. This result suggests that strain C propagated and emerged from buds throughout the autumn-winter.

  • 植松 綾子, 陣野 泰明, 寺本 健
    2017 年63 巻 p. 79-85
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    長崎県諫早湾干拓地における環境保全型農業を支援するための技術の一つとして,天敵温存植物を利用した土着天敵類による害虫管理技術の確立を目的に,春作ジャガイモ栽培圃場内に天敵温存植物の候補としてヒメイワダレソウを植栽し,ジャガイモに寄生するアブラムシ類とその土着天敵類,およびヒメイワダレソウ植栽地における土着天敵類の発生消長を調べた。その結果,ジャガイモの株上では,アブラムシ類とアブラバチ類(マミー)の発生ピークがほぼ一致した。また,ジャガイモ株上のアブラバチ類(マミー)とヒメイワダレソウ植栽地で捕獲されたアブラバチ類成虫の個体数推移もほぼ一致した。ヒメイワダレソウ植栽地におけるアブラバチの優占種は,ジャガイモを加害するモモアカアブラムシやジャガイモヒゲナガアブラムシに寄生するギフアブラバチであった。以上のことから,ヒメイワダレソウは天敵温存植物として有効な可能性があると考えられた。

  • 松比良 邦彦, 柿元 一樹, 德永 太蔵, 尾松 直志, 井上 栄明, 下田 武志, 日本 典秀, 森 光太郎, 中島 哲男, 平岡 正, ...
    2017 年63 巻 p. 86-90
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    加温促成栽培のサヤインゲンにおけるタバココナジラミに対するスワルスキーカブリダニの防除効果は,ボトル剤やパック剤放飼では不安定である。その要因として代替餌となり得る花粉生産がサヤインゲンでは乏しいことが関係すると考えられる。そこで,本研究ではスワルスキーカブリダニの放飼後の代替餌としてホソバヒメガマ花粉の供給効果を検討した結果,本花粉散布によりスワルスキーカブリダニの定着数を高いレベルで維持できた。さらに,スワルスキーカブリダニの放出期間がボトル剤やパック剤より長く,資材内での増殖が期待できる天敵増殖資材「バンカーシート」による放飼に,ホソバヒメガマ花粉散布を組み合わせた場合のタバココナジラミに対する防除効果は高く,本虫の加害で生じる白化莢の発生も抑制した。

  • 柴田 真信, 上杉 龍士, 平山 千穂
    2017 年63 巻 p. 91-95
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    長崎県内のブロッコリー圃場で採集したコナガ3個体群の3齢幼虫に対し,パクチョイ葉を用いた葉片浸漬法によって11薬剤における殺虫効果を検討した。その結果,全ての個体群でエマメクチン安息香酸塩乳剤,スピノサド水和剤,スピネトラム水和剤,BT 剤,ピリダリル水和剤, カルタップ水溶剤の処理96時間後の補正死虫率がいずれも96.7% 以上と高かった。一方,ジアミド系薬剤であるフルベンジアミド水和剤,クロラントラニリプロール水和剤の補正死虫率は0~70.0% であり,安定した殺虫効果は得られなかった。また,新規のジアミド系薬剤であるシアントラニリプロール水和剤の補正死虫率は70.4~100% であった。さらに,同3個体群においてジアミド系薬剤抵抗性遺伝子頻度を調査した結果,全ての個体群で抵抗性遺伝子頻度が50% を超えていた。

  • 林川 修二, 福田 健, 大保 勝宏
    2017 年63 巻 p. 96-101
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    ピーマン促成栽培では,アオドウガネやドウガネブイブイなどのコガネムシ類幼虫の根系への食害による生育不良が問題となっている。しかし,成虫侵入期が不明で,定植前に薬剤処理した圃場においても,被害が発生している事例がある。現在,生産性安定のために深耕や心土破砕などに取り組んでいるが,作土層の深耕化の影響で防除がさらに困難になることが危惧される。このため,産卵期と幼虫の分布位置が重要と考えられ,まず,アオドウガネの産卵位置と幼虫の発育を調査した。産卵数は土壌深度の影響を受けず,雌成虫は地表面から耕盤まで移動して産卵することが示唆された。また,相対位置間の差も認められなかったことから,産卵位置は作土層に影響され,作土層が深くなると産卵位置も深くなると考えられる。従って薬剤は作土層の深さに応じて処理することで効果が高まる可能性が考えられる。ピーマン促成栽培ハウス内では冬期でも幼虫は発育した。9月上旬の産下卵から孵化した幼虫の発育パターンにより,3齢幼虫の発生盛期となる11月下旬以降にピーマン根系への加害が最大になると推定された。この加害予測は現地の被害発生時期と程度にほぼ一致した。

  • 綱島 彩香, 本田 知大, 小沢 有輝, 口木 文孝, 糸山 享
    2017 年63 巻 p. 102-107
    発行日: 2017/11/28
    公開日: 2019/02/13
    ジャーナル フリー

    ツヤアオカメムシは主要な果樹カメムシ類の1種であるが,その生活史には不明な点が多い。本研究では,佐賀県における年間の世代経過を推定するため,温度別の発育期間と野外採集個体の卵巣発育段階を調査した。3つの温度条件下で発育ステージ別の平均発育期間を調査し,飼育温度と発達速度の回帰直線から発育零点および有効積算温度を算出した。雌においては,卵から羽化までの期間ではそれぞれ14.0℃および363.2日度であった。2012年および2013年に予察灯に誘殺された個体と植物上から採集した個体について,卵巣の発達段階を調査したところ,野外では繁殖可能な雌成虫が6月中旬頃から現れ,2012年には最大2世代,2013年には最大3世代を経過できると推察された。鹿児島県においても年別の発生世代数の違いに関する報告があり,本種の世代経過には変動幅があると考えられた。発生予察の精度を高めるためには,本種の世代経過を決定する様々な要因の解析が必要であろう。

講演要旨
病害虫の発生と防除の概況
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