青年期以降にはじめて広汎性発達障害の診断を受ける者が増加しているが,支援を受ける必要性がわからず社会資源の利用に繋がらない例も多い。筆者らはこのような患者を対象に精神科デイケアにおいて,疾患・就労・社会参加に向けた情報提供と患者個別の特徴への気づきを促す目的で,全22回のグループ活動を試みた。活動の開始時と終了時に個人面談を行い,患者個別の特徴を共有した。また,各活動は目標提示した上で開始し,「まとめシート」を用いて振り返り,実践的な活動を積極的に導入し,患者が個別の特徴に気づく工夫を行った。活動開始時,何らかの社会資源を利用している者は少なかったが,終了後には様々な社会資源を利用し,就労に向けた具体的な行動がみられた。精神科デイケアがもつリハビリ機能が患者の活動性を高め,患者自身が「相談や支援を受ける」体験をしたこともその後の社会資源の利用に繋がったと考えられた。
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