九州神経精神医学
Online ISSN : 2187-5200
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66 巻 , 1 号
九州神経精神医学_66_1
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巻頭言
研究と報告
  • 横山 遼, 石橋 正敏, 佐藤 守, 内村 直尚
    原稿種別: 研究と報告
    2020 年 66 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 2020/04/15
    公開日: 2021/10/14
    ジャーナル フリー

     身体症状症に対する薬物療法についてはエビデンスに乏しく有効性が確立した治療法がない。その中で身体症状症の悪化例に対しSSRIであるエスシタロプラムと第二世代抗精神病薬であるブレクスピプラゾールの併用療法が奏効した症例を経験した。当症例は前投薬としてアリピプラゾールを使用していたが十分な効果を得られず,症状増悪の経過を辿り入院となったがブレクスピプラゾールに変更したことにより症状安定し退院後も増悪なく経過している。ブレクスピプラゾールはドパミンD2 受容体に対する部分アゴニスト作用を主体とする抗精神病薬であるがセロトニン系である 5‐HT1A受容体に対する部分アゴニスト作用,5‐HT2A受容体に対するアンタゴニスト作用を持ち,アリピプラゾールと比較しより情動面,認知機能に対する効果が強い可能性があることが確認されている。ブレクスピプラゾールが今後の身体症状症に対する薬物療法への一手となる可能性が示唆された。

  • 三山 吉夫
    原稿種別: 研究と報告
    2020 年 66 巻 1 号 p. 8-18
    発行日: 2020/04/15
    公開日: 2021/10/14
    ジャーナル フリー

     84歳の男性で長期の飲酒,喫煙後にコルサコフ症候群,前頭・側頭葉症候群,進行性認知症で経過した症例。既往歴に栄養障害や頭部外傷の既往は聴取できなかった。65歳まで勤務(教師)。その後も飲酒は続いていた。69歳時,記銘力低下,日時,場所の失見当識,作話で発症し,認知機能の低下,感情不安定,脱抑制行動,病態無関心の状態で入院した。画像では前頭・側頭葉が高度に萎縮していたが第3脳室の拡大はみられなかった。84歳時に重度認知症で死亡(全経過:15年)。脳重は1,030gで,両側前頭・側頭葉に高度萎縮,左前頭葉眼窩面と両側側頭葉外側面に外傷性脳挫傷痕がみられた。両側海馬は中等度萎縮。組織学的には,前頭・側頭葉の神経細胞脱落,皮質下白質のグリオージス(外傷性)がみられ,大脳皮質に多数のびまん性老人斑,中等量の神経原線維変化が存在。乳頭体には,神経細胞脱落とグリオージス(軽度)が存在。前頭・側頭葉,後頭葉,基底核に陳旧性小梗塞があり,前頭葉,側頭葉,扁桃核,帯状回,島葉に軸索変性神経細胞が存在。橋核・下オリーブ核,迷走神経背側核,弓状核に中心色質変性細胞が多数存在。黒質・側頭葉に少数のレビー小体があった。病変は,アルツハイマー型老年期認知症(SDAT),外傷性脳損傷,アルコール脳症,多発小梗塞の複合病変であった。

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