【はじめに】
当院では平成18年度、医療保険改定に伴う外来リハ算定終了者の今後の目標を「予防への意識づけ」とした。その内容は(1)体力の維持(2)生活の質の維持・改善(3)継続的な運動による生活のリズムの定着と閉じこもり予防である。そこで外来リハ算定終了者に対し、マシントレーニングを用い、他職種協働にて支援を行い、継続的な予防的リハビリテーションに取り組んだので報告する。
【対象】
外来運動器リハ算定終了者男性1名、女性17名。脳血管疾患リハ算定終了者女性1名の計19名。平均年齢は78.1歳。
【協働支援内容】
PTは体力測定、評価、運動プログラムの立案。OTはSF-36というQOLスケールを用いてのQOLの評価、フィードバック、日常生活の指導。健康運動実践指導者は体力測定の実施とフィードバック、プログラムの実施という3者の役割分担により、協働で支援を行なった。
【検討項目】
#1、体力測定値の変化 体力測定として以下を比較した。初回測定日、平成18年9月。次回測定日、平成19年3月。1,握力。2,3mTimed Up&Go。3,10m歩行スピード。4,ファンクショナルリーチ。5,片足立ち時間。6,レッグプレス最大負荷量。7,ローイング最大負荷量。
#2、QOLの変化 QOLはSF-36を用いて評価を行った。このスケールは8つの健康概念を測定するための複数の質問項目から成り立っており、その8つの項目ごとに点数を出し変化をまとめた。
#3、トレーニングの継続性 初回測定時から平成19年3月までトレーニングを継続して行えた人数を調査した。
【結果】
#1、体力測定の結果は、ほぼ全体的に維持から微少の向上がみられた。#2、SF-36の結果は各項目で個人差がみられたが、社会生活機能は1名を除いて維持・改善がみられた。#3、現在も継続してトレーニングが実行できている対象者は10名であり、開始時に比べ約半数の減少となった。
【考察】
継続が困難であった9名のうち3名は転倒が原因であり、高齢者の転倒予防が重要視された。
また、生活の質では社会生活機能に改善がみられ、その要因はトレーニングによる身体機能の維持・改善が関係していると予想された。さらに、トレーニングに参加することで、定期的な外出の機会が設けられ、他者との交流や地域との良好な関係が保たれたためと思われた。
【今後の課題】
今後は転倒予防と、社会的交流を目的とした教室的要素を組み込み、今以上の予防への意識づけを定着させていきたい。
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