九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
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  • ~他職種、患者・家族の認識を広げる為に~
    原口 明子, 平川 樹, 大石 美月, 大場 勝子, 本多 由加, 金丸 由美子, 高柳 公司
    セッションID: 201
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    平成16年12月から2年間、青年海外協力隊(以下協力隊)に参加し約1年10ヶ月作業療法士(OT)としてニカラグア国内で唯一の国立リハビリテーション病院で活動する機会を得た。活動する中で現地における病院スタッフ及び患者・家族のOTに対する認識の低さを実感した。今回その現状及び取り組んだ事を交え報告する。
    【活動の概要】
    活動先の病院は一階建てで入院ベッド50床を有し、小児から高齢者までの様々な疾患を持つ入院患者及び外来患者に対応する。主な職員構成は医師、看護師、看護助手、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士であった。
    協力隊への要請内容としては、現在ニカラグア国内でOTの資格を取得する機関が無いため、作業療法についての情報交換・共有を行う事、マンパワー不足を補い業務改善及び強化を図る事、現地における作業療法の認識を高める事であった。
    【現状及び活動内容】
    病院スタッフ及び患者・家族のOTに対する認識は低く、実際何を目標にどのようなことを行うのか知らないスタッフがほとんどであり、道具を用いることが多いため遊びの場として捉えられていた。また患者・家族の中にはOT活動を他のリハビリの待合や時間調整のように利用している者が多く見られた。
    そこでまずスタッフ及び患者・家族を対象にOTの紹介を行った。病棟には必要に応じて基本動作やADL指導に向かうようにした。病院では家族又は付き添いの人が患者と一緒に寝泊りしているケースが多かったため、居合わせている家族にも患者の能力や動作方法を伝え過介助にならないよう働きかけを行った。看護師は,ほとんどの患者に付き添いがあることから患者のADLにあまり関わりを持っていなかった。そのため、まずは患者のADL及びその能力に目を向けてもらえるよう、主に付き添いのない患者から病棟での動作方法等について実際場面で申し送りを行った。
    【まとめ・考察】
    ニカラグア国内でリハビリテーションの一環としてまだ一般的に認識されていない作業療法について、現地病院における紹介や実際の関わりを通し働きかけを行ってきた。
    OTを待ち時間として利用していた患者・家族には、その都度説明を行いその頻度は徐々に減少した。病棟では患者・家族と基本動作、更衣動作などの訓練・指導を行っていく中で少しずつではあったが上達が見られ、OT及びその必要性に理解を示す言葉が聞かれるようになった。また困っていることについて相談に来る人も見られた。これらはまだごく一部の人にすぎないが、 今回の派遣中に関わりを持つ事が出来た病院スタッフや患者・家族については、その認識を広げる一つの機会となったのではないかと考える。
    今後リハビリテーションにおけるOTへの認識を広げ定着させていくためには、さらに継続した関わりが必要であると考えられる。
  • ―ヒヤリハット報告を通して現行改善策の検証―
    池田 早苗, 西浦 健蔵, 重松 栄一, 江藤 友紀, 池田 智子, 西田 俊之
    セッションID: 202
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    医療事故・過誤の問題が注目される中、当院リハビリテーション室においても院内リスクマネジメント委員会と平行して、独自にリスク管理委員会を設置し、ヒヤリハット報告をもとに医療安全に積極的に取り組んできた。特に転倒・転落事故においては事故場面の再現・検証などに力を入れ、確実に減少傾向にある。しかし現状でもヒヤリハット報告において転倒・転落は大きな割合を占めている。中でも見守り不足が原因のものが多くみられ、これら対しては過去にも改善策を練り周知してきたが、その効果はまだ十分であるとは言えない。そこで見守り不足の実態をより細やかに把握し、原因追求や改善策の再検討をしたので報告する。
    【現行の改善策】
    システムとして見守りの強化が必要な方に対するスタッフ用の目印の導入と常時見守りが可能な待機場所の設置、個人への啓発として個別のリハビリが可能な実施時間の調整、他スタッフへの協力依頼などである。
    【方法】
    平成19年9月から3ヶ月間で発生したヒヤリハット報告の転倒・転落に関するもの18件のうち、原因が見守り不足によるもの10件に着目し、特徴を探った。更に詳細を把握するために各担当セラピストと個別面談を実施した。
    【結果】
    報告内容としては、転倒はなかったが、一人で立ち上がっていた、歩行していたというものである。発生場所では車椅子上が目立って多く、ベッド上でもみられている。多忙度では、比較的余裕がある場合も多く、経験年数が浅いほどその傾向にあった。患者側の特徴として、すべて70歳以上の高齢者であり認知症がみられた。また病棟でも転倒や徘徊がほとんどの方にみられ、転倒・転落スコアシートにおいて危険度IIIであった。患者側の心理状態として、「トイレに行きたい」といった排泄に関わるものが多く、経験年数が浅いセラピストの中には心理面を追求していないケースもあった。ほとんどのセラピストがリスクを認識していたにも関わらず見守り不足が発生した背景には、多忙や油断、他スタッフに見守りを頼める状況になかったなど、複数の要因が重なっていることが分かった。また未然に防げた要因として他スタッフにより発見されたケースも多い。
    【考察】
    現行の改善策は、システムは確立されているが、個人への啓発は時間の経過とともに慣れや油断が生じ、徹底できていない。また新たに病棟での状況と相関があることが分かり、病棟と協力してより個別的に傾向を探り対策を検討することが課題としてあがった。更にスタッフ間の情報の共有が効果的であることが分かり、リスク面をより意識した情報交換となるよう促していきたい。今回定期的な注意の喚起と改善策の検証・評価の大切さを改めて実感した。また全体を通して個人の事例に対する分析能力や感受性に差があると感じた。得られた情報を細やかに的確にフィードバックすることで個人の安全管理能力をより高め、医療安全につなげていきたい。
  • -患者、看護スタッフ、リハスタッフの3群比較-
    吉村 修, 中島 新助, 村田 伸
    セッションID: 203
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    身だしなみは、人の印象を決定する重要な要素である。特に臨床の場では、患者や職員との人間関係を良好にする基本的なマナーとして必要とされる。今回、当院の患者及び職員に対し、臨床現場における理学療法士(以下PT)の身だしなみについて、アンケート調査を行ったので報告する。
    【対象】
    当院において理学療法施行中で、調査に協力可能な患者36名(男性16名、女性20名、平均年齢58.4±16.4歳)、当院に勤務する看護スタッフ(看護師・看護助手)138名(男性14名、女性124名、平均年齢34.6±9.3歳)、当院に勤務するPT・作業療法士・言語聴覚士のリハビリテーションスタッフ(以下リハスタッフ)31名(男性12名、女性19名、平均年齢27.4±4.3歳)である。
    【方法】
    PTの身だしなみに関する質問紙調査を無記名方式で行った。アンケートの内容は、男女の茶髪、男女の指輪、男女のピアス、男女の香水、女性の化粧、女性のマニキュア、伸びた爪、男性の長髪、男性の無精ひげ、カラーの靴下、白衣の下にカラーのシャツを着ることの15項目からなり、質問は全て「~していてもかまわない。」の文章構成とし、回答は「そう思う」「そう思わない」の2件法で選択してもらった。回答の「そう思う」「そう思わない」をそれぞれ1点、0点と得点化(満点15点)し、合計点を尺度得点としたが、点数が高いほど身だしなみに寛容であることを表す。統計処理には一元配置分散分析を用いて検討し、その後、Scheffeの多重比較検定を行った。なお、統計解析には StatView 5.0 を用い、統計的有意水準を5%とした。
    【結果】
    患者の身だしなみ尺度得点の平均は8.0±3.6、PTは6.7±2.3、看護スタッフは4.6±2.7であり、看護スタッフが有意に低い得点をつけていた(p<0.05)。項目別として、3者とも肯定的な回答が過半数を超えた項目は「男性の茶髪」「女性の茶髪」「女性の化粧」「カラーの靴下」の4項目であった。また、3者とも否定的な回答が多かったのは、「男性のピアス」「伸びた爪」であった。
    【考察及びまとめ】
    3者の身だしなみ尺度得点の比較から、PTの身だしなみに関して、看護スタッフが最も厳しい見方をしていることが示された。看護スタッフとリハスタッフの意識には差があり、そのことが職員間の人間関係に悪影響を及ぼさないように、PTは仕事中の身だしなみについて再確認し、良好な関係作りに努める必要があると考える。患者とリハスタッフの意識には差がなかったことから、身だしなみに対するリハスタッフの意識と患者の意識はある程度共通していると考える。但し、患者がPTの身だしなみを寛容に捉えていたのは、治療される側として、遠慮があったのではないかとも考えられる。看護スタッフが他の2群より厳しく捉えていたことや患者の寛容さは、年齢や性別の影響が考えられ、今後は対象例を増やしそれらの要因を調整した分析が必要と考える。
  • 児玉 隆典, 池永 健太, 植木 恵, 島末 智美, 草野 祥子
    セッションID: 204
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     当苑の訪問リハビリテーション(以下、訪問リハと略す) は今年で5年目を迎え、ニーズは年々増加している。しかし、大分県下で訪問リハに従事しているリハスタッフ数は75名と少ない。その背景には職場内のマンパワー不足や、新人は訪問現場に興味があるが、単独で訪問しなければならないという不安により、従事しにくい事が考えられる。そこで当苑では円滑に訪問現場へ介入できるよう「新人教育プログラム」(以下「新プロ」と略す)を作成し、プリセプターシップと並行して新人1名に対し、実施した。
    【新人教育プログラムの検討】
     「新プロ」を作成するにあたり訪問現場で必要な事項や、不安の解消につながると思われる11項目を年間計画に組み込んだ。(1)施設運営規定,介護・医療保険制度の理解(2)接遇(3)多くの臨床経験の場の提供(通所リハでの経験) (4)訪問開始までの一連の流れの理解(5)評価の視点(6)リスク管理(バイタルチェック・緊急時の対応・自宅内危険箇所の伝達) (7)利用者・家族との関係の取り方(8)他職種との連携(9)1日のスケジュール管理(10)地域事業に関する知識(11)プリセプターからのアドバイス。また「新プロ」終了時に症例発表を計画した。
    【プログラムの実施】
     オリエンテーション時に「新プロ」の目的を明確にし“学術研修”と “技術研修”の2本柱に分けて実施した。
     学術研修(年間を通じて実施);施設運営規定,介護医療制度,認知症,感染症,接遇,個人情報,リスクマネジメント,情報公表研修会参加,通所・訪問書類業務実施,事業所・病院所在地案内。
     技術研修;通所業務実施(4月から3月末),訪問現場見学(4月から8月末:19件), 訪問前訪問(5月から6月末:2件), 時間の流れの理解(7月:3件/1週間×4回),訪問実施(7月:1件) ,8月に1症例目を指導者と毎回同行しながら担当。その際、福祉用具の導入方法を指導した。 9月に2症例目を指導者と同行訪問しながら担当。10月に単独で3症例目担当。11月から3月末までに21症例担当。
    【考察】
     新人は入職時に訪問現場で働く事に対する不安を抱いていた。しかし“技術研修”“学術研修”を行う中、毎月フィードバックを行い、新人のペースに合わせ、その都度プログラムの変更を行った事により、単独で訪問するという自信につながったのではないかと考える。また「新プロ」終了時、上記11項目の経験を活かした症例発表を行う事ができた。
    【まとめ】
     今回「新プロ」を実施し、基本的な技術・学術研修の教育や、フォロー体制の整備はできた。そこで今後、各事業所に「新プロ」を理解していただく為、挨拶回りを行い、新人でも訪問現場に介入し易い環境を作る事が大事だと考える。また利用者や様々な職種からの訪問リハに対するニーズに応えられるよう、他施設からの見学の受け入れや、他事業所のスタッフとネットワーク作りを行い、地域における訪問リハスタッフ数の底上げに貢献させていただけるよう取り組みたい。
  • 山口 健一, 野原 英樹
    セッションID: 205
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    18年度以降の診療報酬改定の影響は、自組織においては結果としてリハスタッフの増員となり、人事・労務管理及び評価の明確化が急務とされた。努力した者を正しく評価し、仕事や待遇に対する職員の意識改革を行うことを目的に、人事評価システムの再構築を図った。組織を、JOBを明確にしたチームに再編することで、仕事の質の向上及びその専門性を高め、その評価として、独自の認定セラピスト制度を確立した。今回、部門内の取り組み等を具体的に紹介し、実践報告とします。
    【組織の取り組み】
    私たちの主要な関心は、医療組織における職員の労働・厚生条件を向上させ、職員一人一人が満足感を持って医療に従事するためにはどのような人事管理が要請されるかを実証的に考察することである。
    【人事考課規定の作成・運用】
    等級基準を再編し、職務基準書を職種別チーム別に作成し、要求される業務内容及び能力を明確にした。「査定のための評価」ではなく、あくまでも人材育成と活用に主眼を置き、仕事の結果だけでなく、そのプロセスも大事にし、評価基準や評価方法などをオープンにしている絶対評価とした。これに加え、教育のシステムとしてプリセプター制度を導入し、部下を指導する臨床の実践能力はもちろんのこと、人間的魅力を兼ね備えた指導者として管理統率能力・指導力・コミュニケーション能力・問題解決力等の能力も要求した。
    【認定制度】
    人事考課制度及び教育システムの方向性は、「人を育てる仕組み」である。それぞれの職能団体が規定する教育プログラムの取得・修了を前提とした独自の認定セラピスト制度は、専門的業務の質を評価し、給与連動とすることで達成感と満足感を与えることとなっており、業務の質が向上した結果として業績向上にもつながっている。
    【まとめ】
    人事考課を行う上で重要なことは、人事考課を何のために行うのかという原点をしっかり認識することである。「自院・自部門の解決すべき課題は何か」をしっかり把握して、その課題解決に見合った制度を作ることにより、管理体制の見直し(仕事の与え方、管理者の意識、労働者の意識の変革など) 制度の見直し(評価制度の明確化、裁量労働制等の導入検討)賃金制度の見直し(業績連動賞与の導入など)を図ることができた。病院組織の戦略とは、ビジョンの達成を目的とし、ビジョンと現状とのギャップを埋めるための具体的施策をいう。新人事制度は、この戦略の一角である組織・人事戦略の基本フレームとして、戦略遂行、ビジョン達成のための重要な役割を果たしていると言える。
  • ~アンケート結果からの検討~
    永田 敬生, 手島 智康, 鎌田 陽之, 坂口 聡子, 反田 治, 林 ゆかり, 森脇 悦子, 村元 聖治, 安永 貴彦, 吉田 亮平, 河 ...
    セッションID: 206
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     (社)福岡県作業療法協会教育部地域部会では、平成10年度より地域作業療法に関する研修会(以下、研修会)を企画・開催してきた。
    平成19年度は情報共有のツール考案を目標とした上で「シームレス」をキーワードに「患者が転帰する上で、その情報共有をいかに行うべきか」をテーマに研修会参加者に対し、いわゆる「添書」について研修会場にてアンケート調査(以下、調査)を実施した。結果、臨床現場で生じている問題点と今後の課題が一部明確化できたため、ここに報告する。
    【調査対象及び方法】
     対象は平成20年1月20日に研修会に参加した作業療法士(以下、OT)50名である。方法は質問紙法・配表調査にて実施した。調査内容は、i)転院、転棟及び退院時での添書の必要性の有無 ii)現実的な添書作成の割合 iii)添書送信困難の理由。iv)送信困難の際の対処 v)添書受信の際、欲しい情報内容(重複回答可) の5項目にて問い、その回答に対し記述意見も求めた。
    【結果】
     回収部数47名(回収率94%)。内訳は病院・施設<急性・回復・維持>39名、在宅<訪問・通所>8名。調査結果は、実数(項目内割合)にて、i)必要性については、必要:47・不必要:0。ii)作成の割合については、作成率100%:27(58%)、作成率75%:9(19%)、作成率50%:5(11%)、作成率25%:3(6%) iii)困難な理由については、時間がない:9 システムがない:1 その他:記述意見にて「急な転帰に対応できない」等があった。 iv)送信困難な際の対処については、未作成:7、電話連絡:4、家族から伝達:2、担当OTに直連絡:1、その他:12、記述意見として「後日郵送・口頭連絡」等であった。v)欲しい情報については、援助目標:18、ADLレベル:28、生きがい:21、家屋環境:5、家族構成:13、趣味:5、生活癧:12、病院生活:8、リハリスク:21、性格:8。となった。
    【考察とまとめ】
    今回実施した調査から、実態として以下のことが判明した。i:添書の必要性に対する認識が強く、作成も高い頻度で実行されている。ii:作成実行困難の因子として、「時間・仕組みのなさ」「急な転帰への対応困難」等が挙げられる。個人情報として、ADL・リハリスク・生きがい・援助目標が求められる傾向が高い。今後の課題として、「急な転帰に対応できるシステムを構築する」「サンプル数増加により詳細な傾向を確認し、添書フォーム原案作成の検討」等が考えられた。
    添書による情報の発信・受信の重要性は以前より感じていた。 今回の調査から改めて情報提供作業の実態が見えてきたと思われる。又業務多忙の中シームレスな連携を構築しようとする、OTの努力も感じることができた。
  • ~チームの意識改革~
    杉道 高子
    セッションID: 207
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     当法人はケアミックス型の施設で、病院とは別に在宅部門がある。その中の障がい者ケアサポートセンター愛・愛(以下愛・愛)では、H19年度の障害者自立支援法の導入に伴い、理学療法士1名が愛・愛に関わり始めた。愛・愛の利用者は、一日の大半を車椅子坐位か背臥位姿勢で過ごされており、車椅子坐位の整合性はあるものの、背臥位姿勢でのポジショニングがなされていないことに問題を感じた。今回はそこに着目し、チーム内の安定した背臥位姿勢についての見直しを図ることで、ポジショニングに対しての着目点が変化したので報告する。
    【取り組み内容】
     愛・愛の看護師、生活支援員(ヘルパー、介護福祉士、清掃員、事務員、以下支援員)と合同の症例検討を行った。主な内容は1.支援員のポジショニングに対しての理解度確認、2.症例検討とポジショニングについての実技指導を含めた勉強会の二つである。
    【症例紹介】
     脳髄膜瘤による四肢体幹機能障害と両側性感音性難聴を呈した20歳代の男性。Chailey姿勢能力発達レベルでは背臥位レベル2、椅子座位レベル1。背臥位姿勢は脊柱の右凸の側彎があり、頚部・体幹・股関節の変形が著明。変形に伴い、呼吸を行うときの胸郭の動きは出にくく、呼吸も浅く・不規則な呼吸。
    【結果】
     支援員のポジショニングに対しての理解度確認から、支援員は利用者の体の変形に気付いているものの、二次的問題点の存在や、ポジショニングが変形の進行予防につながることに気付いていないと分かった。次に症例検討で症例のSPO2が93%から97%に変化したこと・ポジショニング前後での表情や指先の色が変化したこと・胸郭と腹部の動きが良くなり体動が少なくなったことから、ポジショニングの重要性を理解してもらった。客観的な変化があったことから、支援員が他利用者のポジショニングにも興味を持ち始め、他利用者の車椅子の整合性について相談する姿や、自分達でポジショニングを実践する姿が見られるようになった。支援員同士でポジショニングしていく中で、「支援員でも使用できたら家族に指導して家庭でも使用できるのでは」と提案もされた。
    【考察】
     愛・愛への関わりで、最大の着眼点がポジショニングについてであり、支援員にポジショニングの重要性やポジショニングの知識・方法・応用について理解してもらいたいと取り組みを行ってきた。取り組み内容で特に良かった点としては、症例を通したポジショニング指導を行ったことではないだろうか。症例の今までとは違った表情や様子、客観的な数値を目の当たりにしたことで、ポジショニングの重要性に気付くことができ、他利用者へも実践せねばと感化されたと考える。そして理学療法士が介入したことで互いの意識改革となりチームがより意欲的になってきたのではないだろうか。
  • -強制把握の抑制に振動刺激を用いて-
    徳田 幸之介, 小松 由佳, 竹村 仁
    セッションID: 208
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    強制把握とは、触圧覚刺激により把握反射が誘発され、自分の意思では手を離せなくなる状態であり、近年、強制把握反射に対する振動刺激の有効性について報告がみられている。今回、脳出血後2ヶ月経過した時点で強制把握の認められる患者に対して振動刺激を用いて、上肢機能及びADLの改善を認めた症例について報告する。
    【症例紹介】
    68歳、男性
    診断名:右前頭葉皮質下出血。平成19年9月に発症。他院での2ヶ月の入院後、当院へリハビリ目的にて入院。
    初期評価(平成19年11月27日)
    主訴:「左手で一度握ったら、なかなか離れない」
    Br.stage:V-2:V-3:V-2 grade10:11:10 
    ROM:左肩関節 屈曲90°外転95°
    MMT:右上下肢4 左上下肢4-
    握力:右25.0kg 左11.0kg
    STEF:右85点 左9点
    高次脳機能障害:強制把握、全般性注意障害
    ADL: FIM117/126点
    食事;茶碗から手が離れない
    更衣;下衣の引き上げが不十分
    入浴;手すりを離せず、出入りが不安定
    【訓練内容】
    訓練開始時に振動刺激を麻痺側掌手面に5分間入力しながら、手指の「握り」と「離し」の訓練を行った。用いた機材は一般的な家庭用のマッサージ機器(オムロン社製マッサーシ゛ャー60Hz)を使用した。
    この刺激入力を5分間実施したのちに、(1)上肢機能訓練(客体移動訓練、自己教示法等)、(2)趣味活動(妻と共に園芸)、(3)ADL訓練(更衣動作、食事動作等)を施行した。
    【最終評価】
    主訴:「手が離せるようになった」
    Br.stage:V-2:V-3:V-2 grade10:11:10
    ROM:左肩関節 屈曲115°外転100°
    MMT:右上下肢4 左上下肢4-
    握力:右28.0kg 左13.0kg
    STEF:右85点 左27点
    高次脳機能障害:強制把握減弱、全般性注意障害
    ADL:FIM121/126点
     食事;茶碗の持ち離しスムーズ。薬袋も破ることも可能
     更衣;下衣から手が離れる
     入浴;手すりから手が離れ、安定した浴槽の出入り可能
    【強制把握の機序について】
    振動刺激が強制把握を抑制する機序については(1)手掌への強い振動刺激による同部位への感受性低下、(2)筋紡錘を含む固有感覚入力の増加を介した補足運動野の賦活(3)脊髄レベルでの把握反射の抑制といわれている。これらのメカニズムのいずれの関与が大きいかは、今後の振動刺激時の脳のイメージングや関連の研究によって明らかになると思われる。
    【考察】
    利き手交換など使用しやすい手で代償することで、ADLが早期に自立していくことは重要だが、そこには学習された不使用を招く恐れが少なからずある。不使用は容易に使わない麻痺手を生み出し、廃用症候群を作り出してしまうことは無いだろうか。今回は、この悪循環を断ち切るための一つの方法として振動刺激の導入を試みた。それにより、強制把握が抑制され、その状態下で作業療法を実施した結果、廃用に陥らずに、ADLで『使う手』にすることができたと考えた。
  • ~麻痺側上肢への積極的な自動介助運動の試行~
    徳尾 美香, 小松 由佳, 竹村 仁
    セッションID: 209
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    片麻痺患者の麻痺側上肢の回復は、6~12週までといわれている。今回、発症より5ヶ月間経過した脳塞栓症により左片麻痺を呈した症例に対して、麻痺側上肢に対する積極的な自動介助運動を実施した結果、上肢機能が向上したので報告する。
    【症例紹介】 
    66歳 男性
    診断名:脳梗塞後左片麻痺、心房細動
    発症日:H19年7月16日
    入院日:H19年12月19日
    現病歴:H19年7月16日、自宅にて左上肢脱力感あり、A病院へ搬送。上記診断を受けた後、他病院で約5ヶ月間のリハビリ後、当院へ入院。
    既往歴:40歳 網膜剥離 63歳 心房細動
    【初期評価】
    (H19年12月12日)
    主訴:「左手使うとイライラする、つかえん」「でも手が動くようになりたい」
    Br.stage(grade):III(6):III(5):IV(7)
    ROM:左肩関節屈曲125°(P) 外転100°(P) 外旋50°(P) (P=疼痛あり)
    MMT:右上下肢5レベル
    握力:右32.0kg 左5.5kg
    STEF:右100点 左0点
    ADL:FIM 120/126点
    食事…麻痺側上肢は膝の上に置いたまま
    更衣…ネクタイ締め以外可能
    片麻痺上肢能力テスト:廃用手
    【経過】
    H19年12月12日:PT、OT開始
    麻痺側上肢に対して1回/日、5日/週(肩肘関節屈曲・前腕回内外・手関節掌背屈・手指伸展)各運動方向へ自動介助運動を30回実施
    12月19日:臀部へのリーチ可能
    12月26日:頭部までリーチ可能
    1月8日:食器を把持し口へのリーチ可能
    【最終評価】
    (平成20年1月16日)
    主訴:「手が使えるようになった」
    Br.stage(grade):V(9):IV(7):V(7)
    ROM:左肩関節屈曲170°(P) 外転100°(P) 外旋60°(P)
    MMT:右上下肢5レベル
    握力:右32.0kg 左11.0kg
    STEF:右100点 左3点
    ADL:FIM 121/126点
    食事…麻痺側上肢でお椀を持って口まで持っていける
    更衣…両手でネクタイ締めも可能
    片麻痺上肢能力テスト:補助手A
    【考察】
    片手動作の獲得により、早期にADLが自立する事はリハの重要な目標の一つである。
    本症例は、片手動作にてADLはほぼ自立しており、麻痺側上肢はADLにおいて必要とされない手であった。しかし、「もっと手が動くようになりたい」と強く希望していた。そこで、麻痺側上肢への積極的な自動介助運動を試みた結果、約1ヶ月後に上肢機能が向上し、ADLでも使う手になった。
    今回、STEFおよび上肢グレードが改善したのは、回復の時期からの麻痺の改善よりは廃用の部分が大きいと思われる。発症早期よりこうした訓練を取り入れることで、廃用を予防できるのではないかと考える。
  • ~一事例を通して~
    沢田 大明, 渕 雅子
    セッションID: 210
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    ADLで麻痺手の忘れが頻繁にみられた事例に対し,手への注意を促す事でADL場面での改善がみられたので経過を踏まえ報告する。
    【事例紹介】
     H19.8.25に左MCA梗塞により右片麻痺を呈した70歳代の女性。Br.stage3レベルで感覚は軽度鈍麻。バランスは動的座位で介助を要す。精神・知的機能面はMMS9/30,コース立方体IQ55。神経心理学的検査で右身体失認,右半側視空間無視,注意障害,中等度の運動・感覚性失語を認めた。ADLはBI40/100点で食事・整容以外に介助を要した。基本動作で頻繁に麻痺手の忘れや敷き込みあり。その際に声かけで麻痺手への注意を促すが視線を麻痺手へ向けるのに時間を要した。車椅子駆動では右側へのぶつかりが著明。
    【麻痺手の忘れに対する評価と介入計画】
     動作の際,麻痺手は重度の運動麻痺の為,背部や殿部に敷き込んだ状態になる事が多く,声掛けに対し,麻痺手に視線を向けようとするが探索に時間を要し,何度も促すが修正は困難であった。これは,動作を病前の麻痺のない右手として行っており,麻痺手の障害を考慮した動作が定着していない事が原因だと考える。介入として,麻痺手への注視を促し,無意識化の動作として行う為にも麻痺側への荷重として体性感覚入力を行い,忘れの改善を図っていく。
    【介入経過】
    まずon elbowでの体重負荷を伴った課題を中心に右空間への追視・注視課題を実施し,両手協調動作としては長手袋を使用した課題を行った。徐々に能動的な体重移動が麻痺側へ行え,指穴への指通しが円滑になり,袖通しの際に能動的に上腕部まで注視が行えるようになった。しかし,麻痺手に視線を向けやすくはなったが,ADLで麻痺手を忘れるなどの場面は依然としてみられていた。そこで,ADL場面への介入も行った。経過で,寝返りの際に非麻痺側で麻痺手を腹部上に置く動作が定着し,座位での靴着脱時に非麻痺側で麻痺手を右大腿上に置くなど敷き込む場面もみられなくなった。
    【介入後評価】
    身体機能面で右上下肢の若干の随意性改善あり。精神・知的機能面はMMS17/30,コース立方体IQ77。神経心理学的検査は,注意障害,中等度の運動・感覚性失語を認めた。ADLはBI85/100で入浴・歩行・階段昇降以外は車椅子レベルで修正自立。基本動作で麻痺手の忘れや敷き込み,車椅子駆動での右側のぶつかりもほぼみられなくなった。
    【考察】
    今回,麻痺側への荷重を伴った右空間・手への注視課題を通して,麻痺手へ視線が向きやすくなり麻痺手を意識した動作が定着してきた。長手袋課題では指入れなどの際に視線を向けながら通す必要があり,それが能動的で持続的な麻痺手への注視を促せたと考える。又,それらを行いながらADL場面への介入を行った事が無意識化での麻痺手を忘れない動作の学習に繋がったと考える。
  • 西 祐平, 吉満 孝二, 田中 茂穂, 鶴留 博一, 冨山 おりえ, 萩原 隆二
    セッションID: 211
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     半側空間無視(以下、USN)は、「大脳半球損傷例の反対側に提示された刺激を報告する、刺激に反応する、与えられた刺激を定位することの障害」とされている。日常生活では半側空間の食事の食べ残しや、車椅子駆動時に半側の物や壁にぶつかる等の影響が出る。またUSNは基本動作やADLの再獲得の阻害因子となることもよく知られている。今回、当院において平成19年10月よりUSNを呈する数例に対し、AVタキストスコープを用いた認知リハビリテーション(以下、認知リハ)を施行しているので、事例検討を含め、その有用性と課題に関して報告する。
    【事例紹介】
     60代前半の男性。平成X年左被核部出血を発症。発症から4ヵ月後に当院に入院、現在は維持期である。運動機能は、右片麻痺(Br.Stageは上肢III、手指III、下肢IV)と、右上下肢に軽度の筋力低下がみられる。認知機能は、認知症はないが、BIT行動性無視検査(通常検査126/146点)、CAT標準注意検査法(Taping Span forward 3桁/ Backward 4桁、 Visual Cancellation Test(3) 364sec/同(か) 439sec、 Auditory Detection正答率26%/ 的中率25.5%)、Ponsfordの「日常生活観察による注意スケール」(28/56点)で、言語機能は口腔顔面失行、運動性失語を呈し、コミュニケーションでは、理解は短文レベルで日常会話が可能、表出では換語困難、錯語、保続、発語失行が見られる。基本動作は一部介助レベル、ADLは概ね最小~最大介助レベルで、FIM(62/126点)である。
    【訓練内容】
     認知リハは他者の出入りの無い当院検査室にて行った。視覚刺激の提示にはAudio and Visual(AV)タキストスコープ(IWATSUアイセック社製のPC)を用い、視覚刺激には1~5個のリンゴの絵が縦に並べて描かれたカード(以下Apple Card:AC)を5枚使用した。対象に左右に2分割したディスプレイ内に各々数の異なるACを2秒ずつ提示し、スピーカを通してACのリンゴの数の多少を質問した。対象へは、質問に対しできるだけ早く反応し、対応するキーユニットのボタンを正確に押すよう教示した。実施に関し、ACの提示時間は1回に付き2秒、回数は20回×5セット(セット間に2分間の休憩をはさむ)、訓練の頻度は3回/週、期間は1ヵ月とした。なお、これら認知リハビリテーションとは別に通常の作業療法、理学療法、言語療法は継続した。
    【結果と考察】
     認知リハ導入にあたり、対象と家族に対し、訓練の目的と内容、期待される結果について説明し、受け入れは良好であった。
     訓練の結果、正答率では変化は見られなかったが、反応時間の若干の短縮が見られ、「日常生活観察による注意スケール」、BIT、CATでは改善の傾向がみられた。また、家族からは表情の明るさ、動作の機敏さが見られるとの報告を受け、対象からは『訓練が楽しみである』『意欲が向上した』などの内省を得た。一方でADLへの汎化は難しく、訓練内容、期間も含め検討を要した。
     発表時はさらに複数例での結果を紹介する。
  • 赤木 勇規, 平川 陽
    セッションID: 212
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    小脳出血後右片麻痺に加え頚部運動時に眩暈、眼振が出現する症例に対し、認知運動療法を試みたので報告する。
    【症例紹介】
    49歳女性。小脳出血発症から2週間経過後に理学療法を開始、右片麻痺に加え頚部運動時に眩暈を認め、当初立ち上がり、歩行は監視であったが自立に達し4ヶ月後自宅退院。しかし、退院後も強い眩暈、眼振続き認知運動療法による介入を試みた。
    【理学療法評価】
    外来治療開始時、感覚検査は異常なし。注意障害、右上下肢の運動単位動員異常、失調症状が認められた。頚部筋緊張が高く、常に固定し動きは乏しく「首の後ろから頭が痺れてアルミ棒がある様で硬い。髪の量が多く頭自体も大きく感じて、後ろに引かれるみたい」等の発言がみられた。頚部運動は非常にぎこちなく動揺やスピードの遅さみられ、眩暈の訴え、眼振が出現し特に坐位から背臥位になる際や後屈、回旋時に顕著であり「無理に曲げないといけない」「後ろに引っ張られる」「首を回す時、雑巾を絞る様に無理に捻る感じ」と発言される。歩行時も方向転換や立ち止まる時にふらつきや眩暈が出現「カーブの時は眩暈が出そうでふらつく」「立ち止まると髪の毛を後ろに引っ張られる感じ」等の発言がみられた。なお眼球運動のみでは眩暈、眼振は見られなかった。
    【病態解釈とアプローチ】
    (1)小脳出血及び手術侵襲により頚部の表象が変質しているのではないか(2)先の問題により頚部運動時、頚部の動きが予測出来ないことで眼球も協調的な働きが出来ず、眩暈、眼振が出現しているのではないかと考えた。そこで頚部の表象を再構築する目的でスポンジを用いた接触課題、筋感覚的な頚部の運動イメージの再構築を図った。これにより頚部運動の予測が可能となり、眼球運動とも協調的な活動が可能となるのではないかと考えた。介入に際し注意障害の影響が強く直接的に一人称イメージを用いた介入が難しく予測や結果との照合に困難を呈した。そこで視覚的イメージや目的部位以外での運動イメージを用いることで頚部への変換を促した。
    【結果】
    「頭を引っ張られなく軽くスムーズに動かせる」「眩暈や違和感が出るって思っていたけど今はない」等の記述がみられ、眩暈、眼振は頚部運動のみの場面では消失しその他でも軽減した。
    【考察】
    小脳は前庭神経核を介し眼球と頚部の協調的な働きに関与すると言われている。今回、眼球運動のみでは眩暈、眼振が見られなかった事から頚部表象の変質によって運動予測が出来ず眩暈、眼振が出現していたものと考えられる。また介入において小脳損傷による注意障害の為、非目的部位や視覚的イメージを目的部位である頚部の一人称イメージへ変換するという観点からアプローチを進めたことで頚部運動の予測が可能となり眼球運動とも協調的な活動が可能となったと考えられる。
  • 目が覚めればリハビリは進む!
    坂下 亜由子, 木原 寿紀
    セッションID: 213
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     脳血管疾患による意識障害が段階的に改善された一症例について、知見を得たので報告する。
    【症例紹介】
     A氏70歳代男性。X年11月にTIA発症、右内頸動脈の狭窄あり。極軽度の左片麻痺・左半側空間無視出現。X+1年6月に右脳梗塞再発。初期評価時の意識清明度Japan Coma Scale(以下JCSとする)II-30で、高次脳機能障害の疑いあり。身体機能は左片麻痺Brunnstrom Stage上肢III-手指II-下肢IIIであった。
    【経過およびOTアプローチ】
     開始当初は意識低下・左片麻痺・高次脳機能障害の影響強く坐位保持困難であった。初期は意識清明度を向上させるため、積極的に坐位訓練を実施し言語刺激入力量を増大させた。左半側空間認知低下も認められたため、家族に左側からの刺激を増やすよう指導。JCSII-10で、姿勢矯正鏡を使い視覚的フィードバックを利用して端坐位保持訓練開始。JCSI-2で視覚フィードバック・言語指示により坐位保持の努力性認められるようになる。言語指示で移乗が一部介助となり、移乗動作の家族指導を開始、日中の離床時間を増やしていった。X+1年7月に右脳梗塞再発。JCSII-10、左片麻痺の軽度の増悪あり。意識が日や時間帯により変動あることが判明。睡眠薬として使用していたエチゾラムを医師と相談し中止する。JCSI-2、移乗・端坐位保持の介助量軽減。退院間近になると家族への依存心強くなり、介助量増大する。本人のできる動作を積極的に行い、モチベーション・自立心の向上に努める。移乗、坐位保持は近位監視レベルで自宅退院された。
    【考察】
     意識は全ての精神機能の土台であり、意識水準が低下すると、それより上位の機能(注意・感情・意欲・記憶・言語・認知・行為)はすべて悪影響を被る。そのため、本症例では最も先に意識障害に対してアプローチする必要性が高かった。意識レベルが向上してからは視覚フィードバックや言語指示が入力されやすくなり、身体機能・高次脳機能の治療促進にも繋がった。訓練内容を、傾眠で覚醒の持続しない時期から移乗動作に焦点化し、簡略した動作を反復訓練したことが効果的であったと思われる。意識障害改善後の心理変化にも留意し、抑うつ状態に陥らないよう配慮することも重要である。本症例においては、睡眠剤の使用が意識障害の要因のひとつでもあり、早期から薬剤の使用について考慮する必要があったと思われる。
    【まとめ】
    1.意識障害の度合いによって訓練を変えていくことが重要2.離床増のためには、起居動作~移乗の家族指導を早期から開始することが効果的3.薬剤、心理状態等の二次的な要因の考慮が必要
  • 笹原 順哉, 原田 直樹, 西本 加奈, 谷川 真澄, 西村 朋美, 宮本 奈央, 大木田 治夫
    セッションID: 214
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
     脳血管障害の理学療法において,装具療法は重要な介入方法の一つであり,その効果は様々な文献で報告されている.その中で長下肢装具(以下,LLB)と短下肢装具 (以下,SLB)は臨床の場面でよく使用する.LLB又はSLBのどちらを処方するかは膝の支持性や他の評価と照らし合わせ総合的に判断するというものが多く,その判断基準は明確にされていない.本研究の目的は装具作成患者の評価項目を比較検討することで,装具作成時やLLBからSLBへ変更する際の判断基準の一助とすることである.
    【対象】
     当院に入院された脳血管障害の患者で,LLBを作成した者26名(男性21名,女性5名,平均年齢69.5±13.5歳)である.
    その内LLBからSLBへ変更できた者(以下,変更群)は19名,SLBへ変更できなかった者(以下,未変更群)は7名であった.
    【方法】
    評価は座位能力,Br.stage,下肢の感覚(深部・表在),立位での下肢の支持性(以下,支持性),背臥位での下肢挙上(以下,下肢挙上)の6項目で行った.座位能力は鷹野らが使用している座位バランス能力評価を用い5段階で評価した.支持性は立位にて膝折れの程度を3段階で評価し,下肢挙上は5段階で評価した.
    比較検討は1)変更群における,装具作成時とSLB変更時の各評価項目,2)変更群のSLB変更時と未変更群の退院時の各評価項目にて行った.
     統計学的処理は,1)は対応のあるt検定を,2)については対応のないt検定を用いて行った.
    【結果】
     1)変更群の比較では,座位能力,Br.stage,支持性,下肢挙上 ,深部感覚にて中間評価時の方が有意に改善しているという結果を得た.表在感覚には有意差を認めなかった.
     2)変更群と未変更群の比較では座位能力,支持性,下肢挙上 に有意な差を認め変更群の方が未変更群と比較し座位能力や下肢の機能が良いという結果が得られた.それ以外のBr.stageや感覚には有意差を認めなかった.
    【考察】
     結果1)では殆どの項目で改善したという結果であり,変更群では各項目で総合的に回復していることが確認できた.これに対し結果2)では未変更群はBr.stageや感覚は有意差なしという結果から同等の回復が認められたものと考えられるが,座位能力や下肢の支持性が獲得できていないことが確認された.SLBに変更する際下肢の支持性が必要であることは当然の結果である.
     それに加え,今回の結果では座位能力が関係していることが示された.座位能力の高い患者は体幹の安定性が高いことが伺える.そのような患者ほど立位で姿勢を制御する能力が高いと考えられSLBへ変更しやすいのではないかと考えられた.また今回有意差は見られないものの,変更群で初期時の座位能力が高い患者ほど短期間でSLBへ変更している傾向が見られた.このことから座位能力や下肢の支持性が装具作成時,及び装具を変更する際の有効な判断基準の一つとして用い得ることが示唆された.一方Br.stageや感覚障害はLLBかSLBを判断する際の決定的な因子に必ずしもなっていないことが示唆された.
  • 村井 史樹, 高木 治雄, 村里 恵理子, 高村 彰子, 新堂 喬
    セッションID: 215
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     今回、脊髄梗塞により両下肢麻痺を呈した症例に対して、Gait solution長下肢装具(以下GS長下肢装具)を使用する機会を得たので、従来の長下肢装具との歩容の違いについて症例を通して、ここに報告する。GSとは、足継手の油圧シリンダーにより、前頚骨筋の遠心性収縮を補助し歩行の手助けをする装具である。
    【方法・対象】
     症例:67歳 男性 1月25日発症  評価 3月12日
    Br-s下肢 右IV  左V
     MMT 体幹 3 殿筋 2/4 腸腰筋 3/4 大腿四頭筋 3/4 ハムストリングス2/4 
     基本動作 寝返り~座位:自立 移乗動作:監視 立ち上がり:物的支持にて自立
    歩行 平行棒内 装具なし 軽介助。右の初期接地~立脚中期にかけて膝の過伸展、左の遊脚期~初期接地に右の膝折れが観察される
    方法:GS長下肢装具と長下肢装具での平行棒内歩行(遠位監視)
    装具の条件:長下肢装具・・・底屈をとめての背屈フリーダブルクレンザック
    GS長下肢装具・・底屈制動の背屈フリー  初期屈曲角度 0°
     設定は本人に教えていない。
     歩行条件:事前に長下肢装具での歩行練習は行っていない。装具の種類・設定は教えていない。
     動画による歩行分析 
    【結果】
     観察によるGS長下肢装具と長下肢装具の違い(GS長下肢装具/長下肢装具)
    ・体幹の前傾が少ない ・健側の振り出しの歩幅が広い ・患側の遊脚期の振り出しがスムーズ 
    歩行速度(m/s)0.223/0.23  ケイデンス(steps/min)42/43 ストライド長(m) 0.64/0.64
    右立脚期  2.19/2.06   右単脚支持期  0.5/0.4
    【考察】
     今回、歩行について、歩行速度、ケイデンス、ストライド長ともに変化は見られなかった。歩容に関して、GS長下肢装具は、GSの特徴である前脛骨筋の遠心性収縮の補助が可能となり、重心の前方への移動がスムーズになった。そのため、初期接地~立脚中期までの股関節伸展がしっかり行えるようになり体幹の前傾も軽減し、健側の振り出しが上手く行えていた。さらに、その後、健側の立脚期の重心移動もスムーズになることで患側の振り出しも円滑に出来たのではないかと考える。通常の長下肢装具に比べ股関節伸展を上手く発揮できたことが一歩行周期において重心の移動を円滑に行うことができたのではないかと思われる。しかし、通常との長下肢装具との歩行速度などに変化が見られなかったこととして、上肢支持を行っていたこと、歩行が、平行棒の中と限定されており、歩行距離が短かったことなどにより変化がなかったのではないかと考えられた。
    【まとめ】
     今回、脊髄梗塞に対し、GS長下肢装具を使用したところ、客観的データには変化は見られなかったが、主観的に歩きやすいとの返答も得られ・歩容の改善も見られた。
    GS長下肢装具は早期から歩行時の重心移動獲得を目的とした治療用装具としても従来の長下肢装具より有効ではないかと考える。
  • 蛭川 裕二
    セッションID: 216
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     今回発語失行を呈した復職希望のある症例を担当した。技術・接客が必要であるこの症例に対し、復職へ向けたアプローチを実施し治療効果を得たので報告する。
    【症例紹介】
     60歳代男性。職業は理容師であり、診断名は脳梗塞(左前頭葉梗塞)。著明な合併症は認めず。
    【作業療法評価】
     Brunnstrom Stage右上肢VI手指VI下肢VI。発症より1月上旬にかけ右上下肢協調性低下。簡易上肢機能検査(以下STEFと略)右80点、左85点。重度発語失行。Barthel Index85点。コミュニケーションは筆談・ジェスチャーにて可能。書字速度は遅延、文字明瞭度低下。
    【作業療法アプローチ】
     X年12月20日より作業療法開始。復職への課題として(1)客への応答。(2)長時間立位での立位バランス・耐久性。(3)理容技術。以上の点が問題であると考え、X+1年2月15日までアプローチを実施した。(1)客への応答に関しては、筆談の効率改善のため模写課題を中心とした書字訓練を行い書字速度と文字明瞭度改善を図った。また筆談での接客訓練も行った。(2)立位バランス・耐久性へは立位バランス訓練・屋外歩行訓練を実施。(3)理容技術は上肢機能訓練や実際に鋏を使用した訓練を行い、理容技術の維持・改善を図った。
    【結果】
     書字速度・文字明瞭度の改善が得られ、筆談でのコミュニケーションの効率化を図ることができ、接客対応も改善。また上下肢協調性改善に伴い立位バランス・耐久性の向上も認められた。理容技術は訓練当初より一連の動作可能も手指機能の拙劣さを認めた。STEF(1/23実施)は右80点、左87点であり鋏の使用可能。試験外泊時に常連客数名の理容業務実施可能であり、理容技術への著明な問題ないとの報告を受けた。
    【考察】
     理容師とは技術職でありながら、接客業でもある対人技術を有する職種である。筆談の効率化を図ることはできたが十分とはいえず今後も改善が必要と考える。鋏・剃刀等を扱うが、業務に関してはスピードよりもむしろ確実・安全性が重要視される。STEFでは年齢正常域より上肢機能低下が認められたが、制限時間内での遂行が可能であり、一定の上肢機能維持とこれまでの業務経験が外泊時の理容業務を可能にしたと考える。今後の課題としては身体機能を維持することにより理容技術を維持し、筆談でのコミュニケーションを円滑にしていくことが復職を今後も支えていくものと考える。
  • 6つに段階付けた家族指導の紹介
    中村 雅司, 吉田 大地, 黒瀬 一郎, 辛嶋 美佳, 佐藤 浩二, 衛藤 宏
    セッションID: 217
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     我々は家族が在宅復帰を望むものの、患者の疾病や能力への理解が低く、かつ介助量が多い場合でも、在宅復帰に繋げるよう家族への関わりを6段階に分け実施している。今回、この段階付けた家族指導法について症例を交え紹介する。
    【6段階の指導方法】
    第1期:家族が訓練を見学し病態への理解を図る。
    第2期:家族が訓練を見学し病態に合わせ能力の理解も図る。
    第3期:身近な動作の介助要領の習得を図る。
    第4期:介助量や難易度の高い動作、また諸動作を一連の動作として介助要領の習得を図る。
    第5期:当院併設の在宅自立学習施設にて排泄動作等の介助要領を習得し在宅生活のイメージの再構築を図る。
    第6期:セラピスト見守りの下、一連の動作を遂行し動作の修正や再指導、確認を行う。
    【症例紹介】
     68歳、女性、夫と2人暮らし。H19年3月2日脳梗塞発症し、6月1日当院回復期リハ病棟入院。初期時B.I.0点。夫より在宅復帰への強い希望が聞かれた。目標は車椅子主体であるが一部限定的な歩行を夫の介助にて可能としての在宅復帰とした。なお、在宅復帰に向けては麻痺や高次脳機能障害を考慮して退院後4ヶ月程度は近隣の施設に入所し外泊・外出を繰り返して在宅復帰を目指すこととした。第1・2期では、夫が機能や能力向上に固執し、病態の理解は不十分であった為、訓練の見学と夫への説明より実施した。3ヵ月後、夫の病態や能力への理解が図れ介助に自ら関わろうとする姿勢が見られるようになった。第3期へ移行し、起居・移乗の介助指導を実施し動作要領獲得させた。4ヵ月後、第4期では歩行の介助指導も導入し、夫は安全に介助歩行が可能となった。以後、第5・6期と順調に進み、退院に向け在宅自立学習施設にて在宅生活のイメージ再構築の促しと在宅にて必要とされる動作習熟・確認へと展開し、約6ヶ月にて目標達成した。最終時、病棟内ADLは予後予測通り車椅子主体であるが、夫の介助にて四脚杖歩行や段差昇降等が可能となった(B.I.55点)。現在退院後約3ヶ月が経過しているが、施設から週末には外泊・外出を行っており自宅退院に向け最終段階となっている。加えて、夫の介助の下安全に過ごせていると確認出来ている。
    【まとめ】
     在宅復帰を強く希望する家族においても、患者が重度の麻痺を呈したり重度介助を要す場合には不安を感じ在宅復帰に結び付きにくい事例に遭遇する。このような事例に対しては、家族の状況に合わせた柔軟な支援を行っていくことが重要である。今回紹介した6段階の家族指導方法は、身体・精神的負担を考慮し、家族が在宅復帰に向けた心の準備を行いつつ介助方法をセラピストと一緒に経験し、家族の主体性を引き出し、更には家族の抱える課題を他職種が専門的かつ多様にフォローするという点で大変有用であると考える。
  • ~他部門との連携、家族への介助指導を通して~
    岩永 梨沙
    セッションID: 218
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    近年の医療・介護保険診療報酬改定によりリハビリテーションの早期介入・早期在宅復帰が強く叫ばれている。その為にも、より質の高いリハビリテーションの提供とともに、医療・介護の連携・情報共有、また、早期在宅復帰を促すにあたって患者・家族の不安軽減への精神的アプローチ・介助指導にも力を入れていく必要がある。今回、一症例を通して、その有用性を感じ、円滑な在宅復帰を図れたのでここに報告する。
    【症例紹介】
    82歳女性、主婦、農業、右利き
    H19.12.22脳梗塞発症、発症時左Br.Stage:I~II、重度感覚鈍麻、見当識良好、HDS-R29点、注意障害、ペーシング障害、左USN等高次脳機能障害が著明
    主訴:「半身不随になった。首から下がパーやけん」
    【経過】
    H19.12.24Bed SideにてPT・OT・ST開始
    H19.12.29端座位訓練開始
    H20.1.8車椅子に移乗しリハ出し開始
    H20.1.10歩行訓練開始
    H20.1.17家屋調査実施
    H20.1.29回復期病棟へ転棟。左Br.Stage:II:II:III。歩行はシューホーン・4点杖を使用し中等度介助。高次脳機能障害の影響が大きく、全般的に動作が乱暴で突発的。自己のリスク管理ができず、転倒の危険性が高い状況
    H20.3.8要介護3認定
    H20.3.25在宅スタッフと同行で外出訓練実施。その後自宅での歩行訓練・家族への介助指導を目的として、週に一回外出訓練実施
    H20.4.12病棟内の移動手段を車椅子から歩行へ変更
    H20.4.24退院前カンファレンス
    H20.4.29退院
    【結果・考察】
    本症例の主訴として、疾患や自身の状態に対してネガティブな発言が多い状況であった。しかし、早期から在宅復帰を想定したかかわりをもち、患者にリハビリの進行状況の説明・フィードバックをしていくことで「一人で歩けるようになりたい、自分でトイレに行きたい」とニーズが出てくるようになった。そして歩行状態の安定化に伴って、病棟スタッフへの介助指導・リスクの説明を十分に行い「しているADL」でも歩行を導入した。同時に、リハビリ室内での家族介助下の歩行訓練や頻回な外出訓練を行うことにより、実用的な歩行能力の向上へとつながり、本人のモチベーションを一層向上することができた。また、家族は退院前に介助の練習が多くできることで、患者本人との意識統一や在宅復帰に向けての不安軽減を図ることができた。さらに、初回の外出訓練の段階からケアマネージャーや訪問リハのスタッフ、福祉用具の業者などが介入し、退院後の具体的なサービスを想定したアプローチが早期からできたことも、家族の不安を軽減できた大きな要因となった。
    【終わりに】
    本症例を通して、理学療法士としてのかかわりだけでなく、患者・家族・他部門とのスタッフとの「人と人」とのつながりや信頼関係が重要であることを再認識できた。
  • 有村 真琴, 坂下 亜由子, 折田 一隆, 笠野 大輔
    セッションID: 219
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
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    【はじめに】
     左視床梗塞により強い不随意運動と感覚脱失、視力低下を発症し、介助方法が特殊であった一例を経験した。当院で作成した情報共有シートを用い回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)スタッフ間での情報と介助方法を共有し、在宅復帰に繋がる事を経験できた。若干の知見を得る事ができたので以下に報告する。
    【症例紹介】
     81歳、女性、右利き。左視床梗塞をX年2月中旬発症。右上下肢感覚脱失、左顔面神経麻痺、左全盲、右視力低下、右上下肢不随意運動、左上下肢Pusher現象、排尿困難を認めた。コミュニケーションは短文レベル。バーテルインデックス(以下BI)は0点。同時期のCTで視床外側に低吸収域を認めた。主訴はトイレに行けるようになりたい。家族は施設入所を希望。
    【方法】
     回復期リハ病棟において算定可能な単位を原則とし、作業療法主担当4単位、理学療法2単位、言語聴覚療法1単位を5日/週実施。作業療法訓練内容はI期(X年2月下旬~X年3月初旬)(1)臥位での筋緊張調整(2)聴覚フィードバックでの不随意運動修正(3)端座位にて右上肢弾性包帯固定してのバランス訓練。II期(X年3月初旬~X年4月中旬)(1)動的座位バランス訓練(2)立ち上がり訓練(3)移乗動作訓練(4)トイレ動作訓練(5)病棟看護師・看護助手への介助指導(6)家族への介助指導(7)家屋調査を実施した。その他情報共有シートの記入、定期的なカンファレンスを開催した。
    【経過】
     訓練開始時、リハビリテーション担当者、回復期リハ病棟スタッフ間の介助方法が様々で、病棟スタッフと本症例に混乱が生じていた。また、尿閉により導尿での管理が必要であり、家族は在宅に対し否定的で施設入所を望まれていた。当院で作成した情報共有シートにより回復期リハ病棟スッタフ間の情報の整理を行い、定期的なカンファレンスを開催。最初はセラピスト間で介助方法を統一させ、回復期リハ病棟スタッフや家族でも同様の事が行えるか検討した。訓練時の基本動作で介助量の軽減みられたため、病棟スタッフに介助方法を指導し介助方法の統一を図った。結果、統一された介助方法が定着する事により、トイレでの排尿回数増え、排尿が可能となった。BI25点へ改善し、家族の在宅希望がきかれるようになった。家族への移乗やトイレ動作の介助指導を実施。家族介助での移乗動作、トイレ動作が可能となった。介護保険サービス調整し、家屋改修実施され自宅退院の運びとなった。
    【考察とまとめ】
    (1)情報共有シートを用いて情報の整理を行った事により、スタッフ間での情報統一ができた。
    (2)介助方法を統一し、セラピスト、スタッフ、家族で介助方法を共有する事により、介助方法を症例に定着する事ができた。
    (3)介助方法が定着した事により、在宅復帰を獲得する事ができた。
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