瀬戸内海東部播磨灘において,表層懸濁粒子の化学元素組成の調査を四季に渡り行った。懸濁態炭素(POC),窒素(PON)およびクロロフィル
a(Chl.
a)の測定,および懸濁態リン(PP)を有機態(POP)および無機態(PIP)に分画し,測定を行った。本報では,懸濁粒子のC/Chl.
a 比,C/N 比およびPIP/PP 比の季節変動について議論する。夏季は高いChl.
a 濃度が観測され,C/Chl.
a 比およびPIP/PP 比の結果から,植物プランクトンの活性が高かったことが示唆された。また,本調査によって,生物量の高い夏季でさえ,沿岸域の表層懸濁粒子中には多量の非植物プランクトン粒子が含まれていることが示唆された。PIP/PP 比はC/Chl.
a 比およびC/N 比と同様に,植物プランクトン活性および表層海水中の懸濁粒子の起源を予測する上で良い指標となることが示唆された。
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