ラテンアメリカ・レポート
Online ISSN : 2434-0812
Print ISSN : 0910-3317
35 巻 , 1 号
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論稿
  • 三浦 航太
    2018 年 35 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2019/03/07
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    2017年末に行われたチリの総選挙で、ピニェラ元大統領が勝利し、4年ぶりに右派政権が誕生した。他方で、2017年総選挙は、新しい選挙制度の導入と新興の左派勢力「広域戦線」の台頭という点で特徴づけられる。第一に、政治不信を生み出す一因とされた旧来の選挙制度にかわって、今回の選挙より新たな選挙制度が導入された。選出方法、区割り、議員定数の改正などを通じて、政党間競争を高め、政治の代表性を改善することが目指された。第二に、学生運動を起源に持ち、既存の政治や経済格差への不満を背景に近年支持を集めてきた、新しい左派勢力「広域戦線」が、今回の選挙を通じて台頭を見せた。チリでは民主化以来、左右の二大政党連合による固定的な政治の構図が続いてきた。新しい選挙制度の導入と、広域戦線の台頭は、そうした従来の政治を変える可能性をもたらすものである。

  • 中原 篤史
    2018 年 35 巻 1 号 p. 17-34
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2019/03/07
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    ホンジュラスの政権与党である国民党は、憲法で禁止されていた再選を最高裁に対する異議申し立てを通して可能にした。それにより第2期目のエルナンデス政権が誕生した。しかし、この再選は憲法違反とする市民の強い批判に加えて、大統領や政権幹部、国民党も絡んだ汚職問題や無処罰への批判により、市民による反汚職、反政権の抗議行動が発生し始めた。その特徴として、それまでは政治に対する関心が比較的薄く、従来はこうした抗議活動には参加しなかった一般市民が、SNSなどを通じてつながり、社会正義をかかげて参加しているという点が指摘できる。

    本稿では第1期のエルナンデス政権のガバナンスを振り返ると共に、任期中に発覚した数々の汚職問題、軍・警察の腐敗問題と、市民から憲法違反と批判されながら国民党の強引な手法で実現した大統領の再選問題を取り上げる。そしてそれに対して社会正義を問い抗議活動を行うホンジュラス市民社会の活動を概観する。

  • 坂口 安紀
    2018 年 35 巻 1 号 p. 35-48
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2019/03/07
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    ベネズエラは、経済成長率が4年連続マイナス、インフレ率が4万パーセントを超えるなど、想像を絶する厳しい経済状況に直面している。本稿では、ベネズエラの厳しい経済状況を図表によって明示的に示し、その背景要因について概説する。マイナス成長については、国際石油価格の下落の影響も大きいものの、チャベス政権期からの国家介入型経済政策がもたらしたマクロ経済の歪みの蓄積や生産部門へのダメージが重要である。ハイパーインフレや対外債務という切迫した問題も、チャベス期から始まった著しい財政肥大に原因があり、マドゥロ政権の経済運営のみならず、チャベス期からの経済政策そのものに原因があると考えられる。

  • 岡田 勇
    2018 年 35 巻 1 号 p. 49-62
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2019/03/07
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    2000年代初頭より、アジアとラテンアメリカ両地域間の経済的結びつきは著しく増加した。そうしたなか、昔から人気のあった日本製中古車への需要も高まり、2000年代後半にボリビアが輸入した日本製中古車は、世界的にも有数のものとなった。そのボリビアは、2008年に一定年数を経過した中古車の輸入を禁止したが、2011年に密輸自動車の「合法化」を認める政策を打ち出した。本稿は、こうした日本製中古車のボリビアへの輸入の急増と、ボリビア政府の政策対応を分析する。アジアとラテンアメリカの経済関係は昨今脚光を浴びつつあるが、中古車貿易のデータは少なく、実情はあまり知られていない。ましてや、グローバル経済の変化に翻弄される自動車非生産国の政府がどのような中古車輸入政策をとってきたかについての研究はほとんどない。本稿の貢献は、ボリビア政府がどのような観点から政策を考え、どのような限界に直面するかを具体例に沿って明らかにする点にある。

現地報告
  • 則⽵ 理⼈
    2018 年 35 巻 1 号 p. 63-75
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2019/03/07
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    メキシコ、グアテマラ、パナマの各国における国家レベルの公文書の管理状況について、2017年11月に現地調査を行った。メキシコでは、立法文書の管理が行政、司法文書に比べて管理方法の面でも専門的人材の配置の面でも発展途上であり、さらに立法府内でも上院と下院で文書管理方法に差異があることが分かった。グアテマラでは、国立の文書館に公文書が移管される体制が確立しておらず、全体的に発展途上である中で、内戦が続いた歴史的経緯から国家警察の文書が重要視され、国外の援助も取り入れながら相対的に発展した管理体制を築いていることが分かった。パナマでは、保存スペースの問題から、国立文書館で移管を受ける公文書を公証人文書に限定し、国立文書館が各機関に公文書管理の方法を指導して個別管理させることで、分散的ながらも画一的な方法で公文書管理を行う体制を整えようとしていることが分かった。

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