ラテンアメリカ・レポート
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最新号
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論稿
  • 宮地 隆廣
    2020 年 37 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/31
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    ボリビアの2019年国政選挙は実施後に大規模な市民の抗議行動を引き起こし、当時の現職大統領であり同選挙で4選を果たしたモラレスの亡命を招いた。この事件に対しては、(1)モラレス側を強く批判する説明、(2)モラレス退陣を求める側を強く批判する説明、そして(3)ボリビアと同時期に大規模抗議運動が発生した国々との共通点を指摘する説明がある。本稿はそのいずれもが事態の説明としては過度に単純化されたものであることを指摘する。第一に、(1)と(2)は自らが擁護する側の暴力や不正の可能性に沈黙している。第二に、(1)が指摘する選挙における不正はいまだ実態不明であり、それを既成事実とした批判は成立しない。第三に、(2)は革新モラレスと保守的な抵抗勢力の対立として今回の紛争を捉えるが、革新勢力が反モラレス側にいることを無視している。第四に、(3)が重視する紛争の要因としての経済悪化やそれに伴う市民の不満の高まりについて、それを裏付けるデータは不十分なうえに、抗議行動が不透明な選挙過程を最も重視していた事実を看過している。

    Editor’s picks

  • 菊池 啓一
    2020 年 37 巻 1 号 p. 14-30
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/31
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    本稿は、アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス政権の閣僚構成と政策課題への対応の特徴を検討したものである。マクリ政権下での経済状況に対する市民のネガティブな評価とクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル前大統領の選挙戦略の妙によって誕生した同政権は、いわば正義党「連立政権」である。2020年4月時点では新型コロナウイルス対策に対する評価から高い支持率を得ていたが、債務再編交渉と経済再生については政権内での経済政策をめぐる調整不足が目立っている。有権者はフェルナンデス政権に対する評価を大統領個人に結びつける傾向があるが、今後政権の支持率が低下した場合にキルチネル派を重用するのは得策ではないと考えられる。

    Editor’s picks

  • 笛田 千容
    2020 年 37 巻 1 号 p. 31-43
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/31
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    本稿では、2019年6月に誕生したブケレ政権のおよそ1年の成果を振り返る。まず、閣僚等の人選と政府計画の概要から新政権がめざすものを明らかにする。次に、過去の政権や周辺国との比較をふまえながら、重点政策である治安対策と汚職対策に評価を加える。最後に、昨今浮上した大統領と立法府との対立および新型コロナウィルスによる混乱の背景と、大統領によるそれらへの対処の仕方について述べる。

    Editor’s picks

  • 中沢 知史
    2020 年 37 巻 1 号 p. 44-51
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/31
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    本稿では、2016年以来政治的対立と混乱が続くペルー・ビスカラ政権における国会解散(2019年9月30日)から臨時国会議員選挙実施(2020年1月26日)に至る経緯と選挙プロセス、そして選挙の結果立法府内にどのような勢力図の変化が生じたのかを概説する。今回の臨時国会議員選挙では、国会勢力の断片化が前回2016年選挙時よりも増した。また、既存政党、とりわけ政府と激しく対立してきた右派の勢力後退が決定的となった。さらに、既存の左派が勢力を拡大しなかったことが確認された。加えて、宗教政党「ペルー農業人民戦線」(FREPAP)と、急進的な主張を掲げる「ペルーのための団結」(UPP)という、解散時点で国会議席を有していなかったふたつの政党の躍進が観察された。南部および中部でとりわけこれらふたつの政党の躍進が見られた背景として、地方部において既成政治全体への不満と拒否感が蓄積されていた可能性を示した。

  • 近田 亮平
    2020 年 37 巻 1 号 p. 52-69
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/31
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    サンパウロ州はブラジルのなかでも外国移民を多く受け入れ、州都であり南米最大の都市サンパウロ市では現在でも多くの外国人が居住や往来をしている。一方、ブラジルは治安が劣悪なことで知られているが、サンパウロ州の警察は1990年代以降、日本の交番システムをベースにした施策も含め、地域コミュニティを重視する治安対策を実施している。本稿では、サンパウロ市の外国移民が多く居住・労働する地区でのフィールド調査をもとに、新たな治安対策が試みられるなか、犯罪に巻き込まれる可能性も高い外国移民がどのような状況にあるのかを究明する。そして、犯罪の予防には地域コミュニティに関する情報の共有が重要であり、新たな治安対策は情報共有のネットワークを構築しようと試みているが、外国移民は情報共有の場との関係性が希薄である現実を指摘する。

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