蝶と蛾
Online ISSN : 1880-8077
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  • 大島 一正, 坂巻 祥孝, 井上 広光, 新井 朋徳, ADAMSKI David
    原稿種別: 本文
    2018 年 69 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    ネマルハキバガ科はキバガ上科の中でも最も分類が困難なグループの一つであり,寄主の記録がある種は既知種の10%以下に限られる.我々は鹿児島県の温室においてウンシュウミカン Citrus unshiu (Swingle) Marcowicz の早期落果を引き起こした小蛾5個体を精査し,うち4個体が日本未記録のイナーナネマルハキバガ(新称) Lateantenna inana (Butler, 1881) n. comb.,残りの1個体がウスオビネマルハキバガ L. decolor (Meyrick, 1907) であることをDNAバーコーディングと成虫形態から確認した.また,広島県においてカキノキ Diospyros kaki Thunberg の樹皮下から得られた小型蛾類の飼育により,L. decolor がカキノキの形成層も摂食することを確認した.さらに本論文では,L. inana に加えて,Lateantenna scotia Turner, 1947 n. comb. も Blastobasis Zeller, 1855 から Lateantenna Amsel, 1968 へと属の移動を行った.

  • 綿引 大祐, 吉松 慎一
    原稿種別: 本文
    2018 年 69 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    Earias属はアフリカ,アジア,オーストラリアの温帯から熱帯域にかけて分布する一群で(Holloway 2003; Poole 1989),ワタやオクラ,ツツジ類等の害虫が知られ,海外では輸入されたオクラに本属の複数種が食害・随伴するなどして植物防疫上の問題となっている(Malumphy and Robinson 2002).本属の一種ベニモンアオリンガE. roseifera Butlerはツツジ類の害虫で(日本応用動物昆虫学会 2006),日本国内においては屋久島以北に分布し,大蛾類では珍しい“菌食性”と“えい食性”を持つことが綿引・吉松(2017)によって報告された.同属の近縁種であるオオベニモンアオリンガE. roseoviridis Sugiは奄美大島をタイプ産地として記載された種で,同島以南に分布することから,これまで本種とベニモンアオリンガの分布は重ならないとされてきた(岸田 2011).しかしながら,両分類群の成虫は翅の斑紋変異が大きく,外部形態による確実な識別が困難であり,また両分類群を同種として扱っている文献や(Sugi 1994),同種の亜種関係にあたる可能性を示唆する文献も見られ(岸田 2011),これら2つの分類群の関係はよく分かっていなかった.
    そこで,多数地点より得られた両分類群の標本を用いて分子・形態学的研究を行った結果,それぞれの標準的なDNAバーコード領域(mtDNAのCOI)の一部配列間に1.8%の塩基置換率があることを確認するとともに(Fig. 1),分布が一部の地域で重複することが新たに判明したことから(Fig. 2),両分類群は同じ種の別亜種ではない可能性が示唆された.また,従来用いられてきた両分類群の識別点(成虫の翅の長さ,色調,交尾器等)では確実な同定ができないこともわかった(Figs 3, 4).そこでさらなる形態学的精査を試みたところ,両分類群は頭部の形態によって識別できることが判明した.すなわち,オオベニモンアオリンガの触角は雌雄ともにほぼ一様に赤褐色の地色で,基半部においてはまばらに白色鱗片を散布するのに対し(Figs 5c-d),ベニモンアオリンガの触角は主に基半部が灰褐色と白色のストライプ状の地色になること(Figs 5a-b),オオベニモンアオリンガの頭盾はピンク色を帯びた黄色で,特に両複眼のすぐ内側の鱗片はピンク色から赤褐色を帯びるのに対し,ベニモンアオリンガは黄色から白黄色を帯びることによって識別できる(Figs 6a-b).
    今回の分子学的研究により判明した両分類群のmtDNAのCOIの一部領域の塩基置換率1.8%は,チョウ目の最も近縁な種間で見られる平均的な置換率よりやや低い値であるものの,1:分類が難しい属においては同程度の置換率の例がいくつか報告されていること(例えば交尾器を含む外部形態での識別が難しいヤガ科Euxoa属)(Hausmann et al. 2011),2:両分類群は幼虫の形態によって明瞭に識別できること(各体節に生じる肉状突起の有無)(富永,2015),3:両分類群は成虫の頭部形態によって識別できること(触角の色彩と複眼近くの鱗片の色)の3点に基づいて,我々は現状では両分類群を別種と扱っておくのが妥当と考えた.ただし,両分類群が混生しているトカラ列島産の成虫のみ,上記の形態学的特徴とミトコンドリアDNA(COI)領域の塩基配列の差異が必ずしも一致しなかった.したがって,交雑の可能性も考えられることから,今後は核遺伝子領域も含めたさらなる分子遺伝学的研究や,交尾後の生殖隔離に関する検討が必要となる.

  • 奥 尉平, 坂巻 祥孝, 鮫島 真一, 津田 勝男, 寺田 剛
    原稿種別: 本文
    2018 年 69 巻 1 号 p. 19-32
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    奄美大島にて,2012年から2016年にかけキバガ上科小蛾類を採集した.同定の結果,10科37属69種が記録され,奄美大島に生息するキバガ上科の記録は41種から92種となった.これらの種について,25種が奄美大島初記録,1種が日本初記録,25種は科あるいは属までの同定にとどまった.

  • 棚橋 一
    原稿種別: 本文
    2018 年 69 巻 1 号 p. 33-43
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    ヤマトスジグロシロチョウ(Pieris napi japonica)の季節型(春型と夏型)による翅の色彩と翅から発散される香気成分の変化について走査型電子顕微鏡(SEM),紫外可視分光光度計およびガスクロマトグラフを用いて検討した.春型の前翅長は,雌雄共に夏型に比べて短く,翅脈は夏型より太く黒色で明瞭であった.SEM により,春型の白色および黄白色の鱗粉には,雌雄ともに顆粒(ビーズ)が見られた.一方,夏型では,雄の白色および黄白色の鱗粉にのみ顆粒が見られ,雌の鱗粉には見られなかった.また,春型と夏型ともに,黒色の鱗粉には顆粒が見られなかった.春型では,雌の紫外領域における反射率が雄に比べ大きかったが,反射スペクトルの形状は雌雄で類似していた.一方,夏型では,雌の紫外領域における反射率が雄に比較して大きく,可視領域では小さくなり,スペクトルの形状に大きな違いが見られた.このような違いは鱗粉内の顆粒の有無に起因していると考えられる.発香鱗は春型と夏型に共通して雄翅の背面側にのみ見られた.香気成分は,春型と夏型ともシトラールとリナロールであった.しかし,香気成分の全量は,春型に比べ夏型の方が4倍以上多かった.以上のように,夏型は春型に比べて翅の反射率の違いが雌雄で顕著であり,発散する香気成分量も多いことが分かった.

  • 那須 義次
    原稿種別: 本文
    2018 年 69 巻 1 号 p. 45-47
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    平野長男氏が採集した見慣れぬヒメハマキガを検討したところ,Epinotia 属の新種であることが判明したので記載した. Epinotia takabotti Nasu, n. sp. ツマグロアカチャヒメハマキ (新称) 開張13-15 mm.前翅の地色は黄茶色,翅頂1/3 が暗褐色でその部分に太い灰色横線を2 本もつ.♂は前翅に細長い前縁ひだ(costal fold)をもつ.♂交尾器のウンクスは細長く,先端は2 叉する;バルバは大きく幅広で,ククルス は大きな長方形.♀交尾器のラメラ・ポストバギナリスは長方形で,後方端に小さな切れ込みを有する;シグナは2 個で幅広い刃状.分布:日本(本州,長野県).本種は Abies firma Siebold et Zucc. モミ(マツ科)から昼間にスウィーピング法で得られたもので,モミが本種の寄主かもしれない.本種の外見はE. autonoma Falkovitsh, 1965 タマヒメハマキに類似するが,前翅の地色がより黄色味が強いこと,翅の外方1/3 のみが暗褐色である(タマヒメハマキは翅の外方1/2 が黒褐色)点で区別できる.本種の♂交尾器は大きく幅広なバルバと大きな長方形のククルスをもつことでEpinotia 属内でも特徴的なものであり,同様な交尾器はE. aquila Kuznetzov, 1968 クロツヅリヒメハマキで見られるが,本種は後者よりもウンクスがより長い点で区別可能である.♀交尾器においては本種のドゥクツス・ブルサエの後半部が硬化する点で後者と区別できる.交尾器の類似から両者の近縁性が示唆される.

  • 原稿種別: Errata
    2018 年 69 巻 1 号 p. errata1-
    発行日: 2018/07/31
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり
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