本稿は、2024 年度日本ムードル協会(MAJ)が支援する研究開発(R&D)プロジェクトに採択されたテーマ「複数回の小テスト受験結果に対する生成AI ツールによる個別かつ時系列的な学習データ分析」(採択通知:2024 年9 月)に関する研究開発活動について報告する。本プロジェクトでは、学習管理システムであるMoodle 上に構築された数学オンライン評価システム‘STACK’を用いて実施された小テストに対し、履修コース所属学生が複数回受験した際の最高得点データと問題文を、生成AI を用いて自動分析する手法を開発・実装した。分析には生成AI ツール‘OpenAI API’を活用している。本プロジェクトにおいては、以下の2 点を主要な研究開発活動として実施した。第一に、小テストの評価モデルと取得した得点データを基に、学生の学習進捗および理解度を時系列的に評価するモデルを設計した。このモデルにより、学生が成績をどのように向上させたか、あるいは学習上の課題にどのように直面しているかを分析可能とした。第二に、学生へのフィードバック機能を支援するプラグインの開発と実装を行った。このプラグインは生成AI を活用し、学生一人ひとりに個別化されたフィードバックを自動生成する機能を備えている。これにより、学生の学習行動を促進し、自己改善を支援することを目的としている。以上の活動を通じて、学習データ分析の精度向上を図るとともに、高等教育現場における生成AI 活用の有用性に関する知見を得たことを報告する。
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