哺乳類科学
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43 巻, 2 号
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原著論文
  • 河内 紀浩, 山本 祐冶, 今井 清
    2003 年 43 巻 2 号 p. 93-98
    発行日: 2003年
    公開日: 2008/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は野生雄ホンドテン(Martes melampus melampus: 以下,テンと略す)の精巣サイズ,血漿テストステロン濃度,行動圏面積およ活動量の周年変化に関して追究し,得られた結果に基づき,テンの交尾期の推定を試みた.調査は本州のほぼ中央,赤石山脈の最北端に位置し,亜高山帯に含まれる標高 1955m の長野県入笠山を中心とする地域で,1996年9月から1997年8月の間,実施した.この期間中に,15個体の雄についてのべ46回捕獲し,精巣サイズならびに血漿テストステロン濃度を測定した.さらに,ラジオテレメトリー法により得られたデータを用いて行動圏面積および活動量を解析した.精巣サイズは4月に増大し始め,6月下旬から7月中旬の期間に最高値を示した.血漿テストステロン濃度は5月と6月に高値を示し,7月にやや低くなった.行動圏面積は7月に最大を示し,活動量は7月と8月に最も高くなった.これらの結果から,本調査地域におけるテンの交尾期は7月であると推定された.
  • 矢竹 一穂, 梨本 真, 松木 吏弓, 竹内 亨, 阿部 聖哉, 島野 光司, 白木 彩子, 石井 孝
    2003 年 43 巻 2 号 p. 99-111
    発行日: 2003年
    公開日: 2008/06/04
    ジャーナル フリー
    秋田駒ケ岳山麓の森林:ブナ風衝低木林,ブナ自然林,ブナ二次林,ミズナラ二次林,スギ壮齢林,スギ若齢林と草地:伐採跡地,牧草地を対象に1999~2002年の4年間にわたり,糞粒法とINTGEP 法によってノウサギ Lepus brachyurus の生息密度の推定を行った.植生タイプ別にみた生息密度は全般に草地が森林より高く,とくに伐採跡地は密度が通年もっとも高く,好適な生息環境と考えられた.季節別にみると森林では融雪期(5,6月)と積雪期(11~4月)に高く植生繁茂期(7~10月)に低いのに対し,草地では植生繁茂期に高く,積雪期と融雪期には低い逆の傾向がみられた.このような変動は4年間ほぼ同様にみられた.糞粒や足跡の出現状況は植生タイプ間の生息密度や利用頻度をよく反映していると考えられた.森林の林内と林縁,草地の中央部と森林との境界部分(林縁付近)では糞粒や足跡の出現状況が異なり,ノウサギの利用に違いがあることが示唆された.
  • 塔筋 太郎, 柴田 叡弌
    2003 年 43 巻 2 号 p. 113-120
    発行日: 2003年
    公開日: 2008/06/04
    ジャーナル フリー
    2000年と2001年に,都市部においてバット・ディテクターを用いてアブラコウモリ(Pipistrellus abramus)の飛翔活動の季節性と活動場所の選択について調査した.アブラコウモリは,2月の日没時の気温が15℃を越えると飛翔活動が確認されるようになり,その後気温の上昇とともに飛翔活動の確認回数も増加した.5月中旬から7月上旬にかけて確認回数が一時低下したが,7月下旬から9月上旬にかけて再び増加する傾向がみられた.12月の気温が15℃を下回ると飛翔活動が確認されなくなった.もっとも多くの飛翔活動が確認されたのは水場であり,続いてオープンスペースとその他であり,二次林ではもっとも少ない傾向がみられた.二次林内はコウモリにとっての餌資源である昆虫類が豊富でありながら,他の環境よりも空間が閉鎖しているために飛翔活動には不適であると考えられ,空間的な要因がアブラコウモリの飛翔活動場所の選択に大きな影響を与えていることが示唆された.
短報
  • 川口 敏
    2003 年 43 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 2003年
    公開日: 2008/06/04
    ジャーナル フリー
    Trapping surveys of small mammals were made on 15 islands in the Inland Sea and on Shikoku from 11, October 2002 to April 2003. Apodemus speciosus was trapped on Yashirojima, Innoshima, Nakajima, Tajima, Yokosima and Shikoku Islands. Mogera wogura was trapped on Yashirojima Island and some mole tunnels were found on Nakajima I. A. speciosus was found in various habitats, but this species was not found in the orange orchards with bare ground surface.
    It was shown that in the Inland Sea A. speciosus was generally found on the islands whose areas are over 13km² and often found on the other smaller islands connected to some of the bigger islands, including Honshu and Shikoku, by artificial bridges. It is suggested that A. speciosus may have dispersed through the bridges.
提言
連載 「かたちの学校」
連載 「食肉目の研究に関わる調査技術事例集」
自由集会記録
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