哺乳類科学
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最新号
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原著論文
  • 澤田 誠吾, 石橋 悠樹, 澤邊 佳彦, 金森 弘樹
    2026 年66 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    本研究は,ツキノワグマ(Ursus thibetanus)の保護管理の現場で栄養状態を評価する判断基準を明らかにするために,先行研究のサンプル数と調査期間を増やして再検証を行った.死亡個体から修正腎周囲脂肪係数(mKFI),皮下脂肪厚(SF),大腿骨骨髄内脂肪含有率(FMF)およびBody Condition Index(BCI)を収集し,それらが年齢クラス,性別および季節によってどのような影響を受けるのかを調べた.その結果,mKFI,SFおよびBCIは季節的な変化を示して,栄養状態を把握する簡易な手法であることが明らかとなった.SFは,腹側2か所と背側2か所を計測してどの部位が指標に適しているかを検討したところ,腹側の恥骨結合部分が皮下脂肪厚の指標として有効であることが明らかとなった.mKFI,SFおよびBCIには性差が認められて,いずれもオスよりメスの値が高かったが,mKFIでは年齢と性別に交互作用があり,繁殖活動の影響が雌雄に差を認める可能性があることが示唆された.また,メス個体のBCIは子連れメスで栄養状態が悪かったが,子育てや授乳が影響していると考えられた.今後,捕獲圧が高まれば,捕獲個体のモニタリングにより,個体群の動向把握が重要となる.各栄養状態指標をモニタリングすることで,生息地の質や個体群の変動を予測するデータとして活用できると考える.

  • 立脇 隆文, 西澤 柚, 中嶋 靖男, 宮西 葵, 炭山 大輔, 安原 伶香, 村上 あぐり, 鈴木 聡
    2026 年66 巻1 号 p. 11-20
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    シベリアイタチ(Mustela sibirica)は,日本の本州では外来種である.本州におけるシベリアイタチの東の分布前線にあたる愛知県では,ニホンイタチ(M. itatsi)が生息することによってシベリアイタチの分布拡大が抑制されると考えられてきた.しかしながら,この仮説についての具体的な検証は行われておらず,シベリアイタチが愛知県を超えて東部へと分布を拡大するかどうかについては検証の余地がある.本研究では,住宅地から森林までを含む愛知県岡崎市において,イタチ類のロードキルを同定し,両種の分布と生息環境を明らかにした.2020年11月~2021年10月の1年間に得られた37頭のうち,シベリアイタチは21頭,ニホンイタチは15頭,損傷が激しく種を同定できなかったものが1頭あった.位置情報が得られた個体の回収地点を地図上に示すと,シベリアイタチとニホンイタチの生息分布はそれぞれ市内西部と中央部に偏っていた.また,シベリアイタチは主に住宅地で回収され,ニホンイタチは主に自然林で回収される傾向があった.多項ロジスティックモデルにより,シベリアイタチとニホンイタチのロードキルが回収されやすい環境を予測すると,シベリアイタチが住宅地に沿って分布を拡大する可能性が示唆された.

報告
  • 池田 敬, 東出 大志
    2026 年66 巻1 号 p. 21-29
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    森林率が高く,地形が急峻な日本において,外見での個体識別が困難なイノシシ(Sus scrofa)の個体数推定手法は確立していなかった.近年,自動撮影カメラを用いた個体識別を必要としない個体数密度推定手法,Random Encounter Model(REM)やRandom Encounter and Staying Timeモデル(REST)が開発され,イノシシの第二種特定鳥獣管理計画でも活用され始めている.しかし,イノシシ個体群を対象としたREMやRESTの比較研究は日本では皆無であり,これらの手法における実用性を検証する必要がある.そこで本研究は,岐阜県岐阜市金華山におけるイノシシ孤立個体群を対象とし,REMやRESTの推定個体数を比較することを目的とした.本調査は2020年と2021年の10月~12月において20台の自動撮影カメラを設置し,マルコフ連鎖モンテカルロ法による各パラメータの事後分布の推定からREMとRESTの個体数密度を推定し,調査地の森林面積を乗じて推定個体数を算出した.その結果,RESTでは,2020年の個体数が101頭,2021年は53頭と推定された.REMの推定個体数は,有効撮影範囲の定義により大きく異なった.使用した自動撮影カメラのカタログ値から有効撮影範囲を定義した場合(従来の適用方法),2020年の個体数が21頭,2021年は9頭と推定された.一方,RESTの有効撮影範囲を活用した場合,個体数推定値はそれぞれ122頭と41頭であった.捕獲数を考慮すると,従来のREMによる密度推定は過小評価であり,有効撮影範囲の定義が重要と考えられる.一方で,RESTやRESTの有効撮影範囲を活用したREMは,同等の密度推定が可能であることが示唆された.

  • 安田 雅俊, 鈴木 圭, 川田 伸一郎
    2026 年66 巻1 号 p. 31-35
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    我々はモモンガ属のなかで最も情報が限られているゴリュウモモンガSciuropterus(=Pteromyswulungshanensis Mori, 1939に関する文献資料を調査した.本種は第一次満蒙学術調査研究団(1933年6月~10月)が中国北東部の五龍山(別名霧霊山)で採集し,森 為三が1939年に新種記載したものである.我々は本種にかかわる1945年以前の日本の文献資料7点(森の原記載論文を含む)を特定し検討した.森とともに満蒙学術調査研究団に参加した岸田久吉は,森がゴリュウモモンガの原記載を含む報告書を執筆することになった1936年1月より前にこのモモンガを新種と認め,別の学名“Sciuropterus mureisanus”を提唱していたことが判明した.岸田が提唱した“Sciuropterus mureisanus”は裸名nomen nudumである.本種の模式標本は現在,国立科学博物館に収蔵されているが,その経緯は不明である.

  • 入口 友香, 荒谷 友美, 中尾 遼平, 佐藤 拓真, 城ヶ原 貴通, 諸澤 崇裕, 川本 朋慶, 橋本 琢磨
    2026 年66 巻1 号 p. 37-44
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    奄美大島の特定外来生物フイリマングースUrva auropunctata(以下マングース)は,環境省を中心として実施されてきた防除事業により2018年に1頭が捕獲されて以降,生息が確認されておらず,2024年9月3日に根絶が宣言されている.一方で,マングースは奄美大島と物流が盛んな沖縄島や鹿児島県本土部にも生息しており,今後,奄美大島に再侵入する可能性は否定できない.本研究では,奄美大島へのマングースの再侵入に対するバイオセキュリティー体制の一つとして,環境DNAによる本種の検出系の確立を試みた.マングースに特異的なプライマーとプローブを設計し,本種のDNAおよび沖縄県や奄美大島に生息する他の陸生哺乳類のDNAサンプルを分析したところ,本種のDNAのみが増幅された.また,奄美大島と沖縄島にあるマングースの飼育小屋の飲み水に由来する環境DNAサンプルから本種のDNAの増幅が確認されたことから,本検出系がマングース由来の環境DNAを特異的に検出できることが確認された.今後は本検出系の有効性を野外で検証する必要がある.

  • 丸田 裕介, 辻 和希, 佐藤 行人, 小林 峻, 小高 信彦, 鶴井 香織
    2026 年66 巻1 号 p. 45-56
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    奄美大島,徳之島,沖縄島に固有のケナガネズミ(Diplothrix legata)は,雑食性である.沖縄島北部の海岸林沿いの道路上で2024年5月18日未明,ケナガネズミの主な生活圏である山地森林には生育しないアダン(Pandanus odorifer)の果実を摂食する成獣1頭を直接観察し,同日夜間に同地点でロードキルにより死亡した個体を回収した.この死体はアダン摂食を確認した個体と同一とは限らないが,胃内容物が認められたため,摘出後DNAメタバーコーディングで解析したところ,餌として新知見となるアダンとオカヤドカリ(Coenobita cavipes)が確認された.

  • 安田 雅俊
    2026 年66 巻1 号 p. 57-62
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    霧島山北麓では2001年度,ロードキル死体1頭の拾得によって特定外来生物クリハラリスCallosciurus erythraeusの生息が初めて確認され,さらに野生化個体4頭が捕獲された.2013年度に環境省が実施した分布状況調査では痕跡調査を実施した10地点中1地点においてヤブツバキCamellia japonicaに本種によるものとみられる古い環状食痕が見出された.そこで2024年12月~2025年1月に同地域の19地点を調査したところ,新鮮な環状食痕は見出されなかったものの,新たに5地点で古い環状食痕をもつヤブツバキ,タブノキMachilus thunbergii,ヤブニッケイCinnamomum yabunikkeiを確認した.本個体群の現状が不明であることを考慮すると,地方行政機関による定期的なモニタリングが必要である.本稿ではその方法論についても検討した.

  • 安田 雅俊
    2026 年66 巻1 号 p. 63-66
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    環境省から許可を得て特定外来生物クリハラリスCallosciurus erythraeusを飼育展示している佐賀県西部の観光施設の周辺の山林において2025年4月に予備的な痕跡調査を実施したところ,3地点中1地点において12個体のヤブツバキCamellia japonicaにクリハラリスによるものとみられる古い環状食痕を発見した.これは,本地域にかつてクリハラリスが野生化していたことを示唆する.現在の生息分布や生息密度,侵入経路の解明は今後の課題であり,現状を把握し有効な対策を行うために地方行政機関による本個体群の管理への関与が必要である.

  • 平城 達哉, 山田 浩子, 中澤 孝, 本川 雅治
    2026 年66 巻1 号 p. 67-75
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    徳之島において,2020年4月から2024年4月にかけて,オリイジネズミCrocidura oriiの生体を3例観察した.2009年以降,野外での生息記録が得られていなかった本種の野生個体の観察記録は非常に貴重な事例であり,今後の本種における保護対策構築の基礎資料となる.

    生体観察3例から,オリイジネズミが昼夜ともに活動することや鳴声を発することが記録され,生息環境には落葉の存在が重要であることが示唆された.

    過去の本種の生息記録について,文献調査と標本調査を実施し,標本14点と標本をともなわない生息記録4例について,新たに判明した知見を含めて整理した.

    また,全21例のオリイジネズミの記録とあわせると,秋から春頃に活発に活動していることや,自然度の高い森林内だけでなく,平地から山地の多様な環境に生息している可能性が考えられた.

  • 高槻 成紀, 川西 基博
    2026 年66 巻1 号 p. 77-82
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    ニホンジカCervus nippon(以下シカ)は日本列島に広く分布し,その植生帯に応じて,冬の食性は北日本ではグラミノイド(イネ科,カヤツリグサ科)が主要,南日本は常緑広葉樹や果実が重要であることが解明されつつあるが,九州本土では情報が不十分であった.最近九州の2カ所で分析されたが,シカが高密度のために下層植生が貧弱化しており,特異な条件下での食性と判断された.そこでシカが低密度である鹿児島県の高隈山地の常緑広葉樹林でシカの糞分析をしたところ,春と冬には常緑広葉樹が約60%を占めていることがわかり,シカの南北変異にとって重要な情報となった.

  • 安井 さち子, 古谷 亘, 清水 昭男, 藤井 智久, 野嵜 歩, 上條 隆志
    2026 年66 巻1 号 p. 83-86
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    伊豆諸島神津島において,コキクガシラコウモリRhinolophus cornutusの死骸1体とナイトルースト1カ所が確認された.死骸は2024年8月に,ナイトルーストは2024年6,9月に,それぞれ建物で確認された.神津島のコウモリ類についての報告はこれまでなかったため,ここに報告する.コウモリ類が確認されている島は伊豆諸島では有人島9島のうち6島となった.

特集 転換期を迎えるシカ管理~これから必要な管理施策と体制~
  • 岸本 康誉, 八代田 千鶴, 大場 孝裕, 山端 直人, 田村 淳, 濱﨑 伸一郎
    2026 年66 巻1 号 p. 87-89
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー
  • 岸本 康誉, 関 香菜子, 木村 響, 内田 翔太, 中島 彩季
    2026 年66 巻1 号 p. 91-104
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    ニホンジカの適切な管理目標の設定と施策展開を支援するために,第二種特定鳥獣管理計画の中で定められた管理目標の内容を整理するとともに,事例をもとに使用する各指標の特性を評価することで,転換期を迎えるシカ管理における目標設定のあり方を提案した.第13次鳥獣保護管理事業計画のもと45都道府県で作成された第二種特定鳥獣管理計画の中で,生息密度に関する管理目標値は多くの都道府県で定められていたものの,農業被害や生態系への影響に関する管理目標値を定めている県はわずかであった.被害軽減のための密度管理の目標値を設定している福井県,三重県,徳島県で収集されてきたデータを活用して,被害と生息密度との関係を解析したところ,その関係性は,県によって異なることが明らかとなった.また,管理目標達成のための実施目標を記載する計画は,都道府県によって異なっていた.これらの結果を踏まえて,1)管理目標値は,被害軽減や生態系への影響の軽減に係る管理目標値を設定するとともに,生息密度との関係性などの根拠を提示していくこと,2)その中での密度管理の目標値に関しては,他地域の値をそのまま採用するのではなく,その地域で必要な値を導き出し,設定していくこと,3)管理目標の設定は第二種特定鳥獣管理計画に定め,状況に応じて柔軟に変更すべき実施目標に関しては年度別実施計画に定めること,4)国と地方自治体との間で整合性がとれた目標設定とそのための技術支援や情報管理等の仕組みづくりを進めていくことを提案する.

  • 山端 直人, 鬼頭 敦史, 飯場 聡子, 六波羅 聡, 東 りさ, 藤井 佳子, 髙橋 完
    2026 年66 巻1 号 p. 105-117
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    シカ(Cervus nippon)による農作物被害は営農意欲低下による耕作放棄地の増加などの要因にもなっている.その低減には,適切な防護柵の設置・管理と加害個体の捕獲が重要であるとされ,地域住民が主体的に防御と捕獲に取り組む地域主体の獣害対策の体制構築が重要である.しかし,人口減少に伴い獣害対策の担い手も減少するなか,防御と捕獲の体制構築も困難となる事例も増加しつつあると考えられる.本研究では,集落防護柵の維持管理がなされていても開口部からの侵入によりシカの農業被害が深刻な集落を対象とし,地域住民と学校区単位の自治組織(本稿では住民自治協議会)が主体となった加害個体の捕獲活動を2集落で実施することで,シカによる農業被害を軽減し得ることを実証した.実証では集落開口部で年間10頭以上のシカが5年間継続して捕獲され,被害は両集落ともほぼゼロにまで低減し,ライトセンサスの結果でも,300 mのバッファ内ではシカの出没が減少する傾向が見られた.そして,住民へのインタビュー結果でも集落内の農地における農業被害低減を評価する声と同時に,シカの目撃も少なくなったことを実感する発言が増加した.結果として,防御と加害個体捕獲という基本的な技術を実践するため,集落単位では捕獲者の不在から加害個体の捕獲が不可能になる集落があるなど,単一の集落で不可能なことを学校区などの複数集落に跨る組織で調整し,捕獲に必要な場所選定から捕獲個体の処理までの作業が滞りなく実施可能な体制を地域の状況に合わせて構築することが有効であることを示すことができた.

  • 田村 淳
    2026 年66 巻1 号 p. 119-129
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    神奈川県は,1980年代からの丹沢大山国定公園におけるブナ林の林床植生の衰退を契機として,2003年にシカ管理計画を策定した.計画では生物多様性の保全を目標の一つに掲げて,自然植生回復エリアと生息環境管理エリアにおいて,県はシカの個体数管理を実施している.また,個体数管理に先立ち1997年から植生保護柵をブナ林に設置している.個体数管理により自然植生回復エリアではシカ密度が低下して林床植生の植被率が高くなってきた場所もある.しかし,その増加はシカの採食耐性種であり,植被率の増加した場所は一部に限られている.一方,2つのエリアともに柵内の植被率は60%を超えている.20年以上にわたる個体数管理と柵の設置,モニタリングからわかってきたことは,衰退した植生を,個体数管理によってシカの影響が高まる前の状態に回復させることは極めて困難であるということである.シカ密度が低下してきても植生が想定通りに回復しない現状を打開するために,次の3点,すなわち,1)植物成長期のシカ密度指標を把握すること,2)個体数管理の時期の重点を植物成長期に移すこと,3)植生タイプを考慮した植生回復の目標設定とそれに対応した管理方法を選択または組み合わせることを提案した.

  • 濱﨑 伸一郎
    2026 年66 巻1 号 p. 131-151
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/14
    ジャーナル フリー

    各都道府県で取り組まれているニホンジカ(Cervus nippon;以下,「シカ」と記す)の科学的管理の向上に資することを目的として,各都道府県単位で策定されている最新の第二種特定鳥獣管理計画を通覧し,個体群動向,農林業被害及び被害対策,シカによる植生への影響に係る各モニタリングの現状と課題について整理した.分布モニタリングでは,出猟カレンダーや自動撮影カメラを用いた調査などの情報が用いられていたが,個体数管理の面から雌雄を区別して分布拡大を評価することが必要と考えられた.シカ個体数(密度)モニタリングでは,狩猟における単位努力量あたりの捕獲数と単位努力量あたりの目撃数が相対密度指標として広く採用されているが,総捕獲数に占める許可捕獲数の割合が増加していることから,許可捕獲における両指標の情報収集が必要である.また,スポットライトカウント,糞塊密度,糞粒法,区画法,自動撮影カメラを用いた調査など地域の状況に応じた調査手法が採用されていたが,階層ベイズモデルによる個体数推定が普及している現状においては,各密度指標の精度向上と複数の指標の継続調査が必要であると考えられた.農林業被害では,農林水産省が毎年度市町村単位で収集する被害統計を被害指標として利用している事例が多いが,集落アンケートのような小スケールで客観性のある指標を収集していくことが管理施策評価の上でも重要と考えられた.植生モニタリングは都道府県によって取り組みの差が大きく,シカによる植生への影響軽減と植生回復が可能となる密度水準を検討する上で,先行地域の取り組みを参考に都府県域を超える広域的な観点も含めて早期に取り組んでいく必要がある.管理の科学性と順応性を高めるためには,科学評価機関による年度単位の施策評価と,それに基づく計画の修正が重要である.

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