原価計算システムを核とする経営情報システムは経営意思決定やコントロールを支援する役割を担っている。本論文ではドイツのHoesch社で開発された構造モデルに基づく経営計画計算のための情報システムがどのように開発され、運用されたのかを説明するとともに経営意思決定と原価計算システムのインターラクションを議論している。
最近になって,アメーバ経営を導入する企業が増えてきた。しかし,導入に成功した企業ばかりではない。成功するのに10年近くかかった企業もあれば,中止した企業もある。続けてはいるが,「停滞」している企業も少なくない。「停滞」の理由はさまざまであるが,経営者や従業員の組織能力の欠如が一因である。本稿では,TPSを導入して「停滞」を見事に解消した(株)マルト水谷の事例を分析する。
近年相次ぐ品質不祥事は,管理会計とけっして無縁ではない。本稿では,品質不祥事の背景に潜むわが国の製造業に共通した問題点を検討し,その原因について探究する。じつは,そうした問題点の背後には,管理会計システムの負の影響も見え隠れしている。さらに,一連の品質不祥事はわが国のコーポレートガバナンスが有効に機能していない現実をさらけ出したともいえる。管理会計システムは,このコーポレートガバナンスの中核を担う存在と目されているものの,そのためには少なからぬ変革が必要となる。本稿では,当該変革のあり方についても展望を試みる。
本論文では,新たに管理会計研究が取り扱うべき領域として会計表現,つまり会計情報の「可視化」があるのではないかという主張を行う。具体的には,実験室実験による可視化の重要性の発見,リーン会計の経験的分析結果,実務的な可視化の議論の興隆など,会計可視化を扱う必要性について,断片的ではあるが,それぞれの主張を確認し今後の研究の方向性を議論する。
管理会計によって経営管理者は何を実現しようとしているのかについて,組織成員による適切な理解が形成されなければ,管理会計は経営管理者の期待とは異なる組織行動を助長する可能性がある。本稿では,組織目的を実現するうえでの管理会計の意義や役割,組織における管理会計の在り方を明示したものを管理会計マインドとして定義する。そのうえで,管理会計マインドが,組織における管理会計の理解,効果的利用に与える影響をモデル化し,これらの関係性を検証する。
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