マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
33 巻 , 2 号
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巻頭言
論文
  • ─ ブルー・オーシャン,マーケティング,そしてイノベーション ─
    川上 智子
    2013 年 33 巻 2 号 p. 5-18
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2020/11/17
    ジャーナル フリー

    本稿は,市場の構造と行動を変革する市場ドライブ型市場志向の概念に依拠し,ブルー・オーシャン戦略の非顧客戦略の枠組みを用いて,ブルー・オーシャン戦略論,マーケティング論,イノベーション論を融合したイノベーション・プロセス・モデルを提示する。
    日本で10年以上の持続的競争優位を維持している3つの事例の分析を通じ,非顧客層を将来の顧客に転換する方法を検討した結果,次の3点が明らかになる。すなわち,①非顧客層を探索し,新たなプレイヤーを巻き込みながら,新しい市場構造を構築し,顧客の行動を変えていった点,②事業の進展に伴い,市場の主要なプレイヤーが変化し,非顧客層の顧客化がいっそう進んでいった点,そして最後に,③非顧客から顧客への転換は,事業の展開と共に市場のプレイヤーとの相互作用の中で決まる側面を持つ点である。
    日本企業は現場主導型のマーケティングを得意とするが,市場ドライブ型イノベーションの実現には,トップ・マネジメントのリーダーシップが不可欠である。国を問わず,市場ドライブ型市場志向のイノベーションに必要なマーケティング能力の構築が求められている。

  • 黒岩 健一郎
    2013 年 33 巻 2 号 p. 19-34
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2020/11/17
    ジャーナル フリー

    これまでの市場志向の研究では,市場志向が高い組織ほど製品開発が巧みであることが示されてきた。では,市場志向を高めるにはどうすればよいのだろうか。市場志向の先行要因は,「トップマネジメント要因」,「部門間要因」,「組織システム要因」の3つに整理されているが,まだ十分に解明されているわけではない。市場志向とは,市場知識の全組織的生成・普及・反応であるが,組織内で市場知識に直に接触する中核的な機能は,市場調査機能だろう。つまり,市場調査機能のマネジメントは,組織全体の市場志向に強く影響を及ぼす先行要因と密接に関係する。本稿では,市場志向を高めるための市場調査機能のマネジメントのあり方を検討した。
    本研究で得られた発見は,第一に,市場調査機能を統合した組織形態には,2種類あることである。第二に,市場調査機能が,組織構造上,どこに位置づけられるかによって,発生しやすい問題が異なることである。第三に,市場調査機能の組織構造上の位置づけだけで,市場志向の善し悪しが決まるわけではないことである。第四は,市場調査機能が,組織構造上,意思決定者とのコミュニケーションがとりやすい位置にあると,市場志向は高くなることである。

  • 小野 晃典
    2013 年 33 巻 2 号 p. 35-48
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2020/11/17
    ジャーナル フリー

    「マス・カスタマイゼーション」は,価格を個々の顧客が持つ細かなニーズを満たすことのできる画期的な生産システムとして注目されているが,実は,既存のマスプロ製品を基礎にした顕在ニーズに応えるにすぎないのが実情である。それに対して,「マス・プロダクション」は,顧客の思いつく範囲を超えた画期的な製品を提案することを通じて無限の潜在ニーズを満たす潜在性を持つ。そこで,この2つを「反応型市場志向」および「先行型市場志向」という2種類の市場志向に対応した生産システムと見なした上で,本論は,顧客が既存製品のカスタム製品版と革新的マスプロ製品の市場魅力度が,2種類の市場志向を規定すると主張する。

  • 石田 大典
    2013 年 33 巻 2 号 p. 49-64
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2020/11/17
    ジャーナル フリー

    新製品開発における顧客志向の重要性について,これまで多くの論者によって強調され,売上や利益などのパフォーマンスとの因果関係が議論されてきた。ところが,企業価値の観点から顧客志向の役割を論じる研究はあまり着手されてこなかった。そこで本稿では,顧客志向が企業価値へ及ぼす影響について,先行研究のレビューを通じていくつかの仮説を導出し,日本の上場企業を対象とした調査の結果を基に検討していく。分析の結果,顧客志向は新製品パフォーマンス(売上と市場シェア)を媒介して,企業価値(トービンのq)を向上させることが明らかとなった。また,新製品優位性と企業価値は,直接的な因果関係にはなく,新製品パフォーマンスを媒介した間接的な関係であることも示された。

  • ─ 市場志向が革新性をもたらすメカニズムの解明 ─
    岩下 仁, 石田 大典, 恩藏 直人
    2013 年 33 巻 2 号 p. 65-79
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2020/11/17
    ジャーナル フリー

    本研究では,イノベーティブなサービスを創出する組織内部のメカニズムを明らかにするため,新サービスを開発する際に鍵となる組織特性の解明を試みている。まず,昨今の経済状況を踏まえ,サービス開発に関する研究に取り込むことの意義について考察した。次に,これまでのサービス開発を扱った先行研究のレビューを実施した。さらに,イノベーティブなサービスを創出している企業3社のサービス開発担当者に対するインタビューから,「市場志向」,「コミュニケーション・リッチネス」,「パーソナリティ・スキル」という3つの組織特性を抽出した。最終的には,これらの3つを頂点としたCPMトライアングルを提示している。

  • 中川 正悦郎
    2013 年 33 巻 2 号 p. 80-93
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2020/11/17
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,消費者の情報源選好を規定する要因を製品判断力と購買関与度という二つの概念で捉え,いかなる消費者が,いかなる情報源を選好するのか,という規定関係を明らかにすることである。なお,インターネットの登場以降,消費者を取り巻く情報環境は劇的に変化しているため,ここで対象とするのはインターネットという情報源が加わった今日の情報環境である。分析結果より,消費者の情報源選好を規定する要因は,第一義的に製品判断力であることが明らかにされ,さらに,現在では伝統的な人的情報源に代わりオンライン消費者レビューが重要な情報源となっており,それは,とりわけ製品判断力の低い消費者にとって有用な情報源になっていることが示唆された。

  • ─ 消費者日記調査・インタビュー調査を基に ─
    川村 洋次
    2013 年 33 巻 2 号 p. 95-109
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2020/11/17
    ジャーナル フリー

    本研究は,様々なメディア(マスメディア,インターネット,対人など)の環境における消費者の情報行動や思考内容を明らかにし,社会・消費現象を解釈・分析・予測するための消費者行動モデルの提案を行った。まず,消費者の行動,人との関わり,商品との関わり,情報との関わりおよび思考に関する日記調査とインタビュー調査を実施し,消費者関与別に具体的な消費者情報処理過程の段階や処理内容を集計・分析した。次に,集計・分析結果を踏まえ,消費者の行動を3つの層(認知・反応,獲得・考察,着想・表現),8つの段階(認知,理解,購買・消費,獲得,考察,確信,着想,表現)によって特徴づけた循環型消費者行動モデルiDEACCycle(アイデアサイクル)を提案した。そして,アイデアサイクルによる3種類のエージェント(キャスター,インベスティゲイター,アクセプター)を活用した社会コミュニケーションモデルを構成した。このモデルは,消費者がメディアからの情報刺激を受けて,消費者自身の思考や行動を循環させる過程,メディアを介して企業と消費者の間で様々な情報が社会的に循環する過程を含む多重循環モデルである。

取材レポート
テーマ書評
  • 佐藤 圭
    2013 年 33 巻 2 号 p. 139-153
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2020/11/17
    ジャーナル フリー

    本稿では,マーケティング分野において,ネットワークの理論やその分析手法を応用した実証研究をとりあげ,その研究内容を①時系列的,②研究領域別(組織内,組織間,消費者間)に整理し,その現状と課題について考察することを目的とする。ネットワーク分析は現象の包括的記述および分析を可能にするため,近年,多くの分野において注目を集めている。本稿でとりあげた研究に対する考察を通じて,複数の要素が相互作用し生じる複雑な現象を扱うマーケティング研究において,それが有用なアプローチとなり得ることを示す。

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