マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
33 巻 , 3 号
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巻頭言
論文
  • ─ 事後創発される価値の原動力 ─
    小野 譲司, 藤川 佳則, 阿久津 聡, 芳賀 麻誉美
    2014 年 33 巻 3 号 p. 5-31
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    本論文は,企業と顧客の価値共創に関して,「共創志向性」という対概念を示すことによって,なぜ特定の企業/顧客が価値共創に参加するのかという根源的な問題を読み解く手掛かりを提供する。価値共創に関する議論は,サービス・ドミナント・ロジックの基本的前提によるサービス概念,価値の捉え方,顧客観といったモノの見方にとどまらず,組織の共創能力,価値星座,目標のプロセス管理など,近年,それに関連する研究が積み上がっている。そうした中で,我々は,使用価値/文脈価値が生み出されるダイナミクスに着目し,その事前規定性と事後創発性という性質を指摘することによって,双方の共創志向性が,ダイナミズムを駆動する主たる原動力であることを示すとともに,それらを鳥瞰する概念枠組みを提示する。

  • 戸谷 圭子
    2014 年 33 巻 3 号 p. 32-45
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    「提供者と被提供者が共に資源を提供し合い相互作用の中で価値を創造する」という「共創価値」は,経営学分野では鍵概念となりつつある。本稿では,サービスにおける共創価値を促進する仕組みどのような枠組みで捉え測定可能にするかを,共創価値概念,実務的意味,測定課題の点から検討した。その結果,共創価値の促進要因を,影響する価値の種類(金銭価値・知識価値・感情価値),便益と費用(価値増加と損失低減),効果の時間(短期・長期)の3軸で分類した。さらに,サービス・トライアングルをベースとする企業・従業員・顧客がそれぞれ獲得する価値を均衡させることによって共創を促進するモデルを提案した。

  • ─ 顧客ゴール育成シナリオの可能性 ─
    芳賀 麻誉美, 阿久津 聡
    2014 年 33 巻 3 号 p. 46-71
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    本論文では,公文教育研究会を対象とした4つの研究を通して,価値共創におけるゴール変容に焦点をあてるのと同時に,個人の文化的差異(分析的-包括的思考形式)の影響も定量化し,サービスグローバリゼーションにおける課題を指摘しながら,「顧客ゴール育成シナリオ」の提供の可能性について検討,報告する。
    「短期的・具体的ゴール」と「長期的・抽象的ゴール」という多目的構造を同定し(研究1),これらが短期(5か月)でどの程度安定しているか,長期(数年単位)で動的に変容するかを,国内の縦断調査(研究2)と横断調査(研究3)で明らかにした。その結果,5か月程度の短期では大きく顧客ゴールが変化しないことが縦断調査で示され,他方,数年単位の長期の継続により「短期的・具体的ゴール」と「長期的・抽象的ゴール」がそれぞれ変化し,より「長期的・抽象的ゴール」を志向する可能性があること,そして,目的志向性は強くなる傾向があることが,横断調査で示された。また,国内の縦断調査と横断調査のいずれにおいても,個人の文化的差異(分析的-包括的思考形式)が顧客ゴールの差異に関係することが定量的に把握できた。
    さらに,エキスパート・インタビュー(研究4)では,「顧客レベル(継続段階)」に合わせた提供価値の変容を社内で共有,実現化のための取り組みをしていることが確認できた。
    以上より,本論文では今後,「顧客ゴール育成シナリオ」の提供が可能であることを示す。

  • ─ 脱コンテクスト化と再コンテクスト化による知識移転プロセス ─
    藤川 佳則, 小野 譲司
    2014 年 33 巻 3 号 p. 72-92
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    本論文の目的は,「サービス事業」を企業と顧客が共に価値創造を担う価値共創活動としてとらえ,その「グローバル化」を価値共創に関する知識の国際移転プロセスとして焦点をあて,その実際をフィールド調査を通じて明らかにすることにある。本研究は,世界48か国・地域(2013年3月現在)において教育事業を展開する株式会社公文教育研究会との共同研究に基づく定量調査(世界6か国・地域の指導者対象のサーベイ調査)と定性調査(日本本社,地域本社社長および関連部署責任者,担当者対象のインタビュー調査)によって構成される。定量調査は,国際知識移転の主体である人間(公文の場合,指導者)に焦点をあて,文化変数(高コンテクスト文化,低コンテクスト文化),能力変数(指導者の脱コンテクスト化能力,再コンテクスト化能力),行動変数(指導者の発信行動や受信行動),および,結果変数(指導者が運営する教室の業績評価)との関連性,を明らかにする。また,定性調査は,国際知識移転の対象である知識(公文の場合,指導方法)に焦点をあて,新しい知識が生成される背景や伝播される経緯について,事例を通じて明らかにする。

  • ─ ヤマトホールディングスのアジア展開における参入初期段階の事例から ─
    池上 重輔
    2014 年 33 巻 3 号 p. 93-107
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    国内宅配便最大手のヤマトホールディングスは2010年以降アジアにおける海外進出を本格化させ始めた。日系の大手サービス企業で海外展開に成功している事例は多くは無く,ネットワーク構築が必要な物流事業者であるヤマトホールディングスにとって海外展開は必ずしも容易ではない。本稿は日本の高品質サービスを中国,シンガポール等で展開するにあたり,ヤマトホールディングスがどのようビジネスモデル,ナレッジ,企業理念の移転を図っているかのケーススタディである。ハイコンテクスト文化圏の日本で発達してきた宅急便事業を,形式知と暗黙知の両面から海外移転しようとする試みから学べるものは多い。

  • ─ ユニバーサル・スタジオの事例から ─
    鈴木 智子, 竹村 幸祐
    2014 年 33 巻 3 号 p. 108-126
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    サービス業のグローバル化が進んでいる。複数の国で事業を行う際,グローバリゼーション戦略とローカリゼーション戦略といった二つの選択肢がある。これまでに米国を中心に発展してきたブランド・マネジメント論では,どちらかといえばグローバリゼーション戦略が推奨されてきた。これに対し,本研究では,グローバリゼーション戦略の有効性について再考を試みる。グローバリゼーション戦略を推奨する研究者の主張からは,「一貫性」がキーワードとして浮上する。しかし,一貫性を選好する傾向には文化差があり,ある文化圏の人々は一貫性を重視するが,別の文化圏の人々は変化や矛盾に対して寛容であることが指摘されている。前者ではブランド・イメージに一貫性が欠如していると,そのブランドに対する評価が下がる可能性があるが,後者ではブランド評価が下がるとは限らない。本論文ではこのことについて,ユニバーサル・スタジオを事例として取り上げつつ,考察する。

取材レポート
テーマ書評
  • 金子 充
    2014 年 33 巻 3 号 p. 163-175
    発行日: 2014/01/15
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    本稿は,二重過程理論の理論研究に焦点を当て,概観することで,現在提示されている各理論を整理し,将来需要のある研究課題を抽出することを目的とする。本稿では,二重過程理論の研究を,1)説得(態度変容),2)推論,3)セルフ・コントロール,4)統合型の観点から整理した。加えて,これらの研究に対する批判についても整理した。その結果,二重過程理論は,コンセンサスを得られていることが少なく,さらなる理論の精緻化が必要であるが明らかにされた。

ブックレビュー
編集後記
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