マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
33 巻 , 4 号
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巻頭言
論文
  • 石原 武政
    2014 年 33 巻 4 号 p. 5-15
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2020/06/23
    ジャーナル フリー

    流通イノベーションはこれまでもときどきの時代の課題に応えるかたちで行われてきた。そのイノベーションは競争によって誘発されることも多いが,政府を含めた外部からの強い指導や要請に導かれることも少なくない。現在,流通を取り巻く環境はかつて経験したことのない多くの課題を投げかけている。こうした環境のもとでは,競争が自動的にイノベーションの方向を適切に導くとは限らない。むしろ,流通が直面する時代の課題を広く共有し,それに立ち向かうことの重要性を確認することが大切である。その意味で,流通におけるイノベーション研究もまた,オペレーションの詳細を事後的に吟味するだけではなく,直面する課題の分析により積極的に取り組む必要がある。

  • ─ 分析枠組の再検討 ─
    矢作 敏行
    2014 年 33 巻 4 号 p. 16-28
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2020/06/23
    ジャーナル フリー

    電子商取引の拡大に伴い,価値の提案,創造,獲得を内容とするビジネス・モデル革新が広い関心を集めるようになった。既存の戦略論を,より具体的な活動システム・ベースにまで深めて議論するビジネス・モデル論はアカデミアとビジネスを架橋する新たな研究分野となっている。小売経営論も例外ではない。顧客のニーズを充足する市場戦略(業態・出店戦略)とそれを運営・実行する業務システム(店舗運営・商品調達・商品供給)が小売事業モデルを構成する基本要素となる。筆者による一連の研究を手掛かりに,従来の小売形態発展論を超えた小売事業モデルの分析枠組を再検討し,価値創造のメカニズムを考えてみる。

  • 高嶋 克義
    2014 年 33 巻 4 号 p. 29-42
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2020/06/23
    ジャーナル フリー

    この研究は,小売企業における商品部門のバイヤーによる仕入活動の業務改善が,情報システムやスタッフ部門による組織的な支援体制のもとで,どのように促進されるのかという課題について,日本の小売企業に対する質問票調査のデータを用いて実証的に明らかにするものである。そして,分析結果から,バイヤーが仕入活動において情報システムを活用する状況では,バイヤーがスタッフ部門による後方支援を得られるほど,業務改善への取り組みが促進されることが示される。

  • 新倉 貴士
    2014 年 33 巻 4 号 p. 43-56
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2020/06/23
    ジャーナル フリー

    本稿では,消費者視点から捉えた業態認識に関する概念モデルを提唱する。消費者情報処理研究に基づき,消費者のもつ認知表象として業態を捉えたうえで,その認知表象を構成するメカニズムとして,既存研究で言及されてきた業態の「原型なるもの」に焦点を当て,業態認識に関する抽象的な概念と具体的な実像という抽象関係の構図に着目する。次に,消費者による業態認識の情報処理をトップダウン型とボトムアップ型に識別したうえで,カテゴリー化研究における典型性に基づくカテゴリー構造に示される典型事例としてのプロトタイプとエグゼンプラーの役割の重要性を踏まえ,新たな概念としてエグゼタイプを導入する。そして,これらの典型事例を基にした業態の認知分布を仮定することにより,業態間の連続性と業態間変動,業態における中心性,そして業態内変動と業態間変動についての説明が可能になるのである。

  • ─ 食品スーパーを対象にしたモデルの検討 ─
    髙橋 広行
    2014 年 33 巻 4 号 p. 57-74
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2020/06/23
    ジャーナル フリー

    近年,わが国の小売業界は非常に厳しい状況にある。この状況において,小売企業は顧客からロイヤルティを得て,継続的に利用してもらうことが重要である。そのひとつの施策がブランドを通じた競争優位性である。本研究では特に競争の激しい食品スーパーのリテール・ブランド・エクイティの構造を明らかにすることを試みたものである。エクイティの形成に影響する要素を整理しつつ,エクイティの構成要素と行動的ロイヤルティの関係をデータ分析を通じて確認した結果,企業活動によるイメージよりも店舗活動によるイメージがエクイティ形成に影響すること,エクイティの構成要素のうち,感情的ロイヤルティと経験価値が行動的ロイヤルティに影響すること,さらに,食品スーパーのタイプ(「大手チェーン」「ローカルチェーン」「個性的なスーパー」)によってその傾向が異なることが明らかになった。

  • ─ 事業定義の論理学的手法 ─
    西村 友幸
    2014 年 33 巻 4 号 p. 75-90
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2020/06/23
    ジャーナル フリー

    事業定義という重要かつ困難な決定を行うためには,近視眼でもなく遠視眼でもない第三の眼が必要である。本稿は,従来の議論のように「事業」という言葉を掘り下げる代わりに,「定義」という言葉を探索する。論理学において,定義とはある概念の本質的属性(内包)を明瞭にする手続である。何種類かの定義の手続の中から,アリストテレスが考案した「類と種差とによる定義」に着目し,これを事業定義の新手法に応用する。新手法は,「類への昇段」と「種差の発見」という2つの主要なステップを持つ。類への昇段とは,定義されるべき事業Xを包摂する上位概念Yを探し当てることである。種差の発見とは,Yに包摂される他のさまざまな概念(事業)との比較において,Xに固有の特徴すなわち種差Zを見つけることである。Xの本質的属性は,以上のステップで得られた洞察を結合して,Z+Yのかたちで明瞭化できる。例証のために,旭山動物園の事例が用いられる。

取材レポート
テーマ書評
  • ─ 他者要因と自己要因の視点から ─
    宮澤 薫
    2014 年 33 巻 4 号 p. 131-142
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2020/06/23
    ジャーナル フリー

    本稿では,消費者に与える他者の影響について,影響を与える他者側,影響を受ける消費者側の自己概念や自己観という異なる二つの方向から,先行研究をもとにそれぞれの影響要因を整理した。他者側の要因としては,他者自身の性質や特徴,他者との関係の距離感,影響を及ぼす条件や状況などによって消費者に異なる影響を与えることが明らかにされている。一方,影響を受ける消費者側は,共同性‐作動性,相互独立的自己観‐相互協調的自己観,個人的アイデンティティ‐社会的アイデンティティといった消費者自身の性格特性や自己観の違いなどによって,同じ条件,状況下で他者から影響を受けた場合でも,その後の態度や行動が異なることが確認されている。影響を受ける消費者側からのアプローチは比較的新しい試みであり,今後依拠する理論の妥当性,適切な尺度の再検討等の課題に取り組むことで,さらなる展開が期待できる領域だと考えられる。

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