マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
34 巻 , 1 号
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巻頭言
論文
  • 廣田 章光, 水越 康介, 西川 英彦
    2014 年 34 巻 1 号 p. 5-20
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル フリー

    ソーシャル・ビジネス分野は,近年,国内外,そして経済,行政両面から領域からその活動は注目を集めている。しかしながらその活動は多岐にわたり,実態の把握はもとより,特にマーケティング分野からの研究は限られている。そこで先行研究の分析と探索的な事例分析を通じて,社会を形成する活動の中でのソーシャル・ビジネスの位置づけを明確にし,マーケティング研究との接点を明らかにした。具体的には,現時点における市場に魅力度と社会に存在する資源活用の程度によって形成される4つの象限において,両者が共に低い象限に,ソーシャル・ビジネスの存在が見出すことができることを提示した。またソーシャル・ビジネス活動と他の活動とは社会全体でみれば相互に関連を有していることが考えられる。そのため,先の2つの次元と共に他の社会活動との関連性についても考察した。その上で,非営利組織のマーケティング研究の知見をもとに,関係性への注目,社会と営利性の相克への注目,顧客概念の再検討の3つの観点がソーシャル・ビジネス領域におけるマーケティング研究として有用であることを確認した。

  • ─ ケアプロ株式会社のケースを通して ─
    福井 誠
    2014 年 34 巻 1 号 p. 21-34
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル フリー

    ソーシャルビジネスの代表事例とされるケアプロ株式会社について,事業を必要とする社会的背景と起業に至るまでの経緯,起業から現在に至るまでの事業の変遷と現状での将来ビジョン,さらにはこれまでの事業を振り返る中での事業特性の抽出,などについて,創業者である川添高志の発言にできるだけ忠実に記述することでケースとしてまとめた。このケースを検討した結果,ケアプロの事業形態は経済産業省の定義するソーシャルビジネスの定義を忠実に満たしているものの,その事業は川添本人の個人的経験を色濃く反映したものであるがゆえに独自の発展経過をたどっていることが明らかとなった。このことから,個人的経験の優位というソーシャルビジネス一般に敷衍できるこの特性が,ソーシャルビジネスの多様な展開の源泉になる可能性が示唆された。

  • 芳賀 康浩, 井上 一郎
    2014 年 34 巻 1 号 p. 35-53
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル フリー

    本論文では社会的課題とマーケティング成果を結びつける戦略的ソーシャル・マーケティングを,企業が行うソーシャル・ビジネスの一形態と位置づけ,その中でも近年マーケティング・コミュニケーションの実務において注目を集めているSocial Goodをテーマとするキャンペーンの成果に影響を及ぼす要因について検討する。具体的には,Social Goodキャンペーンにポジティブに反応する動因を社会的交換概念に基づいて識別し,その動因を促す条件に関する仮説を設定し,2つの調査によって検証する。調査とその結果の分析・考察において,消費者の原因帰属,被視感(人に見られているという知覚),公的・私的自意識といった要因のキャンペーンの反応への影響を検討する。

  • ─ ソーシャルビジネスにおける測定対応アプローチの有効性に関する探索的研究 ─
    本條 晴一郎
    2014 年 34 巻 1 号 p. 54-72
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル フリー

    ソーシャルビジネスへマーケティングを適用する可能性を探るため,災害時のニーズ発見,および,発見したニーズへの対応がいかに可能かについて,東日本大震災発災直後の企業による情報支援を事例として探索的研究を行った。災害を状況変化が激しい場合の典型例と見なした上で,未来の予測が困難な状況で有効とされる測定対応アプローチがどのように機能し,どのような条件で有効に働くかを調べた。その結果,(1)潜在的なニーズではなく顕在化しているニーズを知ることに重要性があること,(2)利用者の行動を効率化する支援が効果を発揮すること,(3)測定対応アプローチを成功させるための個としてのスキルはリーダーシップに対応することが見出された。

  • ─ 既存顧客の維持介入と新規顧客の獲得 ─
    阿部 誠
    2014 年 34 巻 1 号 p. 73-90
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル フリー

    CRMの現場でRFM分析が広く使われていることは,これら3指標が顧客の購買行動を簡潔に集約していることを裏付けている。本論文では,まず,既存のRFM分析の問題点を指摘する。次に,消費者行動に関する基本的な仮説に基づいて,RFM指標から顧客ごとに購買頻度,離脱率,購買金額を導き出し,その顧客の未来の行動を予測することによって顧客生涯価値(CLV)を算出する。そして構築されたモデルから,既存顧客の維持介入と新規顧客の獲得に関する知見を得る。
    実証分析では,百貨店の顧客購買データを分析して,購買行動を特徴付ける9つの統計量(生涯価値に加えて,購買頻度,離脱率,購買金額,最終購買以降の期待生存時間,1年後の維持率,観測終了時点での生存確率,検証期間中の期待購買回数と総購買金額)を顧客別に算出する。これらの統計量は,優良顧客の識別や個別対応など個人レベルのCRM戦略に特に有用である。また,既存顧客に対して,誰に,どのくらいの介入レベルを,いつアプローチすれば,マーケティングROIの観点から最も効果的か,という維持介入例も示す。RFM指標の存在しない見込客に関しては,購買頻度,離脱率,購買金額の3行動要因を既存顧客のデモグラフィク変数と関連付けることで,デモグラフィック特性のみに基づいたCLVの高い新規顧客獲得戦略など経営上の示唆を得る。

  • ─ アラブ諸国のマーケティング活動の多様性と価値観 ─
    ファルハ アッラーム・アブ, 南 知惠子
    2014 年 34 巻 1 号 p. 91-108
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル フリー

    意思決定者の外部環境に対する認識が,企業戦略において重要な役割を果たすことが主張されてきたが,本稿は,とりわけマーケティング活動の選択において,マネジャーの外部環境に対する知覚がどのように影響を与えるかに焦点を当てる。マーケティング・マネジャーの知覚を,Shrivastava & Mitroffの準拠枠に従い,起業家的,官僚的,専門家的,政治的準拠枠を持つものとして類型化し,マーケティング活動においては,取引型マーケティング,データベース・マーケティング,インタラクティブ・マーケティング,ネットワーク・マーケティングの4つに類型化する。アラブ圏のパレスチナ,UAE,エジプトの3国において,マネジャー層を調査対象としてデータ収集を行い,準拠枠とマーケティング活動とのパターン・マッチングについて構造方程式モデリングを用いて確認した。本研究の成果は,マネジャーの知覚と選択する活動との一貫性を識別した点にあり,調査対象となった経済・文化圏では,マーケティング活動の多様性は,外部環境に対するコンティンジェントな要因というよりはむしろ,マネジャーの様々な知覚に起因することを示すものである。

  • ─ プレイス論とブランド論の融合を目指して ─
    若林 宏保
    2014 年 34 巻 1 号 p. 109-126
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル フリー

    地域ブランドへの関心が高まる中,地域ブランドアイデンティティ策定の方法論や体系化の必要性が問われている。そこで当論文においては,日本における地域ブランド研究と実務の実態を検証し,現状起きている問題点を抽出した上で,欧米におけるプレイス・ブランディング研究,さらには人文地理学におけるプレイス論研究を積極的に取り入れることで,地域ブランドアイデンティティ策定に有効な示唆を与える「地域ブランドアイデンティティ生成モデル」を開発した。その結果,策定時において鍵となることは,地域資産の単なる選択ではなく創造的な意味づけや,多様な意味を結び付けていく物語編集力であり,今後の地域ブランドアイデンティティ策定の在り方を問う内容になっている。

取材レポート
テーマ書評
  • 臼井 浩子
    2014 年 34 巻 1 号 p. 158-169
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2020/06/16
    ジャーナル フリー

    デジタル革命とソーシャルメディアの隆盛によって,消費者自身が消費経験に関する情報(クチコミ)を自発的に広める担い手となってきた。そのため,クチコミに対する関心が近年,高まってきており,クチコミをマーケティング活動に効果的に取り入れる手法が模索されている。しかし,このような試みを成功させるためには,まず,「人はなぜクチコミを行うのか」というクチコミ発生の要因を明確に捉える必要がある。本稿はこうした問題意識を受け,クチコミを促進する要因に着目した先行研究を,1)クチコミ動機の包括的研究(対面のクチコミ,オンライン上のクチコミ)2)クチコミを促進する個別要因の研究,の2つの視点から紹介すると同時に,今後の研究課題を提示する。

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