マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
34 巻 , 4 号
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巻頭言
論文
  • ─ 成熟社会に生きる若者と格差 ─
    太田 恵理子
    2015 年 34 巻 4 号 p. 5-22
    発行日: 2015/03/31
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

    本稿では,現代の「若者のライフスタイル」について考察を行う。昨今,「車離れ」,「ビール離れ」など,「若者の○○離れ」という言葉であらわされるような消費行動が顕著になってきた。中には「恋愛離れ」のように,人とのつながりを避けるように見える動きもある。本稿ではまずこうした若者に特徴的なライフスタイルを,日本社会の変化という観点から分析する。次に,正規雇用/非正規雇用という雇用形態に着目し,若者の中に現れた新しい格差について,キリン食生活文化研究所の調査データを交えながら考察する。

  • ─ 多様化する女性消費へのアプローチ ─
    片岡 敏彦
    2015 年 34 巻 4 号 p. 23-39
    発行日: 2015/03/31
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

    ソーシャルメディアを活用した最新のマーケティング手法としてMROC(Marketing Research Online Communities)がある。MROCでは,ネット上に生活者を集めたコミュニティを形成し,調査テーマを,各種手法を組み合わせて提示する。そこで得られた発言から,消費行動の背景にある生活者の深層心理に迫り,新たなインサイト(気づき)や発想を得て,新商品・サービス開発,マーケティングに活用していく。三菱総合研究所で実施している「女性ライフコース・マーケティング研究会」では,このMROCを用いて,多様化する女性消費の分析を行っている。
    本稿では,MROCの特長である「生活に根差した本音の情報や実態から新たなインサイトを把握できる」点,「参加者の多面的な生活情報に基づきペルソナを生成できる」点にフォーカスして,研究会の成果について紹介し,MROCの有効性を論じたい。

  • ─ その構造変化と多様性の源泉を読み解く ─
    青木 幸弘
    2015 年 34 巻 4 号 p. 40-68
    発行日: 2015/03/31
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

    2012年から団塊世代が65歳を超えて前期高齢者となり始めたことで,高齢者市場への関心が再び高まってきているという。しかし,従来の高齢者市場に関する議論は,団塊世代を中心とした特性記述や断片的な事例列挙が多く,必ずしも関連分野における多大な知見を十分に活用したものではなかった。例えば,高齢者市場は異質なセグメントの集合体であるとし,その多様性を指摘する議論は多いが,多様性を分析する視点や枠組が提示されることは少なかった。いま必要なのは,単に高齢者市場の多様性を指摘するだけではなく,その多様性を生み出すメカニズムについての理解,あるいは,分析の視点や枠組の提示であろう。このような問題意識から,本稿では,高齢者市場における構造変化や多様性の源泉を読み解く上での基本的な視点について検討していく。具体的には,ジェロントロジーなどの中核概念でもある「エイジング」(aging)に着目し,それを個人・世代・社会という3つの水準で捉えることによって,高齢者市場における多様性の諸相とそれを生み出すメカニズムを明らかにしていく。

  • ─ 「女子」という流行語を事例として ─
    松井 剛
    2015 年 34 巻 4 号 p. 69-85
    発行日: 2015/03/31
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

    本論文の目的は,ある人物像に対して社会的に共有されたイメージ,すなわち社会タイプ(social type)がどのようなものかを明らかにすることにある。具体的には,「大人女子」とか「アラフォー女子」という表現で最近多用されることが多い「女子」という表現が,どのような人物像を想起させるのか,という問題に着目する。吉田秀雄記念事業財団が実施したオムニバス消費者調査から明らかになった知見は主に2つある。ひとつは,年齢や男女を問わず,「女子力」ということばが肯定的なイメージを持つ,ということである。これは,「女子力」ということばが「アップ」(もしくは「up」)という表現と強く結びついているという「女子力」に関する雑誌記事タイトルのテキストマイニングを行った既存研究の結果と整合的である。もうひとつは,回答者の年齢が上がるにつれて,イメージされる「女子」の年齢もまた上がり,かつ,そもそも年齢に依存しないと考える者が多くなるということである。自身の年齢に応じて,ある人物像についての年齢のイメージが変わることは,知覚年齢(perceived age)に関する既存研究には見いだせない新しい知見である。

  • 水越 康介, コールバッハ フローリアン
    2015 年 34 巻 4 号 p. 86-101
    発行日: 2015/03/31
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

    本稿では,イクメンという言葉と意味が普及し消費される過程と,その言説に向き合う現在の父親のアイデンティティ構築について考察する。これまでの研究では,具体的な消費行動とアイデンティティ構築の関係に焦点が当てられることが多く,特定の父親像を担う言説とアイデンティティ構築の関係についてはあまり考察されてこなかった。そこで本稿では,マクロな視点から,主に新聞記事にもとづきながら家族サービスとの対比によってイクメンという言葉と意味の普及を明らかにするとともに,ミクロな視点から,これから親になる夫婦へのヒアリングにもとづきながらイクメンという言葉が2つの意味で捉えられ,父親のアイデンティティ構築に関わっている可能性を示す。

  • ─ セブンプレミアムとトップバリュに関する検討を中心として ─
    綿貫 真也, 川村 晃司
    2015 年 34 巻 4 号 p. 102-123
    発行日: 2015/03/31
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

    最近の量販店グループにおけるPB(プライベートブランド)は単なるナショナルブランド(以下,NBとして略)の低価格代替品ではなく,品質・付加価値の向上も著しく,NBと肩を並べるものもあらわれてきた。流通・小売企業の経営の側面から見ると,高い粗利,企業としての差別化を可能とする自社開発製品を提供できるため,PBの存在は無視できない。しかしながら,PBに関するブランドエクイティの議論が十分とは言い難い。果たしてPBはブランドであるのか,コモデティとして価格機能を提供する事でドメインを形成する事が可能なのか,という議論も残されていそうである。本研究では,セブンプレミアムとトップバリュという我が国の主要小売りグループにおけるPBを取り上げ,PBのブランドエクイティ構造を明らかにし,PBの“ブランド性”について検討・評価を行った。その結果,①限定的ではあるが,PBは価格選好ではなく,情緒的な選好要因による“ブランド”と言える可能性があることが明らかになった。さらに,②購買意思決定過程の検討においても,PBは明確にブランド連想が寄与する中心ルートによる購買意思決定が行われていることが分かった。最後に,③セブンプレミアムとトップバリュのブランドエクイティ,即ち提供価値における相違についての検討を行った。両PBのブランドエクイティ構造は同質であるものの,セブンプレミアムはトップバリュに比して情緒的価値が高く,機能的価値や購買意思決定に与える影響も強いことが示唆されている事が導き出された。

  • 飯野 純彦
    2015 年 34 巻 4 号 p. 124-140
    発行日: 2015/03/31
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

    陳列された商品が多すぎるために,消費者が購買を延期したり,妥協選択を行うという傾向が見られる昨今,本稿では制御焦点理論を用いて,新たな妥協効果の軽減要因を提案する。近年,妥協効果の軽減要因として,タイムプレッシャーや決定延期オプションの存在などが見出されているが,今回,歯磨き粉と洗濯用粉末洗剤を対象に調査した結果,促進焦点に動機づけられた消費者には促進型カテゴリカル属性をシグナルし,予防焦点に動機づけられた消費者には予防型カテゴリカル属性をシグナルすることで,妥協効果が軽減されることが明らかとなった。

取材レポート
テーマ書評
  • ─ 移入の構成要素としての注意,想像,共感に着目して ─
    福田 怜生
    2015 年 34 巻 4 号 p. 173-184
    発行日: 2015/03/31
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

    移入とは,消費者が広告や小説に没頭した状態を指す。本稿では,まず広告への移入が説得効果に及ぼす影響を検討するため,移入が生じる条件や,移入が影響を及ぼすメカニズムに着目した研究を考察した。その結果,移入が(1)物語形式の広告だけでなく,様々な形式の広告において生じること,(2)広告評価などの態度や,行動意図にポジティブな影響を及ぼし,説得効果を高めること,(3)広告の説得効果にポジティブな影響を及ぼすメカニズムとして,批判的思考の抑制とポジティブ感情の生起があることが示された。次に,移入した消費者の広告処理過程を明らかにするため,移入の構成要素としての注意,想像,共感を個別に検討した研究を考察した。その結果,(1)注意が批判的思考の抑制に関係すること,(2)想像が広告評価及び行動意図に関係すること,(3)共感がポジティブ感情の生起に関係することが示された。これら考察によって,注意,想像,共感に関する知見を,一連の移入研究に結びつけることが可能になると考えられる。

  • 永井 竜之介
    2015 年 34 巻 4 号 p. 185-195
    発行日: 2015/03/31
    公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

    本稿では,消費者の混乱に関する概念を包括的に整理し,研究と実務における乖離を指摘したうえで,複雑化する消費者の混乱状態へアプローチするための研究課題を導出している。混乱研究を「情報の量による混乱」と「情報の性質による混乱」に分類して整理し,研究課題として(1)混乱の前提条件化,(2)メカニズム解明,(3)混乱の細分化と組み合わせ,(4)曖昧性による混乱への焦点,の4点を提示している。

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