マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
35 巻 , 1 号
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巻頭言
論文
  • 関根 孝
    2015 年 35 巻 1 号 p. 4-18
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2020/05/19
    ジャーナル フリー

    韓国の家電量販店は,次のような事情から発展が制約されている。第1は,韓国における特殊な産業構造,すなわち殆どの主要産業が2~3社から構成されている。家電業界の生産段階も典型的な複占構造で,競争的な市場が形成されていない。第2は,メーカーの強力なマーケティング・チャネル戦略である。韓国の大手家電メーカーは,早い時期から日本と同じように生産者主導型のチャネルを形成してきており,現在では大型直営店が加わり,およそ過半のシェアを占めている。第3は,チェーンストア経営が二重の意味で遅れている。ひとつは,チェーン店全体の売上があまり大きくなく規模の利益を獲得できない。もうひとつは,チェーンストとしての組織能力に問題がある。第4は,独禁法の運用が不十分なことである。韓国の独禁政策は経済政策の色彩が強い。第5は,商業の社会的地位が低く,流通の機能が正当に評価されず,商いに情熱とプライドをもつ人材が集まりにくい。

  • 戸田 裕美子
    2015 年 35 巻 1 号 p. 19-33
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2020/05/19
    ジャーナル フリー

    本研究は流通革命論をめぐる議論を再整理し,「細くて長い流通から太くて短い流通へ」という単純化された一般的な解釈を超えて,流通革命論をめぐる議論を再整理し,各論者がどのように流通革命を捉えていたかを明らかにする学説研究である。また,本論は各論者の主張を時系列に並べる編年史的な学説研究ではなく,流通革命論をめぐる諸説の中で語られたいくつかの問題を明らかにし,それらの問題の論理的なつながりを整理する問題史的な学説研究である。一連の分析を通じて諸研究の連関を再構成し,流通革命論の知的広がりを解明して,結論部分では,流通革命論の中で展開された諸問題と今日的な流通課題との関連を明らかにする。流通革命という一見過去の問題と思われる論題を今日的な視点から分析することを通じ,新たな分析視角を得ることを企図している。

  • ─ 衣料品専門店チェーンのイノベーションと商品調達ネットワークを中心に ─
    東 伸一
    2015 年 35 巻 1 号 p. 34-49
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2020/05/19
    ジャーナル フリー

    本稿では,小売商業形態論における主要な研究の潮流を概観し,その重心が制度的な視点から小売経営論のそれへと長期的にシフトしている点を,現実に生起する流通現象の焦点と関連付けながら指摘することを試みた。これを受けて,わが国における「業態」概念の曖昧性,二面性とその背景にある日本型チェーンストアの一般型についての検討をおこなった。
    これらを踏まえ,本研究の主題となる衣料品を品揃えする小売形態についての議論を展開し,一般に「SPA」という呼称のもと「業態」として認識される衣料品専門店チェーン群の生成過程を明らかにした。これらと類する性格をもつわが国の専門店チェーンの一部では事業規模の拡大が推進されて久しいが,そのチェーンストア・オペレーションの態様は,店頭での多品種・小ロットをベースとする非計画的で柔軟な品揃えを重視するものであり,それは商品調達や物流分野の統合度を低下させる性質をもつ。これは日本型チェーンストアの一般型と相通じる性格である。
    これに対して,本稿での事例分析の対象としたユニクロは,日本型チェーンストアの一般的特徴である店頭(小売店舗形態)の柔軟性を維持しつつ,極めて高い水準で小売フォーマットのフロントエンドとバックヤードの連携をおこなっているが,その背景では商品調達をめぐる組織間関係のネットワーク,そしてそれらを管理・調整するための活動が作用していることが明らかになった。この点において同社のチェーンストア・オペレーションにはもうひとつの日本的側面が埋め込まれていることが示唆される。

  • ─ 単品通販に注目して ─
    三村 優美子, 朴 正洙
    2015 年 35 巻 1 号 p. 50-65
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2020/05/19
    ジャーナル フリー

    知識や経験蓄積による消費者意識の変化とネットの普及を背景に無店舗販売が成長している。特に,ネット販売の伸長は従来型の店舗小売業にとって脅威となっており,ネットと店舗との融合あるいは専門性や人的な顧客対応力の強化など店舗小売業のあり方を再構築する流れが加速している。通信販売においても,ネット販売は従来のカタログ通販企業の基盤を崩しており,その構造変化とタイプ分化を誘発している。その中で注目されるのは,健康食品,サプリメント,化粧品などの分野で台頭している単品通販と呼ばれる存在である。ここでは,漢方薬,ハーブ,酒麹,蜂蜜,野菜・果実などの自然素材を使った製品の専門メーカーが事業を展開していたが,近年,食品・飲料,トイレタリーなどの有力消費財メーカーが新事業分野として積極的に参入している。
    当研究では,通信販売のタイプ分化とそこにおける単品通販の位置づけ,また,消費財メーカーの観点からなぜ既存店舗チャネルではなく通信販売が新しい販売チャネルとして選択されるのか,そしてこのような単品通販を成功させる要件は何かについて,事例研究を踏まえながら明らかにしていく。

  • ─ 消費者へのアンケート調査をふまえたマーケティング戦略の検討 ─
    髙橋 広行
    2015 年 35 巻 1 号 p. 66-87
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2020/05/19
    ジャーナル フリー

    本研究は,神戸産農水産物の6次産業化を通じた地域ブランド化について検討するものである。具体的には,これまでの研究で明らかになった点を整理した後,神戸産農水産物の評価とその魅力を高める施策案を確認するための消費者アンケート調査を実施した。その結果をふまえ,消費者の居住エリア別に農水産物の6次産業化を通じた地域ブランド化のためのマーケティング戦略を検討した。良質な消費者が多く存在する神戸市内の居住者には,神戸の農水産物の強みである「豊富な品揃え」を活かしながら,神戸産の野菜を「気軽に楽しみながら買える場づくり」を,兵庫県外の居住者には神戸らしさである「異国情緒のイメージ」を利用しながら,「レストラン等で有名なシェフ・パティシエが神戸産の料理を提供し,神戸に来てもらう機会を高める」ことで他地域からの人の流れを作り出す。その他,兵庫県内・兵庫県外に向けた神戸産(地産地消)の「学校給食」の普及と啓蒙活動を通じた認知度の向上などを具体的な施策案とした。

  • ─ 「初音ミク」コミュニティにみる価値共創 ─
    片野 浩一, 石田 実
    2015 年 35 巻 1 号 p. 88-107
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2020/05/19
    ジャーナル フリー

    本研究では,ボーカロイド(歌声合成ソフトウェア)製品のユーザーが,音楽や作詞,イラスト等の作品を創作して投稿する連鎖について調べ,ユーザー・コミュニティの構造について考察する。「初音ミク」製品を使用してユーザーが作品を動画共有サイトや創作投稿サイトに発表し,その楽曲やイラストが人気となり,社会現象となっている。このユーザー主導で創発された作品の中からビジネスに展開されるコンテンツが増え,企業にとっても大きなビジネス機会として注目される。この現象には,売り手である企業と買い手であるユーザーとの間に高度な価値共創が見られる。本研究では,その価値共創からコンテンツが生み出される苗床ともいえるユーザー・コミュニティに着目し,作品創作の連鎖について社会ネットワーク分析を行う。そこから,創作連鎖の実際の形状が可視的に解明されるとともに,イノベーション・ユーザーの行動について探索的な発見を試みた。結論として,趣味コミュニティにおける現代のユーザーの社会参加の在り方が示唆されると同時に,企業がイノベーション成果を活用する先端的な取組みも見出した。

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