マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
35 巻 , 2 号
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巻頭言
論文
  • ─ 呼称・行為・脅威・カテゴリー ─
    松井 剛
    2015 年 35 巻 2 号 p. 5-19
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2020/05/12
    ジャーナル フリー

    本論文では,ことばを通じた市場創造という現象について深く検討するために,筆者が行った調査結果に基づき,博報堂ケトルの嶋浩一郎氏が提案する「社会記号」について検討する。「社会記号」とは,「ロハス」や「コギャル」といった「世の中の新しい動きや事象を言い表すためにメディアがつくる言葉」のことである。この社会記号には,呼称,行為,脅威,カテゴリーの4つの類型があり,また自己確認,同化,寛容,拒絶,規範,課題の6つの機能があることが示される。それぞれの類型について詳細な検討を加えて,動機の語彙・ラベリングという2つの観点から,その役割について検討する。

  • ─ 「◯◯女子」「××男子」のラベリングは消費行動を変えるのか ─
    金子 充, 臼井 浩子, 宇田 詩織, 大池 寿人, 落合 彩映, 神﨑 啓慎, 検見﨑 誠矢, 山田 南帆, 守口 剛
    2015 年 35 巻 2 号 p. 20-37
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2020/05/12
    ジャーナル フリー

    近年,「○○女子」,「××男子」というラベリングを用いて,特定の趣味や嗜好を有する消費者を呼称することが多く見られるようになった。本稿では,これらのラベリングにより,消費者の消費障壁が低くなるのか,また,消費意向が高くなるのかを検証した。調査の結果,「◯◯女子」,「××男子」というラベリングにより,おおむね消費障壁が下がることが明らかになった。ただし,消費対象となる製品や消費行為の性別イメージが弱い時には,その効果は小さく,また,反対に消費障壁を高めてしまう可能性がある。また,他の消費者と一緒に消費する時や消費頻度が高い時に,ラベリングの効果が大きい傾向が見られた。本稿の結果から,「◯◯女子」,「××男子」というラベリングの効果は一様ではなく,マーケティング・コミュニケーションのターゲティングをより精緻に考える必要があることが示唆される。

  • 鶴見 裕之, 増田 純也, 中山 厚穂
    2015 年 35 巻 2 号 p. 38-54
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2020/05/12
    ジャーナル フリー

    本稿では,テレビ広告がTwitter上の書き込みを経由して商品の販売実績に与える間接効果の一般化を試みた。分析のベースとなる鶴見ら(2013)ではパス解析を用いて商品A(ビール系飲料)の販売実績,テレビ広告出稿量,ツイート数を分析し,テレビ広告がTwitter上の書き込みを経由して商品の販売実績に与える間接効果を確認している。この間接効果が一般性を持つとすれば,マーケター,リサーチャーはSNS上のテキスト・データ活用の重要性を今まで以上に強く認識すべきであると言えよう。実証分析では商品Aに加えて,商品B(紅茶ドリンク),商品C(緑茶ドリンク),商品D(ノンアルコール飲料)のデータに多母集団同時分析を適用し,間接効果の一般性を支持する分析結果を得た。また最後に,一連の分析を通じて見出すに至った,SNS上のテキスト・データ活用の限界とリスクについても考察した。

  • 守口 剛
    2015 年 35 巻 2 号 p. 55-70
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2020/05/12
    ジャーナル フリー

    本研究では,ブランド連想の中でもこれまでほとんど議論されてこなかった,特定のキーワードを起点とし複数のブランドを終点とする,キーワードからの発散連想に焦点を当てその特徴を検討した。具体的には,大規模な消費者調査によって,多くの消費者が良いイメージを有している,「安心・安全」「エコ」「信頼」などのキーワードを抽出し,それらの言葉からどのようなブランド名が想起されるのかを捕捉することによって,ブランドの「言葉のシェア」を算出した。
    この結果,トヨタ,パナソニック,花王などの大手消費財メーカーの企業ブランドが,さまざまなキーワードを通じて高いシェアを有していること,バファリンや今治タオルのように特定の言葉において高いシェアを持っているブランドが存在することなどが明らかになった。良いイメージを有する言葉は,ブランドにとっての希少資源だと考えることができる。本研究で提示した,特定のキーワードからの発散連想を捕捉する方法は,希少資源であるポジティブワードをめぐるブランド間の競争の現状を把握するための,有効な手段になると考えられる。

  • 周 珈愉, 井上 哲浩
    2015 年 35 巻 2 号 p. 72-88
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2020/05/12
    ジャーナル フリー

    本論では,媒体の垣根を越えて活用されているクリエイティブ技術の一つであるARを用いたマーケティング・コミュニケーションが態度ならびに意図の形成に与える効果を論じる。視覚,触覚,嗅覚,聴覚,味覚などを現実世界と拡張融合することができるAR技術の可能性は,市場規模からも相当であるにも関わらず,ARに関するマーケティング分野での過去の研究は少ない。本論では,実際にTVメディアで用いられたTVCMにAR技術を仮想し,視聴者本人を拡張融合したTVCMを用いた環境,App環境,そしてHP環境を構築し,一般線形モデルならびに多母集団構造方程式モデリングを用いて態度ならびに意図形成構造の異質性を明らかにした。その結果,HP,App,ARという3つのプラットフォーム環境での態度形成構造が異質であることが確認され,ARを用いたマーケティング・コミュニケーションの場合は快楽主義が,Appを活用したコミュニケーションの場合は実用主義が,HPを活用したコミュニケーションの場合は関与が重要となることが確認された。

取材レポート
テーマ書評
  • ─ 自己とブランドの結びつきへの影響を中心に ─
    芳賀 英明
    2015 年 35 巻 2 号 p. 106-118
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2020/05/12
    ジャーナル フリー

    本稿では,準拠集団が消費者行動に及ぼす影響について,従来取り組まれてきた「製品・ブランドの購買行動への影響」と,その後関心を持たれている「自己とブランドの結びつきへの影響」「消費者のその他の行動への影響」に分けて整理を行った。従来の研究では,消費者が準拠集団の影響を受ける度合いは,購入する商品の特性や製品の使用される場面によって異なることが明らかにされてきた。その後,準拠集団は注目の高まりを見せているブランド・リレーションシップ研究の中で,自己とブランドの結びつきに影響を与える要因の1つとして再び脚光を浴びるようになった。この潮流の研究では,所属集団/内集団や熱望集団が自己とブランドの結びつきを強める一方,外集団や分離集団が自己とブランドの結びつきを弱めることが明らかにされている。こうした研究成果を受け,近年では準拠集団が製品選択,製品評価,あるいは消費量などに影響を与えることが示されている。「自己とブランドの結びつきへの影響」を中心とした研究は比較的新しいものであり,今後は準拠集団のうち特定の集団に焦点を当てることや,ブランドの持つ特徴の違いに着目することによって更なる展開が期待される。

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