マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
36 巻 , 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
巻頭言
論文
  • 阿久津 聡, 勝村 史昭
    2016 年 36 巻 1 号 p. 5-26
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー

    本稿は,これまで企業と顧客との関係性の問題として議論されることが多かったブランディング活動について,組織力強化プロセスという観点から考察するものである。ブランディング活動は組織力の強化に寄与し,それによってブランド価値が高まるという分析的枠組みを提示し,それを基に複数企業のブランディング活動の内容とその効果を定性及び定量的に検討した。具体的には,当該企業の事例を基に,組織風土や社員の思考・行動様式に対してブランディング活動が及ぼす効果について定性的に分析した上で,日本市場における主要ブランドの価値を測定しているブランド・ジャパンの定量データを用いて対象企業のブランド力の推移からブランディング活動の効果を分析した。

  • ─ トランジションを乗り越えるブランドは何が異なるのか? ─
    菅野 佐織
    2016 年 36 巻 1 号 p. 27-41
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー

    本論文では,消費者のブランド・スイッチの要因の1つであるトランジション(転機)に着目し,トランジションが消費者とブランドとの関係性に与える影響について考察を行う。通常,トランジションでは,大なり小なりのストレス(心理的不安や脅威)が生じることが指摘されている。従来,このようなネガティブな感情は,消費者のブランド評価を下げることが指摘されているが,近年,不安や脅威の感情は,ブランドへの愛着を高めるという指摘もされている。本論文の目的は,ストレスフルなトランジションにおいて,どのような場合にブランドの関係性が維持または強化され,どのような場合に低下するのかについて,定性調査によって明らかにすることである。結果,ストレスフルなトランジションにおいて,消費者がブランドに対してBBSBC(企業によって創出されたブランドの意味と自己との結びつき)およびCBSBC(消費者自身によって創出されたブランドの意味と自己との結びつき)の両方を知覚している場合,ブランドとの関係性は維持されることが分かった。

  • ─ ラグジュアリーブランドとノンラグジュアリーブランドの比較 ─
    杉谷 陽子
    2016 年 36 巻 1 号 p. 42-56
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー

    ブランドに対する強い好意的態度は,どのような理由に基づいて形成されているだろうか?本研究は,好意的ブランド態度の中でも,とりわけ長期的にファンであり続けてくれるような特に強い好意的態度に注目し,その構成要素を明らかにした。これまでの研究では,ブランド態度の構成要素は「認知」と「感情」の2次元から捉えられてきたが,本研究はこれに加えて,評価の源泉に注目した新しい枠組みを提唱した。すなわち,自らの経験や主観に基づく評価(自己ベース評価)と周囲の評判に基づく評価(他者ベース評価)という分類の枠組みである。消費者のブランド態度を調査した結果,本研究が想定した通り「自己ベース感情」「自己ベース認知」「他者ベース感情」「他者ベース認知」の4つの因子の存在が確認された。また,この4つの中で「自己ベース感情」のみが強く好意的なブランド態度を導くことが明らかになった。この結果はラグジュアリーブランドでもノンラグジュアリーブランドでも共通してみられた。考察では,自己ベース感情の重要性について,学術的および実務的視点から論じられた。

  • ─ 日本的ブランド経験尺度開発に向けて ─
    田中 洋, 三浦 ふみ
    2016 年 36 巻 1 号 p. 57-71
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー

    「顧客経験」という概念がマーケティング実務に導入されるようになり,さらに近年では「ブランド経験」がアカデミアで研究対象として取り上げられるようになった。本論文では,まず顧客経験がどのような概念的拡がりをもっているかを明らかにし,次にブランド経験がどのように研究されてきたかを概括し,マーケティング論における,ブランド経験の意義を明らかにする。さらに,日本市場における有効なブランド経験測定尺度開発のための予備調査の結果を報告する。予備的考察の結果によれば,現在提案されているBrakus尺度にはいくつか不十分な点があり,「消費者アイデンティティ」を新たな次元として含めるべきであることがわかった。最後に今後のブランド経験尺度開発の方向性を示唆する。

  • ─ 日本における共同ブランド戦略の構築に向けて ─
    鈴木 智子, 阿久津 聡
    2016 年 36 巻 1 号 p. 72-87
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー

    本論文では,日本でもポピュラーになりつつある共同ブランド戦略について,米国を中心として発展してきた先行研究をレビューしてこれまでの知見を整理した上で,日本における共同ブランド戦略について考察する。先行研究からは,共同ブランドは,親ブランドの高い一致あるいは適度に不一致のものが高く評価されることが明らかになっている。このことは日本人においても同様だが,日本人の場合は,さらに,親ブランドの一致が低い共同ブランドも高く評価される可能性があることが指摘される。また,米国では,適度に不一致な共同ブランドが高く評価されるためには,コミュニケーションによる説明の必要性が挙げられているが,日本では,そうした説明がなくても高く評価される可能性がある。本論文では,文化心理学の知見を援用しつつ,日本と米国ではこうした差がなぜ見られるのかについて説明を試みる。最後に,日本における共同ブランド戦略の実施に向けた提案と今後の研究課題についても述べる。

取材レポート
テーマ書評
  • 兼子 良久
    2016 年 36 巻 1 号 p. 140-149
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2020/04/14
    ジャーナル フリー

    自店舗よりも競合店の方が同じ商品を安値で提供していた場合,それに応じて返金する(もしくは値引きする)サービスは,最低価格保証と呼ばれる。最低価格保証は,経済学分野において企業が最低価格保証を実施する意味について戦略的側面から検討され,その後,マーケティング分野において最低価格保証に対する消費者反応という側面から検討されるようになった。最低価格保証は一時的なプロモーションとして行われるものではなく,中・長期的に適用されるものなので,企業はその効果をよく理解しておく必要がある。本稿ではマーケティング分野における既存研究を中心に知見を整理するとともに,今後の研究の方向性を提示する。

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