マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
37 巻 , 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
巻頭言・挨拶
論文
  • ─ 情報通信技術による価値創造へのアプローチ ─
    上原 渉
    2017 年 37 巻 1 号 p. 5-21
    発行日: 2017/06/30
    公開日: 2020/03/10
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,消費者の価値創造プロセスにおけるコンテクストの役割に注目し,そのコンテクストの中で生み出される価値(文脈価値)を最大化しようとする,ポリモルフィック(Polymorphic,多型化・多型構造)・マーケケティングを提示することである。情報通信技術の発展と普及にともない,人と製品が常時ネットワークに繋がり,個々の製品やサービス利用時点における情報収集と分散型の情報処理とが可能になると考えられる。消費ごとに変化するコンテクストを多型なネットワークとして考えることで,サービス・ドミナント・ロジックが提示した消費価値や価値創造をマネジメントするマーケティング活動が可能となることを指摘する。

  • 酒井 崇匡
    2017 年 37 巻 1 号 p. 22-41
    発行日: 2017/06/30
    公開日: 2020/03/10
    ジャーナル フリー

    近年,急速な技術革新や超高齢化などの人口動態的課題の顕在化に伴い,日本の未来予測に注目が集まっている。一方,そのようなマクロ環境の変化の下で,生活者の価値観は今後,どのように変化し,それが具体的にどのようなライフスタイルや街の風景を生むのだろうか。
    本研究では,特にBtoCビジネスを展開する企業の中長期的なマーケティング戦略立案への活用を目的として,2025年から2030年前後の生活者の価値観変化およびそれに基づく街のシナリオと具体的な生活風景の導出を行った。
    シナリオ・プランニングの手法に基づきつつ,未来の分岐軸として生活者の価値観変化を設定する試みを行い,あける(≒解放する),しめる(≒集約する)という相反する方向を持った,街の中の「生活空間」と「人間空間」という2つの軸を導出した。また,それらを掛け合わせた未来の街のシナリオとして,「鍵のないまち」,「住所のないまち」,「壁のないまち」,「窓のないまち」の4つの街の姿と,そこに生まれる100の具体的なライフスタイル・風景を導出した。

  • 鷲田 祐一, 七丈 直弘
    2017 年 37 巻 1 号 p. 42-59
    発行日: 2017/06/30
    公開日: 2020/03/10
    ジャーナル フリー

    本論ではホライゾン・スキャニング法を援用した未来洞察ワークショップを用いて,AIやIoTの普及に関して,2025年ごろに発生が懸念される想定外事象に関する仮説を検証した。その結果,AIやIoTの普及に関しても,2025年から2030年ごろに,現段階の国を挙げての開発ビジョンでは想定されていない「モザイク型」普及,すなわち技術導入の進捗度が相分離する状況が想定されると結論された。AIやIoTの開発に実際に携わる特に技術系の研究者はこのような「モザイク型」普及に対する「備え」を持つことが重要である。AIやIoTは人を排除し,人の知的作業を代替してしまうものというよりも,人と共存し人の知的作業を縁の下の力持ち的に補助するもの,という人間中心的ビジョンを明確化することで,より現実的な近未来のマーケティングが想定できるだろう。幅広いマーケティング実務者にとって,AIやIoTのインパクトをもっと身近に理解できるようになる一助になると思われる。

  • ― 古楽を事例として ―
    飯島 聡太朗, 古川 一郎
    2017 年 37 巻 1 号 p. 60-79
    発行日: 2017/06/30
    公開日: 2020/03/10
    ジャーナル フリー

    本稿は,日本における西洋音楽市場の動向についての実証研究を通じて,製品の正当性(legitimacy)のダイナミックな変容について考察する。この市場では,多様なプレーヤーが個別に正当性を探求しており,それらが全体として製品の価値規範を変えていく現象がみられる。演奏家の個人・組織が,市場の随所で局所的に問題解決を図りながら,市場環境の変化に適応している様子に着目しつつ,業界全体の価値規範が改訂的に見直されていく過程の分析を試みる。最後に本研究の限界について,またそれを克服するために本研究の分析と組み合わせて行うべき分析作業について議論がなされる。

  • ― 態度の構成要素に着目した分析 ―
    赤松 直樹
    2017 年 37 巻 1 号 p. 80-100
    発行日: 2017/06/30
    公開日: 2020/03/10
    ジャーナル フリー

    企業が新製品を導入する方法にはいくつかあるが,今日においては,消費者が既に知っているブランドを利用して新製品を導入するケースが非常に多い。この方法をブランド拡張と言い,本研究では,ブランド拡張によって導入される新製品を消費者がどのように評価しているのかについて議論している。そして,拡張元ブランドの既存製品に対する消費者の評価に着目し,その評価がどのように新製品の評価に影響しているのかについて調査・分析を行った。その結果,既存製品に対する評価は2つの構成要素(帰属的製品評価,関係的製品評価)によって捉えることができる点,そして,新製品の評価形成において,既存製品と新製品の適合性が相対的に低い場合には帰属的製品評価のみが影響を与え,一方で,適合性が相対的に高い場合には,既存製品を継続購買している場合は関係的製品評価のみ,継続購買していない場合は各構成要素が共に影響を与えることが示された。これらの知見を考慮することで,ブランド拡張によって新製品を導入する際のより適切なマーケティングの実現に貢献できるだろう。

  • ― 認知構造と活性状態への分離 ―
    堀田 治
    2017 年 37 巻 1 号 p. 101-123
    発行日: 2017/06/30
    公開日: 2020/03/10
    ジャーナル フリー

    本稿は,知れば知るほど面白い,あるいは高い集中をもたらすような消費活動を,知識と関与で捉える研究である。ここでは特に,趣味性の強い消費や「体験消費」に焦点を置き,対象に対して極めて高関与な状態を「超高関与」と位置づける。その上で,近年の関与概念で主流となっている,関与を「動機づけられた状態」とする立場を継承しつつ,関与を「認知構造」と「活性状態」に分離することによって「活性化していない状態も関与の形態のひとつ」とする視点を提案する。すなわち超高関与を支える知識や記憶を認知構造として捉え,超高関与の時の消費者による集中的な認知構造の形成によって,関与低下後もその分野の高度な認知枠組みとして機能すると考えた。本稿ではこうした認知構造をもちながら,現在活性化していない消費者を「低関与でありながら認知や行動が超高関与並に際立っている高知識の人」と捉え,「超高関与経験層」と呼ぶ。本稿は,前半をここ20年間の関与研究の現状把握,後半を直近の成果に基づく理論研究とした。

取材レポート
テーマ書評
  • 麻里 久
    2017 年 37 巻 1 号 p. 157-167
    発行日: 2017/06/30
    公開日: 2020/03/10
    ジャーナル フリー

    リレーションシップ・マーケティング(RM)研究は,長らくマーケティングの中心的概念として捉えられてきた「交換」ではなく,その背後に存在すると考えられている「関係」に焦点を当てようとする一連の研究群である。1980年代から産業財とサービス財を中心に研究が進められてきたが,1990年代に入ると急速に議論が進み,物財を中心とした消費者市場についても検討が行われるようになった。しかし今日,消費者市場に対する研究については批判も多く,それほど進展していないようにも見受けられる。
    そこで本稿では,先行研究を概観しながら,まず,消費者市場におけるRM研究に対する批判と発展阻害要因を整理し,検討すべき課題を示す。その上で,今日,消費者市場において新たな生産者と消費者の接点が生まれていることを確認するとともに,近年の研究を取り上げ,この分野の発展可能性について議論する。

ブックレビュー
編集後記
feedback
Top