マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
38 巻 , 2 号
マーケティングにおける制御焦点理論の応用
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
巻頭言
  • ― マーケティング分野における応用 ―
    小野 晃典
    2018 年 38 巻 2 号 p. 3-5
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/14
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    This issue features five articles on new challenges to expand Regulatory Focus Theory (RFT) for marketing management, of which some articles treat consumers’ regulatory focuses, while others treat firms’ regulatory focuses. They cover a wide range of topics, such as the effects of regulatory focuses on product, promotion, distribution, and electronic word-of-mouth. As highly advanced research, they are expected to laid the foundation of the RFT research in Japan. In addition to the invited peer-reviewed articles regarding RFT, this issue contains four other articles—an invited review article, an ordinary peer-reviewed article, a marketing case, and a book review.

特集論文 / 招待査読論文
  • 久保 知一
    2018 年 38 巻 2 号 p. 6-20
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/14
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    流通チャネルにおいて,流通業者はしばしば別の企業と長期にわたる緊密な取引関係を結ぶ。しかし,流通業者の中には,取引のオファーを受けた時に,そのオファーを受け入れる企業とそうでない企業がいる。取引関係に関する既存研究は,取引が安定的に維持されるメカニズムについては検討していた一方で,取引を開始するメカニズムについてはあまり注目してこなかった。そこで本論は取引のオファーに対する受容の違いがなぜ生じるのかという問題について,経済的要因に注目する取引費用分析に交渉当事者のモチベーション要因として制御焦点を組み入れることで説明を試みた。卸売業者の実務家に対する実証分析の結果,卸売業者が小売業者からの取引開始のオファーを受け入れる意思は,関係特定的投資と制御焦点の双方から影響を受けていることが見出された。

  • ― 制御焦点と情報過剰感による影響 ―
    石井 裕明
    2018 年 38 巻 2 号 p. 21-38
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/14
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    店頭におけるパッケージのコミュニケーション効果には古くから期待が寄せられてきた。しかしながら,先行研究を概観すると,パッケージに掲載すべき情報量に関する議論はそれほど進められていないことが分かる。そこで本研究では,情報量の異なるパッケージへの消費者反応を検討した。その際,制御焦点による調整効果に注目し,消費者の個人特性や製品特徴によって生じる違いについても議論した。アイ・トラッキングによって視線を測定した実験1では,予防焦点の消費者においてパッケージに対する注視回数が多いことを確認した。実験2と実験3では,情報量の増加によって生起する情報過剰感が促進焦点の消費者において製品理解や製品評価に負の影響を及ぼすことを指摘した。実験4では,促進焦点に基づく訴求内容の広告にパッケージが掲載された場合,情報過剰感の高いパッケージへの評価が高認知欲求の消費者において低下することを示した。

  • 竹内 亮介
    2018 年 38 巻 2 号 p. 39-51
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/14
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    消費者は,広告を回避する傾向にあるため,広告回避は,広告主や広告会社にとって最も深刻な懸念事項の1つである。広告回避に関する既存研究は,広告に露出した消費者が,完全広告視聴・不完全広告回避・完全広告回避の中からいずれかを選択する可能性を暗示してきたものの,なぜ彼らはそのような選択を行うかという問いに解答を与えることができていない。そこで本研究は,制御焦点理論に依拠したうえで,上記の問いに解答を与えようと試みる。より具体的にいえば,上述した3つの行為を巡る消費者の選択は,制御焦点や広告情報の訴求点から影響を受けるという仮説を導出する。本研究の知見は,(1)促進焦点の消費者は,広告情報がポジティブ(/ネガティブ)な結果に関する情報であるならば,完全広告視聴(/不完全広告回避)を選択する点,(2)予防焦点の消費者は,ネガティブな結果に関する広告情報の有無を制御参照と見なす場合,広告情報がポジティブ(/ネガティブ)な結果に関する情報であるならば,不完全広告回避(/完全広告視聴)を選択する点,および(3)予防焦点の消費者は,努力の有無を制御参照と見なす場合,完全広告回避を選択する点である。

  • ― マルチ・チャネルショッパー行動の分析 ―
    石井 隆太, 菊盛 真衣
    2018 年 38 巻 2 号 p. 52-67
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/14
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    今日,実店舗とオンライン店舗の両方で買物する消費者,すなわち,マルチ・チャネルショッパーが増加している。既存研究は,マルチ・チャネルショッパーの制御焦点が店舗選択に影響を及ぼすということを示唆してきた。しかし,(1)チャネル属性の知覚水準に影響を及ぼしうるオンライン購買経験を考慮に入れていない点,および,(2)消費者の店舗推奨行動を検討していない点において問題が残されている。これらの問題に対応するために,本論は,マルチ・チャネルショッパーの制御焦点が店舗選択・推奨に及ぼす影響,および,その影響に対するオンライン購買経験の調整効果を検討する。シナリオ法を用いた調査を実施し,241名の参加者からデータを収集した。回帰分析の結果,予防焦点は,オンライン店舗(対実店舗)の選択および推奨行動に負の影響を及ぼす一方,消費者のオンライン購買経験が多い場合,促進焦点は,オンライン店舗(対実店舗)の選択および推奨行動に正の影響を及ぼすということが見出された。こうした知見を提示することで,本論は,消費者のチャネル選択に関する研究,クチコミに関する研究,および,制御焦点理論に関する研究の進展に貢献を成すだろう。

  • ― 制御焦点理論に着目して ―
    小野 雅琴, 清水 亮輔
    2018 年 38 巻 2 号 p. 68-78
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/14
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    制御焦点理論は本来,促進焦点を有する個人はポジティブな結果を重視した判断を行う一方で,予防焦点を有する個人はネガティブな結果を重視した判断を行うというテーゼを提唱する理論であるが,拡張の結果として,促進焦点を有する個人は感情的に結果を判断しようとする一方で,予防焦点を有する個人は認知的に結果を判断しようとするというテーゼも提唱されている。このテーゼを援用することによって,本論は,口コミ発信者に対する妬みが口コミ受信者による推奨製品の忌避に帰着すると説く最新の口コミ研究の主張を部分的に反駁し,促進焦点を有する個人はそうである一方で,予防焦点を有する個人はむしろ推奨製品を採用する傾向にあると主張する。消費者実験を行って収集されたデータを用いてANOVAを行ってテストしたところ,仮説は首尾よく支持された。

レビュー論文 / 招待査読論文
  • ― 小売国際化研究との比較から ―
    李 素熙
    2018 年 38 巻 2 号 p. 79-90
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/14
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    外食国際化は,長らくアメリカの外食チェーンが牽引してきたと言っても過言でないが,21世紀に入ると,日本の外食企業を筆頭にアジア諸国の外食企業の国際化が進展し,外食国際化は新たな局面を迎えるようになった。しかしながら,外食国際化現象は,グローバライゼーションを巡る議論や食文化の伝播を巡る議論の中で取り上げられる程度であり,企業行動を前提とした論考は非常に限られたものしか存在してこなかった。また,その限られた研究もほとんどが特定の外食企業の現状把握が中心であり,それらの現状を捉える視角も非常に多様で,内容的には浅い分析にとどまるものが多く見られるのが実状である。それゆえ,この領域の研究蓄積を整理することは非常に難しいのが実態である。そこで,本稿では,外食国際化行動と類似する部分が多い小売国際化研究の研究視角を参照しながら,外食国際化研究の現状を整理・理解した上で,今後の研究課題を四点提示した。

投稿査読論文
  • ― 広告形式における表現特性の尺度開発と影響の検討 ―
    福田 怜生
    2018 年 38 巻 2 号 p. 91-106
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/14
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    これまでの研究では,製品やブランドの情報を論理的に提示する情報提供型広告や登場人物の問題解決過程を描く物語型広告について,消費者の広告情報処理や,その広告形式の表現特性,効果が議論されてきた。しかし,それらの研究では,情報提供型広告の表現特性である情報提供性と物語型広告の表現特性である物語性の関係が明らかにされていなかった。そこで,本研究では,物語性尺度の邦訳と情報提供性尺度の開発を行ったうえで,物語性と情報提供性とが異なる次元の表現特性であることを示した。さらに,物語性と情報提供性の両者が高い物語情報提供型広告が存在することや,物語性が高い広告では,情報提供性が広告態度に及ぼす影響が弱まることを明らかにした。これらの結果は,各広告形式の広告効果や消費者の広告情報処理に関する先行研究を整理したり,消費者の広告情報処理に影響する要因を検討する際の理論的基盤となると考えられる。

マーケティングケース
  • ― 流山市 ―
    石井 裕明, 外川 拓, 井上 一郎
    2018 年 38 巻 2 号 p. 107-118
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/14
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    マーケティングが様々な対象に応用できることは古くから指摘されてきた。その中でも,公共団体への応用は,ソーシャル・マーケティングなどとして,しばしば取り上げられるテーマの一つである。その一方,我が国に目を向けてみると,本格的にマーケティングに取り組んでいると考えられる市町村単位の地方自治体はそれほど多くない。そこで本稿では,マーケティング課を設置し,様々なマーケティング活動を展開している流山市に注目した。インタビュー調査の結果からは,同市の人口増加の背景にマーケティング的発想に基づく様々な取り組みが存在することが確認された。また,自治体組織特有のマーケティングを応用する難しさ,トップマネジメントである市長によるマーケティングの強調による効果,自治体組織にマーケティングを根付かせるための方策が示唆されている。

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