マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
38 巻 , 4 号
エスセティクスと消費者心理
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
巻頭言
  • 石井 裕明
    2019 年 38 巻 4 号 p. 3-5
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/29
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    The purpose of this special issue is the reconsideration of what constitutes beautiful design based on a discussion of aesthetics and consumer psychology. Previous research has indicated that aesthetics is one of the important design elements because it promotes customer’s choice behavior and leads to higher customer satisfaction. In this special issue, we intend to focus not only on those simple effects but also on psychological or theoretical mechanisms (e.g., how and when does aesthetics affect consumers positively?). Four research articles featured in this issue provide excellent theoretical contributions and have broad practical implications. We hope that this issue will advance research on aesthetics and consumer psychology.

特集論文 / 招待査読論文
  • ― 擬人化製品のカスタマイゼーションの可能性を探究して ―
    小野 晃典
    2019 年 38 巻 4 号 p. 6-19
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/29
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    企業は,自社製品を物理的に擬人化することによって,消費者とのリレーションシップを強化することを目論むことがある。このとき,「製品の顔」に相当する部分は,擬人化製品にとって,パーソナリティ評価を左右する最も重要な部分である。このことに関する既存研究は,怒った目(vs. 笑った目)と笑った口(vs. 怒った口)の組合せが,最も選好される自動車の「顔」のデザインであると主張した。それに対して本研究は,4種類の目(怒った目,笑った目,四角い目,丸い目)と3種類の口(笑った口,怒った口,真っ直ぐの口)のデザイン,および,製品と自己(現実自己/理想自己)のイメージ適合を考慮に入れて分析を行う。その結果,12種類の擬人化製品は各々,固有の製品イメージと結びついており,それらと理想自己イメージとの適合度の高い消費者に選好されるということが見いだされた。このことは,選好度の高い唯一の「製品の顔」は存在せず,それゆえ,多様なニーズに合わせた「顔」にカスタマイズできる生産システムの構築を考慮に入れるべきことを含意している。

  • 朴 宰佑, 外川 拓
    2019 年 38 巻 4 号 p. 20-34
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/29
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    優れたデザインは,企業が競争優位を獲得するうえで重要な要因の1つになっている。先行研究では,機能性や象徴性など,消費者の製品評価においてデザインが果たす役割が明らかにされているが,いずれの研究においても共通して重要性が指摘されているのは「審美性」である。本稿では,心理学および消費者行動研究の包括的なレビューを行い,消費者がどのようなデザインに対して審美性を知覚するのかについて議論を行った。具体的には,色,形状,水平配置,垂直配置といった要素が審美性知覚に及ぼす影響について,既存の研究知見を整理し,体系化を図った。こうした考察は,研究知見の体系的把握を可能にするだけでなく,デザインに携わるマーケターにも有益な実務的示唆をもたらすと考えられる。

  • 平木 いくみ, 外川 拓
    2019 年 38 巻 4 号 p. 35-46
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/29
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    身体化認知理論への注目により,感覚が消費者行動に及ぼすさまざまな影響が明らかになっている。本稿では,製品の希少性知覚に対して視覚的重さが及ぼす影響を検討する。製品パッケージのカラー(実験1)と製品画像の掲載位置(実験2)を操作した2つの実験を通して,視覚的重さの経験は,当該製品に対する希少性知覚へ影響を及ぼすことが明らかにされた。さらに,視覚的重さが希少性知覚へ及ぼす影響は,製品間の陳列スペースが広いときのみ生じることも示された。希少性は消費者を製品に惹きつける強力な要因である。重さという感覚経験と希少性知覚との関係を明らかにした本研究は,製品開発に携わるマーケターや店頭マーケティングに携わる小売業者に対して多くの示唆を提供している。

  • ― ハプティック知覚の意味概念活性化の視点から ―
    小川 亮
    2019 年 38 巻 4 号 p. 47-62
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/29
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    本研究は製品開発プロセスの初期段階においてデザインを活用することの有効性を検証する。

    開発初期段階のコンセプトテストにおいて,接触可能なデザインを活用することで情報の具体性が増加しその結果,消費者からの改良アイデアが出やすくなることについて2つの視点から仮説を構築し実証分析を行った。

    1つは提示する情報が具体的であるほど,製品の改良アイデアが出やすいという解釈レベル理論に基づく仮説であり,もう1つは実際に製品を触れさせるという提示方法を用いることで,製品の意味概念の活性化が行われるため,改良アイデアが出やすいというハプティック知覚研究に基づく仮説である。富士里和製紙の製品開発プロセスにおいて実際に使用されたトイレットペーパーの提示物を用いて会場調査を行い,コンセプトテストにおいて文字で提示する場合と平面デザイン及び接触可能な立体デザインで提示する場合の改良アイデアの出やすさにおける差を検証した。その結果,文字情報のみを提示した場合と接触できる立体デザインを提示した場合では後者の方が具体性が高く,意味概念の活性化が行われ,改良アイデアが出やすいことに有意に差が見られた。

レビュー論文 / 招待査読論文
  • ― 代替的志向性がもたらすインパクト ―
    岩下 仁
    2019 年 38 巻 4 号 p. 63-79
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/29
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    これまで,市場志向と同次元に位置づけられる代替的志向性に関する研究は個別に展開されてきたため,包括的に扱った研究はほとんど取り組まれていない。それゆえ,市場志向の代替的志向性にはどのようなものがあるかについて網羅的な整理がなされておらず,様々な代替的志向性がマーケティング変数にどのようなインパクトをもたらすかについて明らかにされていない。本研究では,代替的志向性に焦点を当て,それらに関する先行研究についてレビューを実施している。製品志向,販売志向,技術志向,リレーションシップ志向,サービス志向,ブランド志向,イノベーション志向,CSR志向,デザイン志向,学習志向という10つの志向性について包括的に整理するとともに,各志向性の研究段階を明らかにしている。

マーケティングケース
  • ― 美しさを追求する「ものづくり」 ―― TOTO株式会社 ―
    芳賀 宏一郎, 恩藏 直人
    2019 年 38 巻 4 号 p. 80-94
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/29
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    プロダクト・デザインはビジネスにおける重要なテーマであり(Luchs & Swan, 2011),競争優位の重要な源泉であると言われている(Noble & Kumar, 2010)。このデザインを重視し,デザインと機能の融合により「美しい製品」の開発を行い,市場で高い評価を得ている企業がある。北九州市小倉に本社を置くTOTO株式会社である。2017年にネオレストシリーズのフラッグシップモデル「ネオレストNX」を開発し市場に展開しているが,このネオレストNXは「オブジェ」と言っても過言ではない。そこで,TOTO(株)の空間と調和するデザインと「ものづくり」におけるマーケティング展開を調査した。この結果,TOTO(株)のマーケティングの卓越性は,「デザイン・ドリブン・イノベーション」と「デザインのHolistic視点と機能の融合」の2つにあると考えられる。

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編集後記
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