マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
40 巻 , 3 号
クラウドとマーケティング
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
巻頭言
  • 石井 裕明
    2021 年 40 巻 3 号 p. 3-5
    発行日: 2021/01/07
    公開日: 2021/01/07
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    This special issue considers the roles, effects, and applications of crowdsourcing and crowdfunding. Over the past 15 years, these have been major themes for both business practitioners and academic researchers. Many organizations have adopted crowdsourcing and crowdfunding as part of their business processes, and many academics have discussed their effectiveness in various contexts. In this special issue, we include knowledge about these issues that explains phenomena in the real world using marketing theory. The four featured research articles provide excellent theoretical contributions and practical implications. We hope that this issue will advance research on crowdsourcing and crowdfunding in marketing.

特集論文 / 招待査読論文
  • ― シグナリング理論に基づく実証研究 ―
    石田 大典, 大平 進, 恩藏 直人
    2021 年 40 巻 3 号 p. 6-18
    発行日: 2021/01/07
    公開日: 2021/01/07
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    過去のクラウドファンディング研究によって,多くの成功要因が明らかにされてきている。しかしながら,先行研究で効果的とされたAll-or-Nothing形式があまり使われていないこと,クラウドファンディング市場を取り巻く環境の変化,日本における実証研究の少なさなど,いくつかの課題も残されている。そこで本研究では,シグナリング理論に基づいて仮説を導出し,日本の大手購入型クラウドファンディング・プラットフォームで実際に取り組まれた336のプロジェクトのデータを用いて成功要因の効果を検証した。分析の結果,クラウドファンディングの成功要因として,プロジェクトの説明文が長いこと,GIF動画を利用すること,All-in形式のプロジェクトにすることの3つが浮かび上がった。また,プロジェクト情報を頻繁に更新したり,動画を用いたり,人数限定の先着割引のプロモーションを用いたりすることで,より多くの支援額を獲得できることが明らかとなった。

  • ― 寄付と寄付つき商品による理解 ―
    大平 修司, スタニスロスキー スミレ, 日高 優一郎, 水越 康介
    2021 年 40 巻 3 号 p. 19-30
    発行日: 2021/01/07
    公開日: 2021/01/07
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    ふるさと納税は,問題点を抱えているものの,着実にその規模が拡大している。一方で,ふるさと納税に関する研究は,その実態把握研究が大半であり,特に利用者研究は限定的な理解に留まっている。本稿では,まずふるさと納税を寄付型および報奨型クラウドファンディングとして理解し,利用者がふるさと納税を行う要因を検討する。次に寄付者が寄付を行う要因を検討する。さらにふるさと納税の返礼品を寄付つき商品と理解することでコーズ・リレーテッド・マーケティング研究を通じ,消費者が寄付つき商品を購入する要因を検討する。最後にふるさと納税の利用者を理解する枠組みを提示し,地方自治体のマーケティングへの示唆を述べる。

  • ― レシピ投稿サイトにおける探索的研究 ―
    本條 晴一郎, 伊藤 友博
    2021 年 40 巻 3 号 p. 31-44
    発行日: 2021/01/07
    公開日: 2021/01/07
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    クラウドソーシングを利用した製品開発によって,高い市場性をもつ製品が生み出されることが実証されている一方,収集した多量のユーザー創出アイデアを評価し,有望なものを選ぶことは大きな負担になっている。本研究では,自然言語処理を用いることによって,ユーザー創出アイデアの評価の機械化を行った。創造性研究に立脚して,クラウドから集めたアイデア全体から概念空間を構成し,そこでの出現頻度の少なさから意見の希少性を算出することで,独創性を機械的に測定する手法を構築した。レシピ投稿のデータに対して手法を適用したところ,機械的に測定された独創性は,レシピの有望性の説明に有効性を持つことが示された。本研究で構築した手法によって,アイデア評価が機械化されたのみならず,従来顧みられなかった大多数の不採用アイデアに,概念空間を構成する材料という新たな役割と,研究対象としての位置づけが与えられた。

  • ― 新しい働き方がもたらすイノベーション創出の可能性 ―
    大平 進
    2021 年 40 巻 3 号 p. 45-57
    発行日: 2021/01/07
    公開日: 2021/01/07
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    近年,実務家のみならず,研究者の間でもギグ・エコノミーが注目されている。ギグ・エコノミーとは,デジタル・プラットフォームを介して,クライアント企業とワーカーの間で,単発の労働と金銭的報酬の交換がなされる社会経済的活動である。ギグ・エコノミーは,果たして企業の製品開発活動にどのような影響をもたらすのだろうか。著者の知る限りにおいて,当該分野の文献レビューは存在しない。そこで本研究は,ギグ・エコノミーと製品開発に焦点を当て,先行文献のレビューをおこなった。その結果,重要な5つのテーマが特定された。人的資源マネジメントの対象としてのギグ・ワーカー,ギグ・ワーカーのモチベーション管理,ギグ・エコノミーとアイデア創出,ギグ・エコノミーにおけるプラットフォームの役割と管理,ギグ・エコノミーにおけるコワーキング・スペースの役割と管理である。最後に,当該分野の研究が抱える課題と今後の可能性について議論した。

レビュー論文 / 招待査読論文
  • 堀口 哲生
    2021 年 40 巻 3 号 p. 58-66
    発行日: 2021/01/07
    公開日: 2021/01/07
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    国際競争の激化,製品ライフサイクルの短縮化の中で,企業は自らの既存の資源・能力を活用した漸進的な製品イノベーションだけでなく,新しい資源・能力の探索を伴う急進的な製品イノベーションを達成することがますます求められている。しかし,急進的な製品イノベーションには非常に高いリスクや不確実性が伴い,その実現は困難である。その中で,多くのマーケティング・経営学者は,急進的な製品イノベーションを促進・阻害する要因についての研究を行ってきた。とりわけマーケティング学者は,マーケティング組織の活動が,急進的な製品イノベーションを促進・阻害するのかという課題に対して多くの関心を向けてきた。本論の目的は,マーケティング組織の活動と急進的な製品イノベーションの関係について検討した既存研究をレビューし,その知見を整理することである。具体的には,マーケティング組織と急進的な製品イノベーションの関係に着目した2つの研究潮流をレビューした上で,マーケティング組織が急進的な製品イノベーションに如何に関与するべきなのかについて既存研究の知見を整理する。その上で,この研究領域における将来の研究余地を指摘する。

  • 松井 彩子
    2021 年 40 巻 3 号 p. 67-77
    発行日: 2021/01/07
    公開日: 2021/01/07
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    ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下,SNS)において,一時的に多くのユーザーが話題にしている状態はバズや炎上と呼ばれ,注目を集めている状態がさらに別の人の注目を集めるという,正のフィードバックが働く。この背景には,影響力の強い発信者だけではなく,情報拡散者(Information Diffuser)や仮想的な存在(MVP: Mere Virtual Presence)と呼ばれる大多数の他者の存在があり,彼らがSNS上で「いいね」による態度表明や「シェア」による情報伝達を行うことで,その他のユーザーの消費者行動に影響を及ぼすと考えられる。本論の目的は,社会的影響研究の視点から,大多数の他者,特にSNS上の大多数の他者が,他のユーザーに影響を及ぼす現象のメカニズムについて既存研究を整理し,研究課題を提示することにある。具体的には,社会的影響の定量的な議論を可能にした社会的インパクト理論を,SNSの文脈において援用することの意義を検討し,先行研究において他者の存在が及ぼす影響の実証結果が一致しない原因を考察する。

投稿査読論文
  • ― 自動車業界のWeb見積もりを事例として妥協効果に焦点を当てた検証 ―
    加藤 拓巳
    2021 年 40 巻 3 号 p. 78-88
    発行日: 2021/01/07
    公開日: 2021/01/07
    [早期公開] 公開日: 2020/12/18
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    企業は,消費者の認知を文脈によって導くことで,少ないコストで自社商品の差別化や優位性を確保できることから,マーケティングは文脈の設定作業とさえ言われる。消費者の認知バイアスを誘発する企業のマーケティング施策の代表例に妥協効果(松竹梅効果)がある。選択肢が「松・竹・梅」と3つ用意された場合,「竹」を妥協的に選択する特性を指し,飲食店や車等の多様な業界で利用されている。しかし,既存研究では,妥協効果の出現条件として,同じメーカーブランド内における,高付加価値志向と低価格志向という商品特性に焦点を当てた例は少ない。本研究では,日本の自動車業界におけるWeb見積りを対象に,商品特性による妥協効果の差異を検証した。その結果,低価格志向である軽やコンパクトでは妥協効果が出現するが,高付加価値志向であるSUVやミニバンでは妥協効果が出現せず,最上位グレードが選ばれやすいことが明らかになった。本研究で示したとおり,各商品の特性に適合したグレードを設定することは重要な文脈設定である。

マーケティングケース
  • ― SBIホールディングス株式会社社長室ビッグデータグループの取組 ―
    今井 紀夫
    2021 年 40 巻 3 号 p. 89-99
    発行日: 2021/01/07
    公開日: 2021/01/07
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    昨今のデジタル技術の進化と普及により,これまでにない量や形式のデータが生成され,それらを分析するためのAIや基盤技術をマーケターは活用できるようになった。金融事業から出発したSBIグループでは,その機会を活かしてグループ会社間のシナジーによる価値創造を実現するために,2012年にグループの持株会社であるSBIホールディングス株式会社の社長室直下にビッグデータグループを設けた。このグループはデータ基盤整備やグループ会社のデータ活用能力向上などの様々な施策に取り組み,グループ全体の顧客基盤の成長などに見られる通り,成果に貢献してきた。その成功要因として,従来の情報システム開発と分けてのデータ基盤整備,システム導入ではなく価値創造を目的としてのリソースの確保,グループ横断での会議や勉強会開催によるノウハウ共有や各部門の課題把握,ワークショップなどによる社員のデータに基づく意思決定への意識改革の支援,更にこれらを支える経営陣のコミットメントが示唆された。

  • ― 海底撈 ―
    金 春姫
    2021 年 40 巻 3 号 p. 100-109
    発行日: 2021/01/07
    公開日: 2021/01/07
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    このケースでは,中国の外食チェーン海底撈を取り上げる。四川式火鍋料理を提供する同社は,その突出したサービスで中国消費者から熱烈な支持を得ている。これまでサービス品質の向上に苦心してきた中国の外食産業に同社が与えた影響は大きく,業界全体の底上げに貢献している。さらに,高品質なサービスを支える従業員の満足と積極性を引き出すための仕組みにも各界から関心が集まっている。近年はグローバル展開も進めており,世界で最大の中華料理チェーンとも言われている。本稿は,前半で同社の概要,海底撈サービスの特徴と発展の歴史を振り返ってから,後半で高品質サービスと高速成長を両立させる背後の仕組みについてみていく。最後に,コロナ禍への対応を含めた最近の動向と今後の課題についても言及する。

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