マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
41 巻, 1 号
ニューノーマル時代のマーケティング
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
特集論文 / 招待査読論文
  • 池尾 恭一
    2021 年41 巻1 号 p. 6-15
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
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    新型コロナウィルス感染症の流行は,日本のマーケティングのあり方にも大きな影響をもたらした。激変する環境のなかで,マーケティング戦略をいかに適応させていくかは,マーケティング研究,マーケティング実務の双方にとって,きわめて重要な課題である。しかも,今回の新型コロナ危機がマーケティングに及ぼす影響は,それにとどまらないであろう。生活様式や購買行動の変化に不可逆的な部分が含まれるならば,長期的には,マーケティングのあり方を抜本的に変えてしまいかねない可能性も秘めている。本稿は,そうしたなか,新型コロナ危機のなかで広がった,オンライン商談,D2C,オムニチャネルに焦点を当て,これらの動きが,流通チャネル政策を通じて,将来に向けてどのような戦略課題をもたらすかを明らかにしようとするものである。

  • ― ニューノーマル時代の新小売ビジネスモデル ―
    近藤 公彦, 中見 真也, 白鳥 和生
    2021 年41 巻1 号 p. 16-28
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
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    デジタル・トランスフォーメーションとコロナ禍という劇的な環境変化は,消費者行動と小売業にきわめて大きな影響を及ぼし,ニューノーマル時代に適応した新たな小売ビジネスモデルの構築が求められている。この論文では,まずデジタル・トランスフォーメーションが小売業をどのような方向に進化させようとしているのか,ならびにコロナ禍が小売業の活動をどのように激変させたのかを主要な文献を通じて概観する。次に,そうした要因が消費者行動をどのように変え,またどのような小売業の新しい取り組みを促しているかを博報堂生活者総合研究所,経済産業省,アクセンチュア等による消費者調査,およびビームス,カインズ等の小売業のトップマネジメントへのインタビューを通じて明らかにする。こうした議論を踏まえ,ニューノーマル時代の小売業の新しいビジネスモデルをネオリテールと名づけ,その全体像を顧客関係性(顧客識別性,ターゲット設定,タッチポイント,顧客関係ボンド),価値の創造と提供(提供価値,方向性,店舗の役割と位置づけ),活動システム(商品供給システム,業務システム,組織内・組織間関係),および収益フォーミュラの観点から提示する。

  • ― 地方活性化策の点と線 ―
    小林 哲
    2021 年41 巻1 号 p. 29-40
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
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    地方は,長期に渡り構造的問題を抱えており,それを解決する方法として注目されているのが,交流人口を糧とする地域ブランディング手法に基づく地域経済の活性化である。しかし,現在,新型コロナウイルス感染症の蔓延により,その政策が実行できずにいる。そこで,本稿では,コロナ禍での地域ブランディング政策を,①交流人口を維持するための政策,②交流人口に代わる市場の開拓,③交流人口以外を糧とする地域ブランディング政策の可能性の3つの視点から考察する。なお,コロナ禍での政策には,構造的問題の解決という長期的視点(線)と,コロナ禍という特殊状況への対応という短期的視点(点)の両方が必要となる。本稿では,この両方の視点を踏まえて,コロナ禍での地域ブランディングの在り方を明らかにする。

  • ― 企業システムの視点から ―
    村松 潤一, 大藪 亮, 宮脇 靖典, 張 婧
    2021 年41 巻1 号 p. 41-53
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
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    コロナ禍によって,人々の行動は一変し,生活世界での価値創造はますます多様化・複雑化・高度化した。その結果,顧客との価値共創に取り組む企業においては,顧客から求められるナレッジ・スキルが個別企業の範囲を超えるようになり,価値共創マーケティングにも新たな対応が必要となった。そうした中,ローカルプラットフォームという新しい企業システムの形態をもって,顧客が求める様々なナレッジ・スキルを提供する企業が現れた。そこで本稿は,価値共創マーケティング研究の到達点を示すとともに,今日のコロナ禍における理論的・実践的課題を明らかにし,ローカルプラットフォームに対する事例研究を通じて,新しい企業システムの特性を明確に示し,今後の研究の方向性を展望した。

  • ― コミュニケーションモデルの提案と実践手法の検討 ―
    阿久津 聡, 勝村 史昭, 徳永 麻子, 後藤 恵美, 木村 誠
    2021 年41 巻1 号 p. 54-67
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
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    働き方改革後もなかなか進展しなかったテレワーク化は,コロナ禍によって一気に加速した。テレワークにおける社内外コミュニケーションの主たる担い手として,多くの企業でZoomなどのビデオカンファレンス・サービスの活用が本格化したが,外的要因によってやむなく導入が進んだため,コミュニケーション媒体としてのビデオカンファレンスの特徴や限界についての知見は少なく,手探りの状態にある企業は少なくない。一方,対面と比較した非対面コミュニケーションの問題として,感情労働(Hochschild, 1983)の肝となる「共感」が阻害されることが既存研究で指摘されている(Grondin et al., 2019)。テレワークにおいても従来と同レベルの共感を維持するためには,画面越しの相手の共感をモニタリングし,しっかりマネジメントすることが必要となる。オンラインで行われる講演や研修,会議やイベントでの共感について,従来型の事後アンケートで分かることには限界がある。そこで本研究では,ビデオカンファレンスやウェビナーの流れの中で参加者の共感を即時的・経時的にモニターする方法を提案し,その妥当性や有効性について検証・検討したうえで,実務的含意と今後の研究の方向性についてまとめた。

  • 高尾 義明, 江夏 幾多郎, 麓 仁美
    2021 年41 巻1 号 p. 68-81
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
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    本稿の目的は,COVID-19の流行に伴う職務環境の変化を営業・マーケティング職がどのような形で経験し,それにどう適応しようとしたのかを明らかにすることである。本稿では,2020年4月中旬から7月下旬にかけて,3,073名の就労者を対象に実施した質問票調査の分析を行った。その結果,営業・マーケティング職は,他の職種に比べ,①心理面では,4月調査では差が見られなかった不安感が7月調査では緩和され,差が拡大していること,②職務特性では,職務遂行プロセスの他者依存性(近接性)が4月から7月にかけて低下していること,③適応行動については,両利き行動の探索的行動は両方の時点で積極的に行えているものの,深化的行動は4月から7月の間で低下していることが明らかとなった。また,営業・マーケティング職の適応行動には,役割明確性や職務の裁量性,職務成果の他者依存性といった職務特性やその変化とリモートワークの実施が影響を与えていることも示された。

レビュー論文 / 招待査読論文
  • 林 真輝人
    2021 年41 巻1 号 p. 82-89
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
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    近年,キャッシュレス決済が急速に普及したことによって,消費者が使用可能な支払方法は多様化している。支払方法に関する既存研究においては,多様化する支払方法が消費者行動にどのような影響を与えるのかということに関して,盛んに議論が行われている。そこで,本論では,支払方法に関する既存研究を,(1)特定の支払方法の使用意図に関する研究群,(2)支払方法の違いが消費者行動に及ぼす影響に関する研究群,(3)支払方法の違いの影響を媒介する要因に関する研究群に分類したうえで,概観する。そして,支払方法に関する研究が今後検討するべき課題として,(1)消費者の過剰な支出を抑制する要因の探究,(2)感覚マーケティング領域における知見の応用,(3)新たな調整変数の識別を指摘する。

  • 張 婷婷
    2021 年41 巻1 号 p. 90-97
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
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    企業は消費者にメッセージを発信するとき,消費者の注意を引き付け,さらにメッセージを精緻に処理してもらうために,多彩な言葉,ビデオ,アニメーション,3Dなどの手段を利用している。これらのビビッド手段の利用によって,消費者行動にポジティブな影響を及ぼすと信じられている。しかし,ビビッドメッセージは常に消費者行動にポジティブな影響を及ぼすわけではない。そこで,本稿では,ビビッドネス効果(vividness effect)に関する既存研究を,(1)ビビッドネス効果の定義と分類,(2)ビビッドネス効果の有効性に関する研究,(3)ビビッドネス効果を有効とする媒介変数,(4)ビビッドネス効果の有効性を調整する要因という4つに分けて,レビューを実施する。また,ビビッドネス効果研究の発展のため,今後の研究課題として,(1)多感覚マーケティングにおけるビビッドネス効果に関する研究課題,(2)複数のビビッド要素の組み合わせによるビビッドネス効果に関する研究課題を提示す。

投稿査読論文
マーケティングケース
  • ― 越前漆器の漆琳堂 ―
    石井 隆太, 小野 晃典
    2021 年41 巻1 号 p. 109-119
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
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    漆器は,陶磁器やガラス食器などと並ぶ,日本における伝統的な食器類の一種であるものの,その需要の多くは外食業やサービス業向けの業務用に偏り,消費者用漆器は高価な工芸品に留まっているという,他の種類の食器類にはないイビツな商品構成によって特徴づけられてきた。この2種類の漆器のうちの1つである業務用漆器の一大産地,福井県鯖江市の河和田地区において,漆器に漆を塗る職人の家庭内手工業者として創業二百年の老舗である漆琳堂は,近年,普段使いの消費者用漆器を新たにデザインし,新たな販路を開拓した上で,それをいくつかの新規ブランドの下で販売することによって,消費者用漆器の巨大な新市場を創造することに成功している。本論は,その成功要因は,デザイン会社との提携,直販チャネルの構築,そして何より,漆琳堂社長で伝統工芸士の内田氏の企業家精神に存するということを論じる。

  • ― 変身した株式会社ワークマン ―
    王 黎黎, 速水 建吾, 恩藏 直人
    2021 年41 巻1 号 p. 120-129
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
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    近年,作業服市場の成長鈍化に対応するため,株式会社ワークマン(以下ワークマン)は作業服市場で蓄積したノウハウを活用し,高機能低価格の製品で4,000億円のアウトドアウェアという空白市場を切り開いた。本稿では,ワークマンが今日の成功を収めるまでに抱えてきた課題とその解決策を紹介したうえで,ワークマンのマーケティングの卓越性である「見せ方の変化」と「アンバサダーの起用」という二点に注目する。最後に,ワークマンが抱える今後の課題について議論する。

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