マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
42 巻, 3 号
センサリー・マーケティング
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
  • 石井 裕明
    2023 年42 巻3 号 p. 3-5
    発行日: 2023/01/10
    公開日: 2023/01/10
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    This special issue focuses on the latest findings and contributions of sensory marketing. In the past decade, the number of studies on sensory marketing has increased markedly. This work has included development of theoretical implications and practical implementations. However, a problem of reproducibility has been suggested in the field of psychology, which strongly influences sensory marketing research. Additionally, revelations of research misconduct by a few researchers have partly undermined the credibility of sensory marketing research. Therefore, in this special issue, we reconsider the value and contribution of sensory marketing by presenting leading work in this area. Each of the five invited peer-reviewed studies includes excellent academic findings and practical suggestions. As such, we believe that this issue will make an important contribution to progress in research on sensory marketing.

特集論文 / 招待査読論文
  • ― 感覚要因が健康的な食行動に及ぼす影響の文献レビュー ―
    朴 宰佑, 外川 拓, 元木 康介
    2023 年42 巻3 号 p. 6-16
    発行日: 2023/01/10
    公開日: 2023/01/10
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    本稿ではマーケティング関連の感覚要因が消費者の健康的な食行動に与える影響に焦点を当て,2000年以降のマーケティングのトップジャーナルに掲載された関連研究をレビューした。その結果,感覚要因と健康的な食行動の関連性は,消費者行動,広告,公共政策,小売など,マーケティングに関連する様々な分野において関心が寄せられていることが確認できた。また,レビューを通じて,健康的な食行動に関するセンサリーナッジ研究の課題として,視覚以外の要因,複数の感覚要因の関連性および文化差の検討,現実の食行動に即した研究の推進,健康的な食生活の実践と感覚マーケティングの関連性に関するより包括的かつ長期的な検証の必要性の5つを提示した。

  • 有賀 敦紀
    2023 年42 巻3 号 p. 17-26
    発行日: 2023/01/10
    公開日: 2023/01/10
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    製品パッケージは,製品情報や概念などを消費者に効率的に伝達するマーケティング手段として有用である。先行研究では,パッケージ内の製品画像(視覚オブジェクト)が空間的に下に配置されたとき,上に配置されたときよりも,その製品は視覚的に重いと評価された。本研究では,パッケージデザインに基づく重さ知覚に対して,視覚と触覚の双方からアプローチすることを目的とした。研究1では,先行研究の結果を概ね再現することに成功した。研究2では,実験参加者が製品を持ち上げて重さを評価しても,研究1と同様の結果が得られることがわかった。研究3では,参加者が事前に視覚的重さを評価してから製品を持ち上げると,視覚オブジェクトがパッケージ内の下に配置された製品は,上に配置された製品よりも軽いと知覚される傾向が見られた。以上の知見は,製品パッケージの心理的効果は消費者の情報処理方略に依存することを示唆している。

  • ― 視覚情報としての文字に注目して ―
    外川 拓, 磯田 友里子, 鈴木 凌, 恩藏 直人
    2023 年42 巻3 号 p. 27-38
    発行日: 2023/01/10
    公開日: 2023/01/10
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    人は,自身の名前に含まれた文字を,含まれていない文字に比べて好ましく評価する。この傾向はネームレター効果と呼ばれ,ブランド選択をはじめとする様々な意思決定にも影響を及ぼす。例えば,先行研究によると,Lで始まる名前の消費者(例えば,Lundy)は,他の文字で始まる名前の消費者(例えば,Thomas)に比べ,名前の頭文字が一致するLexusを購入する傾向がある。本研究では,ブランド・ネームが漢字で表記されている場合,ネームレター効果がどのように生じるのかについて検討した。先行研究によると,漢字は聴覚情報ではなく,視覚情報として処理される。この言語的性質を踏まえ,漢字のネームレター効果は,ブランド・ネームと顧客の姓における表記(vs. 読み)の一致によって生じると予測した。総合胃腸薬の購買データを分析した結果,表記と読みが太田胃散と一致する太田姓の消費者は,読みのみが一致する姓(例えば,大田姓や多田姓)の消費者や,読みも表記も一致しない姓の消費者に比べて,太田胃散を購入する確率が高かった。本研究の結果は,ブランド・ネームに関する重要な理論的,および実務的示唆を提供している。

  • 河股 久司, 守口 剛
    2023 年42 巻3 号 p. 39-50
    発行日: 2023/01/10
    公開日: 2023/01/10
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    近年,ブランド・ロゴの変更を行う企業が増えている。変更の仕方はさまざまであるが,ロゴの形状は変えずに,色だけを変更する企業も挙げられる。そこで,本研究は,ブランド・ロゴの変更時における彩度の変化が消費者のブランド態度に与える影響を検討する。色の鮮やかさを示す彩度は,消費者に活力やはつらつさといった印象を与えることが知られている。そこで,ブランド・ロゴの変更時における彩度の変化が,ブランドの活力感や,ブランド態度に与える影響を検討した。3つの実験を通じて,1)彩度が高いロゴマークはブランドの活力感の知覚を高める,2)ロゴ・カラー変更時に彩度を高めることで,ブランドの活力感の知覚が高まり,その結果として,ブランドへの態度を高める,3)ブランドの活力感知覚がブランドへの態度に与える影響は,国際展開しているブランドのほうが,国内展開のみのブランドよりも強まることが明らかとなった。ブランド・ロゴ変更時に彩度がもたらす影響とブランド態度の関係を明らかにした本研究は,ロゴの変更を検討する企業に対して多くの示唆を提供すると考えられる。

  • 權 純鎬, 河股 久司, 須田 孝徳
    2023 年42 巻3 号 p. 51-62
    発行日: 2023/01/10
    公開日: 2023/01/10
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    コード型モバイル決済サービス(以下,決済サービス)の普及とともに,各社によるポイント還元型のプロモーションが頻繁に行われている。そのため,ポイント獲得を目的とした短期的利用者が増えており,決済サービスの利用定着率の低さが課題となっている。本研究は決済サービス利用時におけるタッチ・インターフェースへの接触に注目し,コントロール感および心理的所有感の向上によって決済サービスの再利用意向を高められるかを検証する。2つの調査を実施した結果,画面への接触回数が増加する金額入力型の決済方法は(vs. 金額非入力型),決済サービスに対するコントロール感を高め,コントロール感の知覚は心理的所有感を高めることが示された。また,画面接触によって知覚された心理的所有感の向上は,決済サービスへの再利用意向を高めることが確認された。

レビュー論文 / 招待査読論文
  • ― 近年の研究に関するレビュー ―
    福田 怜生
    2023 年42 巻3 号 p. 63-71
    発行日: 2023/01/10
    公開日: 2023/01/10
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    J-STAGE Data

    消費者に新たな体験を提供する技術としてバーチャルリアリティ(VR)が着目されている。本研究では,消費者を対象としたVRに関する近年のマーケティング研究の動向を把握することを目的とした。2019年以降に出版された実証的論文49篇を抽出し,これらを「コミュニケーション」,「空間設定」,「体験」,「デバイス受容」のテーマに分類した。「コミュニケーション」,「空間設定」,「体験」をテーマにした研究については,VRやVRデバイスが及ぼす影響を明らかにした。また,「デバイス受容」については,VRデバイスが消費者に受容されるための要因を明らかにした。最後では,各テーマに共通した最も重要な課題点として,各研究が対象とするVRデバイスやコンテンツの特性が不明確である点が指摘された。具体的な解決策として,各研究がVRの構成要素を測定し,報告することが指摘された。またこの他の課題として,VRの効果を説明する理論の整理,サンプルサイズの事前設計も指摘された。

  • 落原 大治
    2023 年42 巻3 号 p. 72-80
    発行日: 2023/01/10
    公開日: 2023/01/10
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    デジタル化の進展の中で,自律的・積極的な消費者と他律的・偶然的消費を好む消費者の2極化が進む。偶然的消費を好む消費者が求めるのは,文脈依存的で瞬間的な消費や予測不可能な衝動的な満足である。消費行動に伴うインスピレーションはこの衝動的な満足を満たすとともに,後続する購買関連行動を動機づけることができる。本稿では,この偶然的な消費に対応したマーケティングを考えるにあたり重要な「消費者インスピレーション」について既存研究の整理を行った。消費者インスピレーションの「メカニズム」「先行要因」「効果」の3つの視点で検討した結果,今後の研究課題として,(1)消費者インスピレーション拡散的な性質に対応するためのマーケティングによる観点の設定の検討,(2)デジタル環境に対応した個人差要因と状況要因とその対応方法の検討,(3)消費者インスピレーションの認知的効果の検討の3つを提示した。

マーケティングケース
  • ― 日本気象協会の商品需要予測事業 ―
    小仲 健太郎, 恩藏 直人
    2023 年42 巻3 号 p. 81-87
    発行日: 2023/01/10
    公開日: 2023/01/10
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    近年,企業は様々なデータを活用し事業化を行っている。日本気象協会は,過去から巨大な気象データを扱い,気象予報事業や防災事業を展開してきた。最近のデジタル技術の進化を背景として,気象データと売上関連データ,消費者行動データを組み合わせることにより商品需要予測の事業化に成功した。防災事業というコアスペースにとらわれることなく,他業種企業との価値共創に取り組み,商品需要予測サービスのサブスクリプションを立ち上げホワイトスペースでのビジネスモデルの構築を行った。背景に唯一,物理学的手法により未来を予測できる気象予報の技術とそれを実現する気象予報士組織がある。社会課題を解決することを中心にした企業理念と,それに基づく事業展開がコアスペースからの進化を後押ししたと考えられる。

書評
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