マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
45 巻, 3 号
オンライン・コミュニティ
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
巻頭言
  • 山本 晶
    2025 年45 巻3 号 p. 183-185
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/30
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    This special issue revisits the concept of online communities within the contemporary media landscape. Defined as any virtual space where people come together with others to converse, exchange information or other resources, learn, play, or just be with each other (Kraut et al., 2012), online communities have undergone significant transformations due to advances in information technology. The proliferation of sophisticated devices and diverse digital content, alongside the ubiquity of freely available digital resources, has reshaped their nature. While online communities at the early stage were characterized by text-based communication via platforms such as bulletin boards, mailing lists, and early social networking services, current modalities of exchange have expanded to encompass financial and non-financial support, commerce, viewership, and competitive engagement, with participants extending from human users to virtual avatars, and a mixture of both. Furthermore, the traditional dichotomy between offline and online communities is increasingly blurred by technologies like mixed reality. The rise of enterprise social networking platforms has also fostered the growth of online communities beyond consumer-to-consumer interactions, shedding light on business-to-business interactions. This special issue aims to consolidate diverse scholarly perspectives on these evolving phenomena, offering a critical re-examination of online communities in the context of the present-day media ecosystem.

特集論文 / 招待査読論文
  • ― 消費者の異質性を考慮したオンライン・ブランド・コミュニティの考察 ―
    六嶋 俊太, 松井 剛
    2025 年45 巻3 号 p. 186-195
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2025/06/02
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    本論文は,日本におけるオンライン対戦ゲームのコミュニティの経験的研究を通じて,現代のオンライン・ブランド・コミュニティが,人々のどのような創造的実践およびその相互作用によって成り立っているのかを検討する。近年,インターネットや情報技術の発展に伴って,オンライン空間における人々のコミュニケーション手段が多様化している。特に,新型コロナウイルスの流行で新たな消費者層がコミュニティに加わったゲーム産業では,このような傾向が顕著である。本論文はこのような現象に注目し,まず,実践,動機,活用可能な資源,役割といった点で特徴の異なる消費者の実践が,どのようなものであるかを記述する。そしてそのような異なるタイプの消費者の実践がコミュニティ活動全体にどのように影響しているのかの検討を通して,現代のオンライン・ブランド・コミュニティをどのように捉えるべきかについて議論する。

  • ― 二つの世界を繋ぐフィジタルフレンドの役割 ―
    福田 怜生, 赤松 直樹
    2025 年45 巻3 号 p. 196-206
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/30
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    メタバースの仮想製品が新たな収益源として注目される一方,メタバースの社会や製品の特性により,現実世界のステータスブランド価値がそのまま通用しない可能性がある。そうであれば,ステータスブランドの優位性の喪失を意味することとなる。そこで本研究では,ステータスブランドの価値がメタバースにおける仮想製品に及ぼす影響を明らかにするために三つの実証研究を行った。研究1では,現実製品と比較してメタバースにおける仮想製品では,ステータスブランドが理想自己や製品態度に及ぼす影響が弱まることを確認した。このようなステータスブランドの有効性低下という課題に対応するため,研究2では,「フィジタルフレンド」の存在に着目し,これがステータスブランドの効果を再活性化することを明らかにした。研究3では,さらなる心理的メカニズムとしてコミュニティからの受容期待が関わることを明らかにした。これらの知見は,メタバースにおけるステータスブランドの効果メカニズムを解明し,フィジタルフレンドを介した社会的アイデンティティ形成の理解を深め,リアルとバーチャルを橋渡しするブランド戦略の新たな方向性を提示している。

  • ― VTuberとオーディエンスの相互作用の事例を用いて ―
    柿原 正郎
    2025 年45 巻3 号 p. 207-217
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/30
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    本研究は,VTuberとオーディエンス間の双方向的・共創的な消費体験を,Hoffman and Novak(2018)の「消費者-オブジェクト集合体」理論に基づき考察したものである。VTuberとは,オンライン上でデジタルアバターを通じてコンテンツを発信する新形態のクリエイターである。本研究にて実施した定量調査と定性調査を通じて,VTuber視聴者はVTuberとの様々な相互作用を通じて,Hoffman & Novakが提唱する「能動化」や「抑制」の体験が発現することが明らかとなった。またVTuberも,一方向的かつ静的なコンテンツではなく,視聴者との相互作用を通じて様々な反応を見せる自律的かつ動的なデジタルコンテンツとして「能動化」や「抑制」の体験を見せることが分かった。これらの結果は,消費者-オブジェクト集合体の枠組みが,スマートデバイスやAIエージェントのような自律的なふるまいを見せる製品やサービスが広がるデジタル環境における消費体験を理解するための枠組みとして有益あることを示した。

  • 厳 瑞丹, 髙橋 広行
    2025 年45 巻3 号 p. 218-226
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2025/06/17
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    電子付録

    本研究は,社会的比較理論を基本におきながら,ソーシャルメディア・インフルエンサーと視聴者との1対多数のパラソーシャルな関係が,製品態度や推奨意向に与える影響について検証したものである。YouTubeにおけるビューティー・ファッション系のソーシャルメディア・インフルエンサーを対象に,インフルエンサーの信憑性と,消費者の心理的側面である羨みが,パラソーシャルな関係性を通じて,製品態度と推奨意向にどのように影響するのかを構造方程式モデルで検証した。120サンプルの回答データを分析した結果,インフルエンサーの信憑性(信頼性・専門性・社会的魅力・身体的魅力・同一性)の構成要素の妥当性が確認され,インフルエンサーの信憑性や羨みが消費者とのパラソーシャル関係を高めながら,製品態度や推奨意向に正の影響を与えることが明らかになった。特に,信憑性の信頼性,社会的魅力,同一性などの要素がパラソーシャル関係に強い影響を与えていた。本研究の貢献は,社会比較理論に焦点を当てながら,インフルエンサーと消費者のパラソーシャル関係を包括モデルとして設計し,製品態度や推奨意向に与える影響を明らかにした点である。

  • ― 自己効力感の形成プロセスと能動的参加行動 ―
    長橋 明子, 及川 直彦
    2025 年45 巻3 号 p. 227-236
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2025/06/04
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    ブランド・コミュニティでは,顧客間におけるブランドに関する情報交換や知識の共有,交流が行われている。近年,B2C(企業対消費者間取引)だけでなく,B2B(企業間取引)においてもコミュニティ形成が活発化している。本研究は,B2Bブランド企業が管理するコミュニティに焦点を当て,参加者の能動的な参加行動とブランド・ロイヤルティの関係を,社会的認知理論における自己効力感のフレームワークを用いて解明する。B2Bブランド・コミュニティ参加者を対象とした定量調査と共分散構造分析の結果,自己効力感が能動的参加行動に影響し,自己効力感は制御体験を通じて高まり,制御体験は代理体験と言語的説得によって促進されることが確認された。また,能動的参加行動は推奨意向や製品利用継続に正の影響を与えることが明らかとなった。さらに,コミュニティ・リーダーへの定性調査を通じて能動的参加行動に影響を与える自己効力感のフレームワークが裏付けられ,参加者が経験を繰り返しながら徐々に関与を深めリーダーとなるプロセスが明らかになった。

受賞論文 / 招待査読論文
  • 岡田 庄生
    2025 年45 巻3 号 p. 237-245
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/30
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    デジタルの進化と共に,ユーザー共創型の新製品開発が増えている。そのような新製品を販売する際,ユーザーのアイデアから生まれたと伝えることで消費者の購買意向を高める「発案者効果」の存在が既存研究で明らかになっているが,その効果が失われる境界条件については十分に解明されているとはいえない。そこで本研究では,制御焦点理論に着目して,制御焦点の違いが発案者効果の境界条件に与える影響を探るための実験を行った。具体的には,複雑さが高い製品における促進焦点型の製品タイプに関する実験と,複雑さが低い製品における予防焦点型の広告メッセージに関する実験を行った。その結果,発案者効果が失われるとされる複雑さが高い製品であっても,促進焦点型の製品タイプでは発案者効果が得られることが明らかになった。また,複雑さが低い製品において,予防焦点型の広告メッセージとユーザー発案情報とは,負の交互作用効果があることも明らかになった。

レビュー論文 / 招待査読論文
  • ― 既存研究の整理と今後の方向性の検討 ―
    會澤 裕貴
    2025 年45 巻3 号 p. 246-251
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2025/06/02
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    電子付録

    寄付の効力感(PDE: perceived donation efficacy)は,「寄付者が自分の寄付が支援する社会課題(Cause)に変化をもたらすと認識する度合い」と定義され,寄付を促進するメカニズムとして注目されている。本論文の目的は,寄付者のエフィカシーの1つであるPDEに関する既存研究を整理し,それらの貢献と限界を提示し,今後の研究の方向性を検討することである。寄付者行動の先行研究に沿って,寄付者,非営利組織(NPO),外的環境の3つの観点から合計21本の関連論文をレビューした結果,非営利組織の観点を除きその議論は発展途上にあることが示唆された。今後の研究の方向性として,すでに議論されている各要因とPDEの関係の精緻化や,まだ議論されていないその他の要因とPDEとの関係について,今後の議論が期待されることが示唆された。また,PDEに関する測定尺度の統一や,単発寄付だけでなく継続寄付のPDEを高める要因の検討が必要であることが示唆された。

マーケティングケース
  • ― 株式会社御所坊のDX ―
    吉川 祐介
    2025 年45 巻3 号 p. 252-260
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/06/30
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    生産性の向上が課題とされている中小宿泊業にとって,DXの導入は重要視される手段のひとつであるが,リソースとネットワークが乏しい中でそれがどのように実現可能であるかは不明確であり容易ではない。さらに,近年のインバウンド客の増加は,これまでとは異なる消費行動をとる顧客に対して高付加価値化を実現しうる挑戦的な機会となっている。本稿で着目する有馬温泉の小宿である御所坊は,その時々で利用可能なリソースとネットワークを生み出しながら様々なDXを導入することで,食のバラエティ化,接客サービスのデジタル化そしてデジタル化による体験コンテンツを提供し,生産性の向上と高付加価値化を実現している。同社の取り組みをエフェクチュエーションの視点でとらえた場合,起業家におけるエフェクチュエーションの5原則活用には得手不得手がありうること,起業家が置かれた環境によってそれらの有効性の程度が変わりうることが示唆された。

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