マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
早期公開論文
早期公開論文の5件中1~5を表示しています
  • ― 改善・提案制度のGTA分析 ―
    米満 良平
    論文ID: 2026.019
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/01/22
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開
    近年の研究では,ユーザー・イノベーションは企業内でも起こることが明らかになっている。組織の従業員が,商業的に魅力あるイノベーションに貢献するリードユーザーである可能性があることから,より効率的な探索と共創の実現が期待されている。一方で,従業員が自身のイノベーションを公にしないことを指す「アンダーグラウンド・イノベーション」という現象も指摘されている。本研究では,改善・提案制度を採用する企業に対しインタビュー調査を実施し,グラウンデッド・セオリー・アプローチを用い分析を行った。その結果,日常的な業務行動である改善活動から従業員のユーザー・イノベーションが創出されること,その創出には改善・提案制度のマネジメントが影響していることを確認した。具体的には,日常的改善への参加を促し,改善の数を増やす「量」と,改善をユーザー・イノベーションへと向上させる「質」のマネジメントが機能していた。同制度は,意図せざるユーザー・イノベーションの創出につながるプロセスであるとともに,従来のプロジェクト型とは異なる日常的な業務行動から企業内リードユーザーを探索する手法としても有効である可能性が示唆された。
  • ― 顧客の参加の媒介的影響に着目して ―
    下坂 光
    論文ID: 2026.007
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/12/09
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開
    サービスは,価値を生み出すプロセスであり顧客はその生産に参加する。この「顧客の参加」は,その参加プロセスが構造的である場合に効率的に遂行される。しかし,オンライン学習の顧客の参加プロセスは,構造化されておらず複雑である。従って,オンライン学習では,その参加プロセスに適応するための自己調整学習が学生に求められる。さらに,他の学生の援助行動がその自己調整学習に影響する。一方で,学生の自己調整学習がサービスの生産と評価に与える影響や,他の学生の援助行動と学生の自己調整学習の関係は先行研究では明らかになっていない。そこで本研究は,顧客の参加の媒介的影響に着目し,オンライン学習における学生の自己調整学習が学生の知覚サービス品質にどのように影響するのか,そして他の学生の援助行動がその自己調整学習にどのような影響を及ぼすのかを,実証分析を通して確認する。分析の結果,学生の自己調整学習は,知覚サービス品質に対しネガティブな直接効果を持つものの,顧客の参加を媒介することでその影響はポジティブになる。さらに,他の学生の援助行動が学生の自己調整学習を促進することが示された。最後に,本研究の貢献を議論する。
  • ― 日本市場での代替肉を対象としたエシカル消費の推進 ―
    加藤 拓巳, 松田 敦樹, 伊熊 結以, 小泉 昌紀
    論文ID: 2026.006
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/12/06
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開
    エシカル消費の要因としては,社会や他者への利益を強調する利他的動機より,消費者の個人的な利益を強調する利己的動機の方が大きな影響があると認識されている。食品の場合,環境配慮や動物福祉という利他的動機より,健康という利己的動機の訴求が重視されてきた。温室効果ガス排出量を削減できる代替肉においても,既存文献は健康面に議論が集中している。そこで本研究は,日本における代替肉市場を対象に,2つのランダム化比較試験により,双方の動機の学術知見を拡張した。Study 1では,低カロリー・低脂肪という商品特徴を踏まえて,満腹感に訴えかける商品コンセプトを提案し,それが健康のコンセプトよりも高い魅力があることを実証した。これによって,健康に依存してきた利己的動機に,新たな知見が補完された。Study 2では,利他的動機の価値の抽象性を克服するため,自身の商品購入数に応じて植樹の本数を可視化するスマートフォンアプリケーションにより,自己効力感を刺激する消費者経験を生み出すことで,その魅力を高められることを示した。その効果は,エシカル消費に関心の高い傾向にある,女性と若年層−中年層で顕著になった。
  • ― 観光研究における文献レビュー ―
    張 雪瑩, 寺﨑 新一郎
    論文ID: 2026.003
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/11/08
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開
    本稿は,「真正性の高い観光経験が,旅行者の自己変革を促す」という命題に基づき,観光における真正性体験がいかにして変革経験として構造化されるかについて先行研究をもとに検討するものである。2000年以降に英語圏で発表された17本の先行研究を対象に,真正性と変革経験の関係性を,①関係的実践,②否定的経験,③未来志向,④時間性と反復性という4つの視点から整理・再構成した。分析の結果,真正性は固定的な「本物らしさ」の知覚に加えて,身体的・感情的関与,他者との関係,幻想や信仰,記憶やナラティブといった動的・関係的実践の中で生成される経験であり,その過程において自己と世界の境界が再編され,存在論的問いへの内省が促されることが示された。本稿は,真正性を変革経験の構造的条件として整理し,観光研究における真正性概念の再定位を試みた点で意義がある。また,観光の実践においても,表層的な演出ではなく,旅行者の内的変化を支えるようなナラティブや関係性の設計が求められる。
  • ― 日本の上場企業の正規従業員を対象とした調査に基づく実証 ―
    加藤 拓巳, 池田 亮介, 小泉 昌紀
    論文ID: 2026.001
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/12
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開
    インターナルマーケティング(IM)は,従業員を顧客として捉え,社内施策に焦点が置かれる。しかし,消費者向け広告は,従業員が仕事の社会的影響を認識したり,意識改革の機会となる。ビジネスではこのような活動が見られるが,研究としては知見が乏しい。本研究は,IMの文献で議論されてきた9つの要因(能力獲得,賃金,ワークライフバランス,上司との信頼関係,人材の多様性,オフィス設備,社員食堂,先端技術,パーパス)に加えて,本研究の仮説である広告を含めた10要因を対象とし,満足と転職意向への影響を明らかにした。日本における10業界(自動車,電機,医療機器,食料品,不動産,IT,金融,小売,サービス,行政)の正規従業員5,000人を対象にオンライン調査を実施し,共分散構造分析を適用した。その結果,広告は満足には効果が検出されず,転職意向で有意な正の効果が見られた。さらに,企業としては規模の小さい組織,従業員属性としては若い世代ほど,転職意向が高まりやすいと確認された。この結果は,広告を通じた社内コミュニケーションを図る際,転職意向が高まらないよう配慮が必要であると警鐘を鳴らしている。
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