マーケティングレビュー
Online ISSN : 2435-0443
1 巻 , 1 号
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査読論文
  • ― 価値共創概念の新たな価値 ―
    若林 省吾
    2020 年 1 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2020/03/04
    公開日: 2020/03/04
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    本稿では,近年利用者が減少しているゴルフ場の活性化につながるマーケティング戦略を検討することを目的とした。まず,これまでゴルフ場が実施している取り組みではなぜ利用者が増加しないのか分析した上で,「サービス・ドミナント・ロジック」を援用した新たな取り組み事例を示し,その効果をゴルフ場関係者や参加者へのインタビューによる調査を通じて検証した。検証は,ゴルフ場と利用者の関係に着目し,顧客と価値を創り出す価値共創概念を援用し参加者を増やした事例として,「ゴルフ甲子園」を取り上げ,文脈価値と価値共創の視点で考察を行い,ゴルフ場と利用者との共創によって生み出される文脈価値に焦点を当てた視点から,ゴルフ場の新たな活用法の可能性を示した。

  • ― 経営理念の国別比較を通じて ―
    宮林 隆吉
    2020 年 1 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 2020/03/04
    公開日: 2020/03/04
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    グローバル経営において国や文化の異なる従業員同士の融和は重要な課題であり,国境や文化を超えて組織アイデンティティを構築するためにも,人々を束ねる経営理念が重要な役割を果たすと考えられる。しかし,多くの日本企業の人材面・制度面での現地化は遅れており,安易に翻訳された理念やビジョンがそのまま輸出されて形骸化しているケースが見られる。本研究では,まず経営理念が組織アイデンティティの重要な基盤であり,戦略や組織のあり方に大きな影響を与える要素であることを先行研究より考察した。次に,異なる文化圏(アメリカ,中国,日本,ドイツ)の企業計121社の経営理念をコンテンツ分析・比較し,国民文化が経営理念に与える文化の影響度を検証した。その結果,権力格差(PDI)と不確実性の回避(UAI)が社内外のステークホルダーとの関係構築姿勢に影響を与えていることが認められた。今後,経営理念を核とした企業ブランディングや組織運営を行う上でも,グローバル企業にとって異文化文脈の理解は欠かせない。

  • ― アパレル企業における実証調査 ―
    犬塚 篤
    2020 年 1 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 2020/03/04
    公開日: 2020/03/04
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    顧客志向と販売志向が,異なった客観的な業績指標(客単価,販売客数)に対しそれぞれどのように作用するかを,個人・集団効果の両面から検証した。国内アパレルチェーンの391店舗に勤務する1,572名の大量サンプルを用いた検証の結果,2つの志向はそれぞれ異なった業績への効果を有することが明らかになった。すなわち,客単価に対しては顧客志向のみが寄与し,販売志向による有意な効果は認められない。反対に,販売客数に対しては販売志向が影響を与えていたが,顧客志向の寄与は特に確認できなかった。さらに,販売志向については集団効果が認められたものの個人効果はほとんどなく,反対に顧客志向は集団効果よりも個人効果の方が強かった。これらの事実から,2つの志向が業績に影響を及ぼすメカニズムは同一とはいえないことが示された。

  • ― リードユーザーネスの先行要因と帰結 ―
    本條 晴一郎
    2020 年 1 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 2020/03/04
    公開日: 2020/03/04
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    先進的なニーズを認識し,ニーズの解決による便益を期待するリードユーザーは,製品の開発や普及,顧客開発など,様々な観点から注目を集めている。一方でリードユーザーについての定量的な研究は,特定の製品領域で行われてきた。本研究では,サーベイの枠組みで定量的な実証研究を行うことで,リードユーザーの一般的な特徴を見出すことを目指した。その結果,リードユーザーネスが製品領域に限定されずに消費者イノベーションの発生に帰結すること,幅広い他者に対して情報を探索するネットワーキング行動が先進性に正の,高便益期待に負の影響を与える先行要因となっていることが示された。製品領域に限定されない結果を得たこと,および,先行要因を行動レベルで捉えたことにより,リードユーザーに対する理解が,注目に見合うものに近づいたといえる。

  • ― オンライン実験による媒介分析 ―
    岡田 庄生
    2020 年 1 巻 1 号 p. 40-47
    発行日: 2020/03/04
    公開日: 2020/03/04
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    ユーザー(消費者)が企業の製品開発プロセスに参加する共創活動が活性化している。また,ユーザーのアイデアで生まれた製品であるという情報表示は,一般消費者の購買意向を高める効果がある。ユーザー創造製品の情報表示の有効性の背景を探る研究が進んでいるものの,ユーザー創造製品の情報表示と消費者の購買行動における動機との関係は十分に明らかになっていない。本研究は,ユーザー創造製品の情報表示が製品選択に与える影響の媒介要因を,制御焦点理論を用いて定量的に分析した。その結果,ユーザー創造製品の情報表示は,消費者の予防焦点と促進焦点を媒介して,製品選択に正の影響を与える事が明らかになった。ただし,消費者の製品関与の高さは促進焦点の媒介効果に負の影響を与える事が確認された。

  • ― 移動中の生活者,その行動と心理に関する研究 ―
    高橋 伸治, 佐々木 康成
    2020 年 1 巻 1 号 p. 48-57
    発行日: 2020/03/04
    公開日: 2020/03/04
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    「移動者」とは通勤や通学で移動中の生活者のことで,本研究では主に鉄道を利用して通勤する「移動者」を対象とする。その「移動者」は鉄道利用者であり,駅ナカや駅チカで買物をする消費者であり,OOHや交通広告のオーディエンスであるが,駅周辺の商業環境が益々充実化し,またスマートフォンやデジタルサイネージの普及により移動中の情報環境が急激に変化する中,潜在ショッパーとしての「移動者」,コミュニケーションターゲットとしての「移動者」が重要な存在になってきている。本研究の狙いはそういった「移動者」の行動特性と心理特性を捉え,それを駅や駅周辺施設のサービス向上や「移動者」との効果的なコミュニケーション手法の開発に結びつけることである。

  • 新井 優太, 相島 雅樹, 小出 佳世
    2020 年 1 巻 1 号 p. 58-66
    発行日: 2020/03/04
    公開日: 2020/03/04
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    現在の不動産ポータルサイトの多くは,沿線から駅と順に物件を絞り込んでいくような探索方法が主流である。しかしそれが,合理的に自分に合った居住地を探索する方法だとは限らない。たとえば,似た特徴を持った街の集団が分かっていれば,街の特徴から選択するような探索方法も可能である。そこで本研究では,住みたい街アンケート個票データから,住みたい街ネットワークを構築し,モジュラリティ最大化による手法を用いることで,空間的・心理的距離が近く,似た特徴を持つ街の集団を圏域として抽出することを試みた。その結果,首都圏を75の圏域に分割することができた。さらにコレスポンデンス分析を用いることで,各圏域についての特徴付けを行った。

  • ― 医師,患者・主介護者のマッチング ―
    岩﨑 有美, 佐藤 善信
    2020 年 1 巻 1 号 p. 67-75
    発行日: 2020/03/04
    公開日: 2020/03/04
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    在宅医療は患者の人生を支える医療であり,医師に対する患者・主介護者の信頼は不可欠である。しかし,我が国の医学部教育では医師と患者との間のコミュニケーションは重視されておらず,臨床の場で初めて,患者・主介護者とのコミュニケーションの課題に直面する医師は多い。本研究では“ソーシャルスタイル理論”(Merrill & Reid, 1999)に着目し,患者・主介護者が「この医師に最期まで診てほしい」と認識するために必要な医師のコミュニケーション要件を明らかにした。分析の結果,医師が患者・主介護者から強固な信頼を得るには,(1)診療技術,(2)診療思考,(3)ヒューマンコミュニケーションのピラミッドの構築が必要であり,全体に対して(4)ソーシャルスタイルのマッチングという条件が影響することが明らかになった。中でも,医師と患者(主介護者)の関係における「ソーシャルスタイルのマッチング」で特に気を付けるべきは,ドライバー同士の組合せである。ドライバー同士は互いに会話の主導権を握ろうとするため,ハレーションが生じる可能性が高い。医師には,意識的に患者・主介護者のソーシャルスタイルのニーズに合わせて対応する「バーサティリティ」能力が必要とされるのである。

  • ― 飲食チェーン3社での実証研究 ―
    松木 知徳, 中村 潤
    2020 年 1 巻 1 号 p. 76-84
    発行日: 2020/03/04
    公開日: 2020/03/04
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    慢性的な人材不足の中,従業員のモチベーション向上は重要な事業課題となっている。特に多くの労働力を非正規従業員に依存している飲食・宿泊などの店舗系チェーンにおいて課題は一層深刻である。しかしながら,目の前の集客やコスト削減など当面業績を追いかけながら,この課題に取り組むことは容易ではない。そこで,本研究では,従業員の働くモチベーションを向上させることで業績成果に結びつける店舗経営の手法をモデル化した。具体的には人間関係と給与処遇という2つの要因が働くモチベーションに与える影響,およびそれがサービス行動や業績に与える影響を示した。さらに,飲食チェーン3社の非正規従業員へのアンケート調査を実施し共分散構造分析を行うことで同モデルを検証した。結果,飲食産業の非正規従業員においても働くモチベーションがサービス行動や業績に影響を与えること,働くモチベーションには労働条件よりも人間関係の影響が大きいこと,および労働条件と人間関係は相互に影響するという結果を示した。最後に,同産業に携わる役席者にモデルを提示し,得られたフィードバックを参考に考察を行った。

  • ― 「婚活」ブームを事例として ―
    織田 由美子
    2020 年 1 巻 1 号 p. 85-93
    発行日: 2020/03/04
    公開日: 2020/03/04
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    本稿の目的は,負のイメージを付与された消費様式が人々に受け入れられるようになるプロセスを脱スティグマ化として捉え,その際に創発される多様な意味間の関係性について明らかにすることである。理論枠組みとして,制度論における制度ロジックという概念を用いる。具体的には,2008年以降ブームとなった「婚活」の事例研究に基づき,多様なロジックの発展プロセスと,ロジック間の関係性について,過去29年間の新聞記事のテキストマイニングにより明確化する。市場創造に関するこれまでの研究において,企業のマーケティングは多様なロジックが創造される中で棲み分けを行ったり,差別化を行ったりすることが明らかにされた。これに対し,本研究は多様なロジックが補完し合うことで,大規模な普及につながる可能性について示唆する。

編集後記
エラータ
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