錬金術の昔から, 人間はより貴いものを求めてやまず, その成果が学問に昇華して今日に伝えられた, より高い圧力を追求する試みも, 素朴な努力の積み重ねを経て, すでに100万気圧を実現することができた. 天体に物質の原始の姿を探るとき, 高圧力は欠くことのできない要素である. 人間の夢とみられたダイヤモンドの人上合成は, 高圧力の助けで成しとげられた. 高圧力の発展は, はかり知れない可能性を秘めているように思われる. 金属を含めて, 広く物質の相状態を扱うとき, 状態を記述する変数として, 温度と並んで圧力を欠くことはできない. 圧力を無視して物質相を麦現できないことは明白であっても, 高圧力を実現する技術が身近でなかったことも事実である. 高圧力研究の現状を展望し, 金属学における役割を広くたどって, 将来の発展を期待するために, 本特集を行塗った.まず, 座談会では100万気圧以上の超高圧の研究を進めている川井直人, 粉体圧縮を中心に広範な研究を行なっている斎藤進六, 陽計消減による金属の研究に高圧を応用しようと計画している堂山昌男, 本特集企画委員から神垣知夫の各氏に集まっていただきいろいろお話を伺った.
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