計量国語学
Online ISSN : 2433-0302
Print ISSN : 0453-4611
31 巻, 7 号
計量国語学
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
論文B
  • 浅石 卓真
    原稿種別: 論文B
    2018 年 31 巻 7 号 p. 481-496
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では,中学・高校の理科教科書中に出現する専門用語に論述上の重要度を付与し,重要度の高い専門用語(重要語)の出現過程を分析した.そのために論述により生じるテキストの情報量を「テキスト中の専門用語と段落との相互情報量」と「専門用語の出現位置をランダムに入れ替えたテキストでの相互情報量」との差として計算し,情報量への貢献度を各専門用語の重要度とした.重要語の高い上位50%と10%の専門用語のテキスト上での出現過程を分析した結果,全ての専門用語を対象としたときの出現過程と比べて,初出語がテキストの前半に出現する傾向,および既出語としてコンスタントに繰り返されていく傾向が強かった.また全ての専門用語を対象とした場合は教科書の後半にかけて多くの低頻度語が出現していくのに対して,重要語に限定した場合には前半は低頻度でも後半にかけて次第に繰り返し出現していく様子が示唆された.
研究ノート
  • 岡崎調査データにもとづく検討
    横山 詔一, 朝日 祥之
    原稿種別: 研究ノート
    2018 年 31 巻 7 号 p. 497-506
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル オープンアクセス
    国立国語研究所と統計数理研究所は,敬語と敬語意識に関する調査を愛知県岡崎市で1953年から2008年までの55年間にわたって経年的(縦断的)に3回実施した.第1回調査は1953年,第2回調査は1972年,第3回調査は2008年におこなわれた.横山・朝日・真田(2008)は言語変化を多変量S字カーブで予測する数量モデルを開発し,インフォーマントの生年と調査年を説明変数,身内敬語意識を目的変数とするロジスティック回帰分析をおこなった.具体的には第1回調査と第2回調査のデータをロジスティック回帰分析に投入して第3回調査に関する数値予測を得た.本研究では,この予測がどのくらい的中したのかを第3回調査の実測データを用いて検証・吟味した.その結果,中高年層において身内敬語の使用に賛成する割合が予測よりも高くなっていることが明らかになった.この現象の背景にある要因の同定は今後の課題とされた.
解説
  • 回答の質の問題
    荻野 綱男
    原稿種別: 解説
    2018 年 31 巻 7 号 p. 507-516
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル オープンアクセス
    私は,2016年に配布回収式(自己記入式)アンケート調査を行った.346人から回答を回収した.そのときのアンケート調査票の中にチェック項目(固定回答を要求する項目)を4問入れ,それらがどのように回答されたのか,チェック項目に対して指定と異なる回答をした人(不良回答者)は他の質問にどう回答したかを集計・分析した.  その結果,全回答のうち7.7%が指示に従わない不良回答であり,チェック項目で2ヵ所以上に不正な記入をした,あるいは無回答だった26人は,他の質問に対しても多数派と異なる回答をする傾向が認められた.  この結果は,質問調査の場合,一部に指示に従わない回答者がいて,そういう回答者の回答を多数のまじめな回答者の回答と一緒にして集計することは問題であることを示している.最近は,回答の質が低下している事態になっており,質問調査を行う者はそのことを考慮しながら分析を進める必要がある.
学会参加報告
  • 2018年7月5日~8日,於ヴロツワフ大学(ポーランド)
    真田 治子
    原稿種別: 学会参加報告
    2018 年 31 巻 7 号 p. 517-520
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル オープンアクセス
    International Quantitative Linguistics Conference 2018 (QUALICO 2018) was held at Wrocław University in Wrocław, Poland from July 5th to 8th 2018. Two Keynote lectures were invited, and 48 papers as talks and 19 papers for a poster session were accepted. Participants come from EU counties, Russia, Canada, U.S.A., China, and Japan, etc. More papers focused on the applied topics like the translation,text mining, authorship attribution, comparative language studies, or study using corpora than classical or fundamental topics like linguistics laws. IQLA Council Business Meeting was also held and new board members were selected. The next conference is planned to be held in the National Institute for Japanese Language and Linguistics in Tokyo in September 2020.
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