計量国語学
Online ISSN : 2433-0302
Print ISSN : 0453-4611
32 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
2019 年度テーマ特集 実時間データを用いた言語変化研究
  • 横山 詔一, 真田 治子
    原稿種別: 巻頭言
    2019 年 32 巻 2 号 p. 65
    発行日: 2019/09/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル オープンアクセス
  • 松田 謙次郎
    原稿種別: 2019年度特集・招待論文A
    2019 年 32 巻 2 号 p. 66-81
    発行日: 2019/06/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル オープンアクセス
    国立国語研究所が実施した岡崎敬語調査の反応文から,「足りない」~「足らない」(タリタラ)の変異を抽出し,実時間分析を試みた.東西分布を示すタリタラの接触地帯にある岡崎市では,タリ率は1次調査から2次調査にかけて低下し,2次調査から3次調査にかけて大きく上昇するV字型パターンを示す.同一話者の変化パターンを見ると,調査回次を重ねるにつれて異なる形式を選択しにくくなるが,変化は初回調査の年齢とは相関しない.つまり習得の臨界期を越えても異なる形式が採用されうることから,語彙の習得と考えられる.男女差,共通語における分布などから判断すると,1次調査から2次調査へのタリ率の下降はタラ地域である名古屋方言への志向,2次調査から3次調査に向けての上昇は岡崎方言への回帰として捉えられるべきであることを主張した.
  • 国立国語研究所実施の鶴岡市調査に見るガ行鼻音衰退の事例
    尾崎 喜光
    原稿種別: 2019年度特集・招待論文A
    2019 年 32 巻 2 号 p. 82-95
    発行日: 2019/06/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル オープンアクセス
    国立国語研究所が山形県鶴岡市において経年調査している項目のうち音声項目の一つであるガ行鼻音の使用者割合について実時間比較を行った.分析の結果,ガ行鼻音は確かにこの間衰退していること,しかしながらコーホート(同時期出生集団)においてはこの間にそれほど大きな変化がないことが確認された.このことから,ガ行鼻音の衰退は主として構成員の入れ替えにより生じたものと推測される.個人の中で変化のあった者は少ないことを確認するため,同一個人を追跡調査したパネル調査のデータについても分析したところ,おおむねそのとおりであることが確認された.しかしながら,同一の生年層について継続調査の経年差とパネル調査の経年差を比較したところ1割程度の違いが認められることがわかった.これは,パネル調査の回答者は言葉についての規範意識が強い人が平均よりも多く含まれていることに起因している可能性が考えられること,それが事実であるとすれば,パネル調査は個人の変化の有無を確実に把握できる点では非常に有用であるが数値的な把握という点では限界がある可能性があることを指摘した.
  • 高田 智和
    原稿種別: 2019年度特集・研究資料
    2019 年 32 巻 2 号 p. 96-102
    発行日: 2019/06/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル オープンアクセス
    稿は,鶴岡調査データベースの現状を紹介するものである.現在のver.2.0では,1950年調査(第1回),1971年調査(第2回),1991年調査(第3回)のランダムサンプル及びパネルサンプルの回答データ(調査対象者の属性に関する基礎項目,音声・音韻項目,言語生活項目の一部)を収録している.
論文A
  • テレビゲーム『ドラゴンクエスト3』を例に
    麻 子軒
    原稿種別: 論文A
    2019 年 32 巻 2 号 p. 103-116
    発行日: 2019/06/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル オープンアクセス
    役割語をテレビゲームという新しい言語資料を用いて,計量的アプローチで分類・抽出した.『ドラゴンクエスト3』のキャラクターの発話における代名詞や助詞などの特徴量をクラスター分析と特化係数で解析した結果,①格助詞「が/を」,副助詞「は」があまり用いられない「異人ことば」,②代名詞「あたし」,助動詞「ちゃう」,副助詞「ったら/なんて」,接続助詞「けれど」,終助詞「かしら/もの/わ/の/ね」,感動詞「きゃー/まあ/あら」が多用された「女ことば」,③特徴語が観察されない「中立ことば」,④代名詞「そなた/わし」,助動詞「じゃ/とる/である/まい」,副助詞「なぞ」,終助詞「のう/ぞい/ぞ」,感動詞「やれやれ」が多く見られる「老人ことば」,⑤代名詞「おめえ/オレ/あんた」,助動詞「やがる/ちまう/てやる」,副助詞「なんか」,終助詞「ぜ/い/さ」,感動詞「へい/おい」が特徴的な「男ことば」,⑥代名詞「ボク」,終助詞「よう/さ/や/なあ」,準体助詞「ん」,感動詞「わーい/ねえ」が多用された「少年ことば」の6つの分類を得た上,従来では注目されていない副助詞と接続助詞も役割語的要素である可能性を示した.
論文B
  • 重要な独立変数とプロトタイプの特定
    山田 彬尭
    原稿種別: 論文B
    2019 年 32 巻 2 号 p. 117-132
    発行日: 2019/06/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル オープンアクセス
    この論文は,「ません」形(規範表現)と「ないです」(新規表現)の選択を定量的に分析し,プロトタイプ理論の統計的モデルを図る.情報量基準に基づき選択した最良の一般化線形混合モデルに用いられた回帰係数から,これまでの先行研究では主張されてこなかった次の二点を指摘する.第一に,接尾辞「-yoo」が存在するかという独立変数が最大の効果量を持ち,この接尾辞は新規表現を指向する.第二に,先行研究では,状態動詞(例:「わかる」「できる」)などが新規表現を取るプロトタイプであると指摘されてきたが(野田2004;川口2014),その他重要な固定効果が考慮された下では,これらの状態動詞が新規表現を組織的に選択するわけではない.これに対し,本研究では,「ません・ないです」に先行する述語をランダム効果として取り入れ,これらのランダム切片の推定値に基づき,「たい」を新規表現の,また「願える」を規範表現のプロトタイプとすることが妥当であると主張した.
研究資料
  • 小磯 花絵
    原稿種別: 研究資料
    2019 年 32 巻 2 号 p. 133-142
    発行日: 2019/06/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル オープンアクセス
    国立国語研究所共同研究プロジェクト「大規模日常会話コーパスに基づく話し言葉の多角的研究」では,『日本語日常会話コーパス』(CEJC)の構築を進めている.CEJCは,自宅での家族との会話や飲食店での友人との会話,職場での同僚との会合,散策時の会話など,日常生活における多様な場面の会話を,映像まで含めて収録・公開するものであり,世界的に見ても極めて新しい試みである.最終的には200時間規模のコーパスとして2021年度末に公開する予定であるが,コーパスの利用可能性や問題などを把握し今後の構築に活かすために,50時間のデータについて2018年12月にモニター公開を開始した.本稿ではCEJCモニター公開版の設計・構成やそれを用いた研究の可能性について概説する.
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