計量国語学
Online ISSN : 2433-0302
Print ISSN : 0453-4611
33 巻, 1 号
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研究ノート
  • 「そうなんですね」「んですかね」の使用に着目して
    市村 葉子
    原稿種別: 研究ノート
    2021 年33 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,「ね」の複合形式である「そうなんですね」「んですかね」の分析をもとに,近年の「ね」の伝達的機能の記述を試みた.具体的には,公開(収録)時の異なる複数の会話コーパスを用いた両複合形式の使用割合を比較した.分析の結果,2000年代に比べ,2010年代に公開されたコーパスでは①情報受容場面において「そうなんですね」の使用が「そうなんですか」を上回っていること,②質問場面における「んですかね」の使用が微増していることが明らかとなった.これらの結果から,近年における「ね」の伝達的機能を「聞き手と会話を維持する意図があることを聞き手に明示する」と規定した.そして,「ね」が選好されるのは,「会話継続」の意思を表明し,相手と円滑な人間関係の構築を目指そうという,語用論的動機付けによるものと結論付けた.
研究資料
  • 中俣 尚己, 太田 陽子, 加藤 恵梨, 澤田 浩子, 清水 由貴子, 森 篤嗣
    原稿種別: 研究資料
    2021 年33 巻1 号 p. 11-21
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス
    話題が語彙・文法・談話ストラテジーなどに与える影響を検討するため,『日本語話題別会話コーパス:J-TOCC』を構築した.このコーパスの最大の特徴は15の話題を選定し,大学生のペアに5分ずつ話してもらったことで,話題以外の条件が統制されていることにある.話題は身の周りの話題が11,社会にかかわる話題が4である.1つの話題につき120ペア,合計10時間の会話が収められており,およそ11万語に相当する.ペアは性別の組み合わせや録音地の東西でバランスをとった.また,話者がそれぞれの話題についてどのぐらい詳しいかという話題知悉度についても尋ね,付属データとして添付している.
書評
解説
  • 荻野 綱男
    原稿種別: 解説
    2021 年33 巻1 号 p. 27
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス
  • 荻野 綱男
    原稿種別: 解説
    2021 年33 巻1 号 p. 28-39
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス
    データには質的データと量的データがあるが,それとは異なる視点として,計量的な見方と非計量的な見方がある.本稿では,計量的な見方による日本語研究がどんなものであるか,用例調査,コーパス,多人数質問調査などを例にして,その概略を述べた.また,計量的な研究が現代日本語学で多く行われていること,そのような研究は,幅広い学問領域に共通の研究のしかたであることを述べた.統計学とはどんなものか,記述統計学,推測統計学,探索統計学に分類してそれぞれについて解説した.さらに,統計学的な見方と計量的な見方の関係について,統計学が理論的,基礎的なデータ分析方法を追及するのに対し,計量的な研究は応用的,実践的なデータ分析を志向するという立場から述べた.計量的な言語研究を目指す上では,調査が重視されるが,その際のポイントとして,調査計画の重要性と調査結果の解釈の重要性を述べた.
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