平成 9 年 8 月,松江市立病院院長に就任するにあたって当時の宮岡市長から言われたことの l つに,赤字に苦しんでいた病院を活性化し,黒字体質にすることがあった. 活性化のための方策として,新しい医療機器をできるだけ購入するとともに,研究研修費を倍増 して医師,看護師,医療技術員たちを出来るだけ多く,全国的な,あるいは国際的な学会,研究会へ参加させ,発表する機会を与えることにした.また,論文掲載にあたっては,その費用を病院負担とすることにした.その結果,診療局(医師),看護局,医療技術局のいずれにおいても論文発表数,学会,研究会発表数,院内外講演数の著明な増加をみた.また,論文や学会発表については英文で行われるものもかなり多くみられるようになった.以上のような学術活動の向上は,小集団活動やクリニカルパスの作成など自主的活動の増加に連がり,また,専門看護師や認定看護師取得のためのモチベーションともなり,さらに医療の質の向上によって経営的にも過去 8 年のうち 6 年間黒字決算という黒字体質への転換ともなった.
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